名前のないわたしたち
作:荒木アキラ @masakasoreha 様
BGM:魔王魂
https://x.com/masakasoreha/status/1894289457601196137?s=46&t=63z_TUXdJxoQvBp-LsRI6g
お借りしました!
【活動まとめ】 https://lit.link/azekura
【「短編」関連商品】 https://amzn.to/4kEA9uY
サマリー
主人公は、自分と似た者と共に不思議な部屋で目覚め、存在や役割を探求します。
不思議な目覚め
今日も目が覚めると、隣に私とよく似た都市格好の者が、裸で横たわっています。
奇妙なことに、この者を決して起こしてはならない、という置き手があるのです。
眠りの部屋の番人が言うには、私は五水の月添いであり、
あちらは夜を司る神、月の化身なのだと、つまり、あの方は私より暗いが上なのです。
私が目覚めるのは、窓の一切をなくした閉ざされた部屋、滑らかな白壁が四面を囲い、
ガラス張りの四角い天井が一面、鮮やかな桃色に染まる頃、
夕焼けと呼ばれるその空が、あっという間に紫煙にのまれるごくわずかな時間、
隣で脈打つわずかな心拍の音で目覚めると、その人の頬が空と同色に染まり、
暗転していく様子にしばし見とれます。
そして、燃えるような赤い絹の布団に包まれているその人の眠りを破らないように、
そっとその部屋を後にするのです。
私はこの時、自分がどこから来たのか、なぜこの屋敷に住まわされているかなど、何も知りません。
ただ、私は捨て子であり、変われた身であるから、
ご主人様のおっしゃる通りに暮らせば良い、とだけ知るところであります。
02:18
コメント
スクロール