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2025-02-20 11:57

#39 WCAG 2.0 解説シリーズPart21「『ガイドライン3.3 入力支援』とその達成基準 後編」

ガイドライン3.3「入力支援」後編として、達成基準3.3.3「エラー修正の提案」と3.3.4「エラー回避(法的、金融、データ)」を解説します。

達成基準3.3.3では、フォームの入力エラーを検出し、修正方法を提示することを求めています。

前編で解説した達成基準3.3.1では、エラー箇所をテキストで通知することを求めていますが、さらにエラー箇所をどう修正するのか提示することを求める達成基準です。

達成基準 3.3.4では、法的・金融取引や重要データの変更で、取り消し・チェック・確認のいずれかを提供し、ミスを防ぐよう求める基準です。

参考:

達成基準 3.3.3: エラー修正の提案を理解する

達成基準 3.3.4: 誤り防止 (法的、金融、データ) を理解する

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サマリー

WCAG 2.0の解説シリーズのパート21では、ガイドライン3.3に関連する入力支援とその達成基準について考察しています。特に、達成基準3.3.3では、入力エラー修正の提案の重要性について述べられています。また、3.3.4では、法的および金融関連のデータ操作におけるエラー回避の必要性に焦点を当てています。

00:04
ゆみこ:こんにちは。チャコウェブラジオは、株式会社Cyber Catsが運営するチャコウェブのスタッフが、
ウェブアクセシビリティを実践したい制作者やウェブ担当者に向けて、ゆっくりじっくり解説していくポッドキャストです。
進行を担当するゆみこです。よろしくお願いします。
みあ:みあです。よろしくお願いします。
ゆみこ:本日のテーマは、WCAG 2.0 解説シリーズPart21「『ガイドライン3.3 入力支援』とその達成基準 後編」です。
みあ:前回は、ガイドライン3.3「入力支援」の概要や、達成基準の3.3.1「エラーの特定」、3.3.2「ラベル又は説明」についてお話ししました。
今回はその続きとして、達成基準3.3.3と3.3.4を解説していきます。
ゆみこ:前回やったガイドライン3.3「入力支援」とは、ユーザーがフォーム入力を行うときにエラーを起こしにくくしたり、もしエラーが起きても修正しやすくサポートするための基準でしたよね。
今回もそれに関連する達成基準なんですね。それでは、さっそくですがお願いします。
達成基準3.3.3 エラー修正の提案
みあ:はい。では、達成基準3.3.3「エラー修正の提案」から解説します。
この達成基準をWCAG 2.0 解説書で確認すると、「入力エラーが自動的に検出され、修正方法を提案できる場合、その提案が利用者に提示される。
ただし、セキュリティ又はコンテンツの目的を損なう場合は除く」と書かれています。
簡単に言うと、入力エラーを検出したとき、そのエラーを解消するためにどうしたら良いかをユーザーに示しましょうという達成基準です。
なお、修正方法を示すことが、セキュリティやコンテンツを損なう場合は例外とされます。
適合レベルはAAです。
ゆみこ:前回やった達成基準3.3.1では、エラーの場所がどこかをテキストで伝えることが必要とのことでした。
今回は修正の方法まで示すのがポイントなんですね。
みあ:そうなんです。達成基準3.3.1 は、入力エラーの場所を知らせるためのもので、修正方法を必ず示す必要があるという達成基準ではありません。
ですが、認知障害や視覚障害のあるユーザーなど、ユーザーによってはエラーの場所が分かっても修正方法が分からないという可能性があります。
エラーが起きていることに気づいても修正がうまくいかなければ、途中でフォーム送信を諦めてしまうことが考えられます。
そのため、エラーの場所だけでなく、その修正方法を分かりやすく提示することが大切なんですね。
ゆみこ:たしかに、修正方法が提示されていれば修正しやすいですよね。修正方法を示す具体的な例はありますか?
みあ:例えば、必須項目を空欄で送信してしまった場合、単に「エラーがあります」だけでなく、「この項目は必須です。入力してください。」というように表示するというのがあります。
また、入力形式が決まっている欄なら、「半角数字のみを入力してください。」といった形で、具体的に表示します。
ゆみこ:うん、なるほど。これなら、「エラー箇所は分かるけれど、修正方法が分からない」という事態を避けられそうですね。
みあ:そうですね。この達成基準に適合させる方法はいくつかありますが、基本的な対応は今お話ししたものと同じです。
まず、必須項目が未入力の場合は、「この項目は必須です。入力してください。」といったメッセージを表示し、ユーザーに分かりやすく伝えることが重要です。
