漬物の味への目覚め
漬物の味 扉の言葉
種田三桃花 私は長い間、漬物の味を知らなかった。
ようやく近頃になって、漬物はうまいなぁとしみじみ味わっている。 精神そのものとも言いたい白菜の塩漬けも嬉しいが、
べっ甲のような大根の味噌漬けも悪くない。 からし菜の香味
茄子の色彩 キュウリの快活
糸菜の優美 しかし私はどちらかといえば
漬物と日本人、そして俳句
かす漬けの濃厚よりも浅漬けの淡白をすいている。 良い女房は定主の前にうまい漬物を絶やさない。
私は断言しよう。 まずい漬物を食べさせる彼女は
必ず良くない細菌だ。 山のもの、海のもの、どんな御馳走があっても最後の転生は美味しい漬物の一皿でなければならない。
漬物の味がわからない限り彼は全く日本人ではありえないと思う。 そしてまた私は考える。
漬物と俳句との間には 一味、相通ずるところのあるものがあること。