ステーブルコインは本当に「ステーブル」なのか? 償還・決済・収益構造から考える(「そうだったのかブロックチェーン Ep.15」内田善彦・酒井勇也・大津賀新也)
2026-09-01 47:42

ステーブルコインは本当に「ステーブル」なのか? 償還・決済・収益構造から考える(「そうだったのかブロックチェーン Ep.15」内田善彦・酒井勇也・大津賀新也)

「そうだったのかブロックチェーン」Ep.15
このポッドキャスト番組では、日銀・金融庁で銀行監督の経歴をもち、現在は周南公立大学情報科学部でブロックチェーンについて教鞭を執る内田善彦と、グルメアプリのファウンダーとして、Web2サービスにブロックチェーンを掛け合わせ、Web3事業を構築したキャリアを持つ酒井勇也、そしてクリプト専門メディア「あたらしい経済」副編集長の大津賀新也の3人が、ブロックチェーンについて今知っておくべきことを紹介します。

第15回となる今回は、前回に続き第2部「既存金融×ブロックチェーン」として、これまで取り上げた「取引・譲渡」、「与信」に続き、資金決済の道具として使われる「ステーブルコイン」について議論しました。

まず、日本では「ステーブルコイン」自体は法律用語ではなく、法定通貨の価値と連動するものが資金決済法上の「電子決済手段」として整理されていることを確認しました。法定通貨建てで同額での償還が予定される1号と、特定信託受益権に当たり、信託財産によって倒産隔離が図られる3号を中心に、銀行預金や満期・残存期間3か月以内の短期国債といった裏付け資産、その管理方法、破綻時の返還手続きの違いを整理しました。

そのうえで、額面での償還が予定されていても、金利上昇によって保有国債の時価が下落し得ることや、償還時の手数料、JPYCの発行上限が1回100万円である一方、ウォレット間移転には同じ上限が直接かからないことなど、「本当に額面どおり返ってくるのか」という論点を掘り下げました。また、アルゴリズム型ステーブルコイン「テラUSD(UST)」が米ドルとのペッグを失い、関連トークン「LUNA」とともに暴落した例にも触れながら、「ステーブル」は額面どおりの価値が常に保証されることを意味しない点を確認しました。

さらに、収録時点における日本円建てステーブルコインの発行残高が、世界全体の約3,000億ドルのごく一部にすぎないことを確認。クレジットカードの手数料は、加盟店審査や不正時の返金対応などを担う「ミドルマン」のコストでもあることや、低金利の日本では裏付け資産の運用収益が限られ、発行体の収益構造が成り立ちにくいことなどから、日本円ステーブルコインは本当に必要なのかを一歩引いて考えていきました。

なお第13回から第18回では、既存金融の基礎からブロックチェーンとの接合の可能性に迫ります。

次回、第16回目は2026年9月7日に配信予定です。引き続き、ステーブルコインをテーマに、既存金融とWeb3業界の理想の「ズレ」について解説します。

【出演者】

・内田善彦
1994~2023年日本銀行。金融研究所・企画役、金融機構局・企画役(グループ長)等。金融機関のリスク管理・経営管理に関して様々な角度から考察を加える。この間、金融庁、大阪大学、東京大学でも勤務。2023年6月〜11月株式会社クエストリー取締役、2024年4月〜12月カシェイ取締役として、web3スタートアップに経営者として参画。現在は、周南公立大学情報科学部教授(2023年6月から)として教鞭を執る傍ら、株式会社サイバーリンクス社外取締役(2024年3月から)としてデジタルIDや電子署名関連のビジネス等を推進するほか、株式会社ゆいづむ代表取締役(2025年10月から)としてブロックチェーン活用に関連するコンサルティングを行う。

Xアカウント:x.com/uchida_tomato

・酒井勇也
学生時代に株式会社SARAHを共同創業。日本最大級のメニュー特化型グルメアプリ「SARAH」に加え、大手食品メーカー向けの外食ビッグデータサービス「FoodDataBank」を構築した。COOとして累計10億円の資金調達やM&A、PMIを主導。2019年より、SARAHのWeb3化を主導。食・ヘルスケアのデータ管理に特化したレイヤー1独自ブロックチェーン「ONIGIRI Chain」の開発や、トークンエコノミーを構築した。2025年の代表取締役退任を経て独立。現在は、実需を伴うブロックチェーン活用やWeb3事業の社会実装に特化したコンサルティングを展開している。

Xアカウント:x.com/skyuya03

聞き手:あたらしい経済 副編集長 大津賀 新也

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