入力形式が間違っている場合は、間違っている箇所を明確に示し、「全角文字は使用できません。半角で入力してください。」といったメッセージを表示して、エラーの原因や正しい入力方法を説明することが大切です。
さらに、ARIA属性を使用することで、支援技術を使用しているユーザーへ、エラーや必須項目の情報を伝えることができます。
ゆみこ:ARIA属性は前回も少しだけ出てきましたね。今後詳しく解説予定とのことなので、その解説を楽しみにしたいと思います。
達成基準3.3.4 エラー回避
みあ:はい。次は、達成基準3.3.4「エラー回避(法的、金融、データ)」についてです。
解説書の記述では、「利用者にとって法律行為もしくは金融取引が生じる、利用者が制御可能なデータストレージシステム上のデータを変更もしくは削除する、
又は利用者が試験の解答を送信するウェブページでは、次に挙げる事項のうち、少なくとも一つを満たしている」と書かれており、
このあとに「取消・チェック・確認」という3つの事項が挙げられています。
この達成基準は、障害のあるユーザーなどが、大きな損失やトラブルに繋がる操作を間違えて行わないようにするためのものです。
また、操作を間違えた場合でも、修正したり取り消したりできる手段を提供することが求められています。
この「大きな損失やトラブルに繋がる操作」としては、法的な手続きや金融取引が絡むような重要な手続き、
あるいはユーザーが管理しているデータを変更・削除する操作、そして試験の解答の送信などが挙げられます。
こちらも適合レベルはAAです。
ゆみこ:うん、大きな損失やトラブルを防ぐために、必要な対応を求める達成基準なんですね。
「ユーザーが管理しているデータ」とは、どんなものを指すんでしょうか?
みあ:ユーザーが閲覧できるデータの中で、意図的に変更や削除ができるデータのことを指します。
例えば、ユーザー自ら変更できる、ネットショップアカウントの電話番号や住所、自身で削除できる過去の請求書の情報などがあります。
反対に、ユーザーが直接表示や編集ができないインターネットのログなどは含みません。
ゆみこ:なるほど。ユーザーが意図的に変更したり、削除したりできるデータのことを指すんですね。
解説書の記述にある、「取消・チェック・確認」についても詳しく教えてください。
みあ:はい。まず、「取消」は、一度送信や操作をしてしまった場合でも、後から取り消せる仕組みを提供するというものです。
「チェック」は、送信前にユーザーが入力したデータをチェックし、ユーザーに修正の機会を提供するというものです。
そして「確認」は、送信する前にユーザー自身が入力内容の見直しや修正を行える仕組みを提供するというものです。
この3つのうちの1つ以上を満たす必要があるんですね。
ゆみこ:なるほど。「チェック」や「確認」でミスを起こさないようにして、もしミスをしてしまった場合でも「取消」ができる仕組みが必要なんですね。
どうしてこのようにする必要があるんでしょうか?
みあ:それは、障害特性によってミスをしやすい場合があるからなんです。
例えば、読字障害のあるユーザーは数字や文字を読み間違えることがあるかもしれないですし、運動障害のあるユーザーはマウスやキーボードの操作を誤ってしまうかもしれません。
法的な手続きや金融取引などでは、1回の操作ミスが大きなトラブルに繋がる可能性があります。
そうしたリスクを減らすために、入力内容を確認して修正できるようにしたり、操作を取り消せるようにする必要があるんですね。
ゆみこ:うーん。そのような理由があるんですね。それでは、この達成基準に適合するためにはどのような対応が必要なんでしょうか?
みあ:達成方法はいくつかありますが、例えば、「オンラインショッピングで注文を受け付けたあと、24時間以内であればユーザーが注文をキャンセルできるようにする」といったように、ユーザーによる処理を修正・キャンセルできる一定の時間を提供するという方法があります。
他には、ユーザーが削除したコンテンツを一定期間は復元できるような機能を提供することや、複数ページに分かれているフォームを、送信する直前に、すべての入力内容を一括で確認できるようにし、修正などができるようにしておくという方法があります。
ゆみこ:処理を修正・キャンセルできる一定の時間があれば、大きなトラブルを防げそうですよね。入力項目の多い、複数ページのフォームが最後に一括で確認・修正できるというのも便利です。障害特性上ミスをしやすいユーザーのリスクを減らすための達成基準となっていますが、誰にとっても助かる仕組みのように感じます。
ウェブアクセシビリティの重要性
みあ:そうですよね。ウェブアクセシビリティに対応することで、あらゆるユーザーにとって使いやすくなる例のひとつが、この達成基準だと思います。
ゆみこ:はい。本日のテーマは、WCAG 2.0 解説シリーズPart21「『ガイドライン3.3 入力支援』とその達成基準 後編」でした。お聞きいただきありがとうございました。
感想をいただけるととっても嬉しいです。
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