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赤、テラダ・ドラヒコ。布団を引っかぶって固く目を閉じると、何も見えぬ。
しばらくすると、真っ赤な血のような色の、何とも知れぬものが、暗黒の中に現れる。
なお見ていると、これが次第に大きくなって、突然ぐるぐると回り出す。
それはそれは、名状しがたい速さで回っているかと思うと、急に花火の開いたようにパッと散乱して、そのまた一つ一つの辺が、回転しながら、縦横に飛びちがう。
血の色はますます濃くなって、再び真っ暗になったと思うと、またパッと明るくなって、赤いものが回り始める。
こんなことを繰り返しているうちに、眠りの神様はおいでになる。
きっとこの血のような花火のようなものが、眠りの神様の仙句のようなものであろう。
熱帯地方の三千草木金獣虫魚は、みな赤いもののような気がして仕方がない。
これは多くの地図に熱帯を赤く塗ってあるからであろう。
先生、赤い涙があるもんですか、と真面目で聞いたのは僕の友達じゃ。
赤とは火の色なり、血の色なり、涙の色なり。