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こんにちは。こんにちは。いつも通り歩いている近所の道とか、見慣れたご近所さんとか、私たちはそういうのをただの日常って呼びますよね。はい、そうですね。でも、もしそこに突然ドキュメンタリーのカメラが向けられたらどうなるでしょうか。
今回は、資料を送ってくださった方のテキストをもとに、福島を舞台にした映画、ロッコク・キッチンを徹底的に掘り下げていきたいと思います。
よろしくお願いします。
今回の目的は、単なる映画レビューじゃなくて、ごく普通の日常がどうやって社会を映す鏡になるのか、そのメカニズムを解き明かすことなんです。
今回の資料で、まず面白かったのが、送ってくださった方の映画館でのエピソードですよね。
ああ、そこですよね。菅川での特撮イベントから映画をはしごうしようとして、結局物理的な距離の壁にぶつかっちゃったっていう。
そうそう。で、結局指定席なのに、遠足前の小学生みたいに30分も前に映画館のフォーラム福島に着いてしまったそうなんです。
なかなか熱量がすごいですよね。でも、今回の深掘りで本当に重要なのって、その送ってくださった方が抱えていたあるジレンマなんですよ。
はい、その通りです。実は送ってくださった方は、映画に登場する深保軍の3人の方をすでにご自身の活動を通じてよく知っていたんですよね。
インド出身のスワスティカさんと、伝承館の中筋さんと本屋の竹内さんですね。
それで、ドキュメンタリーにおいて最初から被写体を知っていることって、手品師の種を知った上でマジックショーを見るようなものじゃないかっていう。
つまり、事前知識が驚きを奪う邪魔のものになるんじゃないかっていう疑問ですよね。私もそれすごく気になりました。
まさにそこがポイントなんです。ご本人も最初はネタバレ状態で不利だなって感じたそうなんですが。
なんですが?
結果として、その予習済みという一見不利な状況が、ドキュメンタリーの奥深さに気づくきっかけになったんです。
え、どういうことですか?
ドキュメンタリーっていうと、私たちはつい、ゆきゆきで神人群みたいな過激で強烈な主人公を追いかけて、衝撃の事実を暴くような作品を想像しがちですよね。
ああ、確かにそういう派手なものを期待しちゃうかもしれないです。
でもそれだけがドキュメンタリーじゃないんです。ごく普通の人々の暮らしを淡々と映すことで、その背後にある社会問題とか歴史を浮かび上がらせる、あがに生きるのようなアプローチもあるんですよ。
なるほど。日常を映すタイプのアプローチですね。
そうなんです。送ってくださった方は、知っている人たちの日常を見つめる中で、あ、特別な事件や人を撮らなくても映画は成立するんだって気づいたわけです。
いやでも専門家さん、ちょっと意地悪な質問していいですか?
はい、なんでしょう。
いくら背景に社会問題があるからって、知り合いの本屋さんの日常をスクリーンで見て、なんかエンタメとして退屈しないんでしょうか?どうしてそれが映画になるんですか?
そこで決定的な役割を果たすのが、制作者である川内監督の外部からの視点なんです。
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外部からの視点ですか?
ええ。この帰宅の出発点になったエピソードがあるんですが、監督が夜、いわき市から国道6号線、つまり六国を車で機体走っていた時のことなんです。
はい。
かつては原発事故の影響でバリケードだらけで真っ暗だった場所に、避難指示が一部解除されて、ポツンポツンと明かりが灯るようになっていたんですよね。
ああ、ずっと真っ暗で人が立ち入れなかった場所だからこそ、その普通の明かりが強烈な意味を持つんですね。
その通りです。マイナスからゼロに戻りつつある場所で、この明かりの下には一体どんな日常があるんだろうって外部の人間が立ち止まって疑問を持ったんです。これが確信なんですよ。
なるほど。地元に住む方とか資料を送ってくださった方のような内側の人間からすれば、それは知り合いの普通の活動に過ぎないわけですね。
ええ。でも外から来た監督の目を通すと、かつての絶望的な暗闇と現在の小さな生活の光のコントラストっていうのが立派なドキュメンタリーの題材として立ち上がってくるんです。
私たちが当たり前だと思っている風景も、外部のフィルターを通せば奇妙で尊い社会の記録になるわけですね。
そういうことです。日常をどう拾い上げてどう見るかっていう視点の転換こそが重要なんですよね。
だからこそエンタメ映画みたいなハラハラ感がなくても、福島に関わる人はもちろん遠く離れた東京付近の人たちにこそ見て考えさせられる作品なんですね。
リスナーの皆さんもこの視点の転換はぜひ意識してみてほしいですね。
ええ。見慣れた日常の裏側には常に社会の真実がそのんでいますからね。
だからこそ最後に皆さんに考えてみてほしいんです。
もし今今回資料を送ってくださった方のごく普通の日常にカメラが向けられたとしたら、外部の人間はそこにどんな社会の真実や奇妙さを見出すでしょうか。
意外と一番スリリングなドキュメンタリーになるかもしれませんね。
次回の配信も楽しみに。さよなら。