落語「看板のピン」の始まり
少子さんが厳選した今週の気になる話題から、新作のミニ落語、ニュースモール落語をお送りする
ラジオ園芸金彩亭ですが、本日の演目は、古典落語「看板のピン」です。
それでは、開演です。
その昔はというと、まあ娯楽というものが大してございませんのでね。
若い者が大勢集まると酒を飲んだりとかね、あとは博打をしたりなんかしたんだそうですけれども。
どうするよ、みんな親になる奴どつぶれしちゃってよ。
親がいねえじゃねえか。これじゃ博打なんかできねえじゃねえかな。弱っちゃったな、おいな。
あ、おい、あそこ通るのは陰居の親分じゃねえか。
あ、ほんとだな。親分にちょいと親になってもらうじゃねえか。
親分、親分、陰居の親分。
おお、なんで若い者が大勢集まるやがって。
いや、すいません。実はみんなでもって博打やってたんですがね。
しょうがねえな、若い者が集まると博打博打とうるさくって、しゃあねえや。
で、どうしたい?
いや、それで何ですよ、親になる奴みんなどつぶれしましてね。
親がいねえんで一つ親分に親をやってもらいたいなと思ってね。
へえ、俺にか。博打をやれって言うのか。
俺は博打はやらねえんだ。
そんなことないでしょ。聞いてますよ。
若い自分にね、早草の達なんて異名を取ったなんて聞いてますがね。
誰に聞いたんだか知らねえがな。
いや、俺は訳あって。
四十の時にすっかり博打から足を洗っちまったんだよ。
でもなんとかお願いしますよ。みんな困ってるんですから。
若い者助けると、おい、お前たちも頼むんだよ。
お願いします、親分。お願いします。お願いします。お願いします。お願いします。
しゃあねえ、なんとに。
俺も今年六十だ。六十になりゃ子供に帰るってえからな。
子供に帰ったつもりで一勝負だけだ。
お前たちと遊んでやろうか。
ありがとうございます。一勝負だってありがてえんで。
どうぞ、中へ入ってください。こっちです。こっちです。
そうか。ただな、夜年並みには勝てねえってやつだ。
こうやって家の中へ入るだろ。暮れだろ。
目は見えねえんだよ。耳も遠くなっちまったしよ。
何やってんだい。ちょぼいちです。
さいの目一つ。これは一番わかりやすくていいな。
まあいいや。じゃ、サイコロこっち汚しだ。
久しぶりだな、この手触りは。
二十年ぶりだぜ。
で、壺はどこにあんだ。
親分の目の前にあります。
それだよ。暗いとこだとわからねえんだよ。
親分と若者たちの駆け引き
どこにあるんだ。目の前ですよ。
おお、これか。これも懐かしいな。
よし、わかった。
じゃ、いいか。断っとくけど勝負は一回きりだからな。
わかってますよ。
行くぜ。
さあ、あったあった。
あったあった。見ろよ。
あの壺皿の脇。
サイコロがこぼれ出てるよ。
ピンが出てる、ピンが。
え?あ、ほんとだ。
これさ、ピンにかけたら俺たち儲かるんじゃねえか。
おお、そうだな。
何をごちゃごちゃ言ってやんねえ。
耳も遠いぜ。聞こえてないよ。
よし。え?
親分、これほんとに貼っていいんすか。
貼らなきゃ勝負にならねえだろ。早く貼んな。
じゃ、あの、あしはねえ、ピンにありがねみんな行きますよ。
おお?勝負が一回だからありがねみんなか。
潔いじゃねえか。え?
