刑務所の中で、受刑者が犬の訓練をしている。 その犬は、後に視覚障害のある方の盲導犬になったり、
機関兵のPTSDをサポートする解除犬になったりします。 訓練していた受刑者は、出所後に再び犯罪に戻る可能性が下がったというデータがあります。
犬がいる。ただそれだけで多くの人生が変わった。 今日はそんな話をしたいと思います。
ドッグトレーナーのひらたじゅんです。 シーズン4の最終回となります。 シーズン4も皆様お付き合いいただきありがとうございます。
実は今シーズンにはテーマがありました。 それは犬の個性を引き出して共に深めるというものでした。
ドックランで固まった犬の話から始まって、 嗅覚の化学、解除犬の仕組み、あとはオキシトシンの研究までちょっと難しい話でしたね。
今回は最終回としてセカンドチャンスというお話をしたいと思います。 これは犬だけじゃなくて人間にとっても同じかと思います。
アメリカで1981年1人の修道女が始めたプログラムというのがあります。 この修道女というのがシスター・ポーリンクイーンという方です。
彼女は13歳の時虐待家庭を逃げ出してロサンゼルスの路上で生活をしていたという経験を持っているそうなんですね。
その後犬との出会いで彼女の人生が変わったという方なんですけれども、その経験から犬と人間が出会うことで人間はもう一度やり直せるという信念の下、
刑務所で受験者が犬を訓練するパスウェイズトゥホープ、希望への道というプログラムを立ち上げました。
これがアメリカにおける刑務所犬プログラムの始まりとされています。
その後この取り組みは広がっていきます。
2016年の時点でアメリカだけで290以上の強制施設が何らかの形で犬訓練プログラムを導入しています。
これはアメリカだけではなくてカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、イタリア、オランダなどにも同様のプログラムが存在します。
そして1997年にニューヨークで設立されたプログラムがパピーズビハインドバーズズです。
これは作の中の子犬たちという直訳になるんですけれども、
受刑者が子犬を24時間一緒に過ごしながら育てて将来の盲導犬、爆発物探知犬、機関兵のPTSD解除犬として送り出すといった取り組みです。
このプログラムで受刑者が育てた犬の成功率は87%。
比較で一般のボランティアの方が育てた犬の成功率は50%。
この50%と87%を比べて大幅に高いという報告があります。
これは受刑者が日常的継続的に犬と関われる環境というのが犬の訓練の質に直結しているんですね。
イタリアではローマのリビッピア女子刑務所というところで受刑者が障害者用の解除犬の訓練を行うプログラムが実施されています。
ロサンゼルスでは2012年からシェルター犬の訓練プログラムを刑務所内に導入しています。
カリフォルニア州の再判率が67%という文脈の中で、このプログラムはどう機能しているのかに注目が集まっています。
今回はシーズン4の最終回なので、一つ皆さんにお願いをしてみようかなと思うんですけれども、
このシーズン4を通して皆さんにお願いしたいことっていうのはただ一つだけで、
スマートフォンをいじる時間を5分だけ削って、愛犬の隣に座る時間。
もう今もすでにそういう時間を持っているよっていう方だったら、追加で5分でもいいですし、
さらに愛犬のことに集中して、愛犬の行動を観察する5分にしてみてほしいです。
その5分があなたと愛犬の関係を大きく変える可能性があります。
これが今シーズン1番の実践かもしれません。
刑務所の中で受刑者が犬を訓練している時、何が起きているのかを考えると、
私的にはそれは責任を持つであったりとか、世話をするだったりとか、
誰かの役に立つという経験なんじゃないかなと思います。
もちろん訓練中には犬のテンションが上がってしまったりとか、
他に注意が向いている時にはコマンドというのは効果がありません。
訓練中のパートナーの様子を観察して共感して理解するという、
言葉の通じない相手との相互コミュニケーションという側面もあるのではないでしょうか。
もちろんその経験は相手が犬じゃなくてもできることかもしれません。
でも犬だからこそ言葉なしに伝わってくるものがあって、
人間側の過去は関係なく、今のあなただけを見て笑顔で寄り添ってくれる。
あなたが落ち込んでいる時に何も言わずにそばに座ってくれている。
私たちもそれだけで救われていることがたくさんあるんじゃないかなと思います。
人間にとってのセカンドチャンスが犬によってもたらされることがある。
犬にとってのセカンドチャンスが人間によってもたらされることがある。
もう失敗したから終わり、じゃなくていつからでも始められる。
シーズン4を通して伝えたかったことの根っこはこういうことかもしれません。