他のやつら。じゃ、あしもねえ、ピンに。
あしもピン、ピン、ピン。
ありがね全部ピン。
え?なんだよ。みんなピンにかぶってきやがったなあ。
いや、そりゃピンが出ればいいけどよ。
他の目が出たときは俺の総取りだぜ。
いや、わかってますけど。
え?もしピンが出たとき、親分懐大丈夫なんですか。
何言ってんだ。おめえたちに泣きを見せるような俺様じゃねえんだよ。
え?他にかけるやつはいねえのか。
あ、ちょっと親分待ってください。
ふんどしの脇に隠してるゼニーがあるんでね。
こいつもピン。汚えゼニーだなおい。
まあいいや。じゃ、勝負になるぜ。
お願いします。
勝負。とその前にだ。
この壺皿の脇に出てる看板のピンはこっちに下げさせてもらう。
ちょっと待ってください。
親分なんすかその看板のピン。うるせえ。
だからおめえたちはうだつが上がらねえんだよ。
これだけ大勢いやがって。
親分壺皿からサイコロがこぼれ出てますよ。ピンが出てますよと。
言ったやつは一人もいねえじゃねえかなあ。
俺の読んだところ壺皿の中はグだ。
グって言うと五のことですか。
そうだよ。勝負。ほら見ろグだ。俺の総取りだ。
ちょっと親分それは勘弁してくださいよ。
勘弁してくれって言ったって。
え?俺はおめえたちがこれピンに貼ったから悪いんだよ。
だってその看板のピンってのはないでしょ。
何言ってやんねえよく。
おもちゃ屋でも軒先にぶら下がってんだろうサイコロが。
あれと一緒なんだよ俺の。
だからと言ってな。
おめえたちのゼニーどうするってわけじゃねえんだよ。
こうやって博打ってのは恐ろしいってことを
おめえたちに教えてやったんだから。
かけた分持ってきな。
持ってけ持ってけ。
おいおめえ人の持ってくんじゃねえよお前。
自分の分を持ってきなってんだな。
で小遣いやるから。
これでもって博打なんかやめちまってな。
みんなで酒でも飲んで騒いでろ。
俺は蹴るからな。
かっこいいな親分。
いやだけどさこれ親分だから返してくれたけどさ
ほんと博打ってのは恐ろしいな。
俺二度とやらねえ。どれもやらねえ。
やめようやめよう。
せっかく小遣いもらったこれでみんなで酒飲もうじゃねえかな。
そうしようそうしよう。
俺酒いいからまた今度な。
あぶよ。
別の場所での博打と教訓
いや親分かっこよかったな。
看板のピンはこっちへ下げといてなんて。
ちょっと待ってよこれ。
俺親分だからな。
返してくれたけどよ。
これを知らないやつのところに行って
やったら俺儲かるぜおい。
勝負は一回きりだといいんだからな。
よしどこ行くかな。
トランベンとかあそこはいつもやってるからな。
トランベンとか行ってみよう。
明かりが漏れてる。
やってるねこれはね。
おいトランベン。
トランベン。
やってんだろ。
博打。
博打やってんだろ博打。
俺にもやらせろ博打。
あの野郎大きな声で博打博打っておい。
なんだよ隣近所に聞こえたらどうすんだよおい。
なんだよお前うるせえな。
なんだよ博打うるせえなお前。
俺たちは親孝行やってんじゃねえんだよ。
大きな声で博打博打って言うんじゃねえよ。
聞こえたらどうすんだよ近所に。
すまねえすまねえ。
やってんだろ。
今お前博打つったろお前。
聞こえないと思って。
やってるよ。
ちょっと俺を混ぜてもらえて。
混ぜてもらえて大丈夫なのか税には。
親をやらせてもらえてんだよ。
親を。
余計だよお前。
昨日もお前足りねえって帰ったじゃねえかよ。
一回きりなんだよ。
そうだろうなお前にそんな善意があるわけねえ。
ちょっと待っておい。
みんな野郎が親やりてえって一回きり。
珍しいよな。
よしわかったじゃあみんなが面白いからやらせてやるってから。
いいよいいよ中に入れんな。
こっちだこっちだ。
やいおめえたち。
様子が変わりやったこの野郎。
どうしたんだよ。
若いもんが大勢集まると博打博打とうるさくってしゃあねえや。
おめえが言ってたんじゃねえか博打博打って。
なんだよ。
確かに俺は昔ハヤブサのタツと異名を取った。
おめえクマゴロンじゃねえかよ。
何がハヤブサのタツだよ。
農田クマだろ。
訳あって四十の時に博打からすっかり足を洗っちまってな。
おめえ今年二十六だろ。
なんだ四十の時に足洗ったってな。
まあしょうがねえや。
俺も今年六十。
おめえ二十六だって言ってんだろおめえ。
六十になりゃ子供に帰るってえから。
一つ子供に帰ったつもりでおめえたちと遊んでやるか。
何を生意気なこと言ってんだ早くやれよ。
ただな夜年並みには勝てねえってやつだ。
ああこうやって家の中に入ってくると目は聞こえなくなる。
耳は見えなくなるってあべこべだよそれおめえ。
何言ってんだよ。何やってんだよ。
ちょぼい時代分かってんだろ。
一番分かりやすいやつだ。
サイコロこっちによこしな。
ああなるほどな。
懐かしいなこの手触りは。
二十年ぶりだぜ。
おまえ六つの時からやってたのかおめえ。
それにしてはおまえ下手だなパクチがよ。
いつも負けててよ。
壺皿どこにあんだよ。目の前だよ。
え?目の前?
どこにある?どこにある?
おめえわざと外してんだろおめえ。
見えてんだろ。
これか。懐かしいな。
二十年ぶり。だからいいよそれは。
早くやれよ。いいか。
一回きりだぞ勝負は。分かってるよ。
どうせ銭がねえんだから一回きりだ。
じゃあいくぜ。
さあ。
貼った貼った。
いや貼った貼ったっておまえしっかりしろよおまえ。
壺皿の脇にサイコロがこぼれ出てるよ。
え?
いや貼った。
いや貼ったじゃねえって。
サイコロがこぼれ出てピンが出てるから。
もう一回振り直せっつーの。
え?
ピンが出てるからもう一回振り直せっつーんだよ。
え?
聞こえねえ聞こえねえ。
貼った貼った。
何だよおまえ。いいのかよ貼って。
よし分かったじゃあな。
俺はピンにありがたみんないくぜ。
俺も俺も俺も。
みんなピンにかぶってきやがったな。
俺はピンと出ればいいが、
それ以外の目が出たら俺の総取りだぜ。
そうだよ。分かってるけどおまえピンが出た時、
え?大丈夫なのか振った頃は。
当たり前だ。
泣きを見せるような俺様じゃねえんだよ。
昨日10戦足りなくて泣きながら帰ったじゃねえかよおまえ。
大丈夫かよ。
大丈夫だよ。
じゃあ勝負だ。
勝負。
とその前にだ。
この壺皿の脇の看板のピンはこっちへ下げさせてもらえ。
おいおいおい。
ずるいなこの野郎。
何だその看板のピンってのは。
うるせえ。
だからおめえたちはうだつが上がらねえんだ。
おめえに言われたかねえよ。
これだけ大勢居やがって。
壺皿の脇にサイコロがこぼれ出てます。
ピンが出てますと言ったやつは俺は言ったよ。
大きな声で言った。
何度も言った。
耳臭いで聞こえねえ聞こえねえ。
言ったんじゃねえかよ。
俺の読んだところ壺皿の中身は具だ。
勝負。
中もピンだ。
という看板のピンという。
ここでございました。
立川生志落語会のお知らせ
そうはうまくいかないね。
うまくいかないですね。
おばかしいお話なんでございますけどもね。
はい。
こういうコテナグをやりますんで。
よかったら来ていただく。
看板のピンはここの部屋でやりませんけども。
4月の24日の金曜日ですね。
あと1ヶ月ちょっとですけども。
場所が福岡大前駅の直結。
福岡大前駅のJR福岡大前駅だね。
上に小見川城の5階に多目的ホールというのがあるんで。
そこで立川少子落語会というのを。
4月24日金曜日の19時から。
会場は18時なんですけども。
開演は19時。
料金が前より2500円。
学生用の。
学生用は2000円ということで。
いつもの独演会よりはお安くなっているという。
だいぶお得ですね。
はい。というのはこれは和次郎伝統芸能実行委員会。
本当に手弁当でこの会をつくってくださる。
和次郎の皆さんたちの主催で。
どうしても東区方面とかであんまり僕やることないんですよ。
確かにね。
なので、
天神とかではやるんですけども。
あるいは大堀公園とかでやってるんですけど。
ぜひよかったらこちら東区のほうに
お越しいただきたいと思います。
電話番号お問い合わせが
080-6430-4959
080-6430-4959
ということで
携帯電話番号お問い合わせになってますんで。
ぜひ。
先週告知したら
お電話いただいたという連絡がきましたので。
そうですか。
またぜひお待ちしておりますので。
よろしくお願いします。
古典落語をどうやって覚えるんですか。
覚える。
一応本当に
実は稽古のときは
口移しで
ただ録音していいので
目の前で師匠先輩が
一石やってくれて
それを録音して
録音したものを若い頃は
初めの頃はノートに起こすんです。
文字起こしをする。
だけどもう慣れてくると音で覚えます。
むしろ字で書いて覚えるよりは
耳で覚えるんですね。
耳で覚えちゃうんですね。
という覚え方をしているんです。
そんな感じで。
そんな古典落語がいくつか。
今日のは10分ぐらいでしたけど
長いと
40分、50分、1時間
みたいなのもやるということなんですが
ぜひ生の落語を見に来てください。
よろしくお願いします。
お問い合わせご予約は
スタービル博多祇園のホームページからどうぞ。