今ねお話ししたように、小説すごく科学って楽しい、サイエンスって楽しいっていうものになっているので、それを感じたい人は小説の方をお勧めします。
私がねこの小説読んでて思ったのは、科学における仮説検証の面白さと反証主義っていうものの教材としてすごく面白いなっていうふうに思ったので、その2つについて話そうと思います。
まず仮説検証についてなんですけど、さっきもちょっと説明したように、何にも記憶がない状態の主人公が、もしかしたらこういうことなのかな、やってみよう、やっぱりそうだったとか、いや違ったみたいなことを繰り返すことによって謎が明らかになっていくっていうプロセスを踏むんですよね。
なので、一般的な科学の仮説を立てて、それを実験して検証するっていう流れを何回も何回も踏むんです。それってすごく面白いことだよねっていうのをすごく感じられる小説になっていて。
それがかなり大きな特徴だなっていうふうに感じました。
私自身もね、科学、サイエンスの一番面白いところって、自分で仮説を考えて、それが証明される瞬間だと思っているので、すごく共感しながら、こういう瞬間がやっぱ面白いんだよなって思いながら読みました。
そしてもう一つの反証書記なんですけれども、ちょっと説明しますね。この小説の主人公グレースは、水を必要としない地球外の生物っているんじゃないか、みたいなことを論文に書いた人なんですよ。
で、その論文を書いたら、学術会から、口も悪かったりしたんですけど、いろんな理由があって、学術会から批判されて追い出されてしまうんですね。
で、大きな理由としては、学術の世界では、すべての生き物は水が必要だっていう理論が一般的なんです。だから、グレースが提唱した、水を必要としない生物が存在するはずだっていうのは、なんか急にとんでもねえこと言うやつが現れたわ、みたいなことなんですよね。
だから、結構頭おかしい奴がいるわ、みたいに思ってる人もたくさんいただろうし、めっちゃ科学界の応募書に喧嘩を売ってるわ、みたいな状態でもあったと思います。
それで、学術会から逃げてしまったグレースは、学校の先生をしていたわけですけれども、アストラファージーが現れることによって話が変わってくるわけですよね。
アストラファージーっていう地球外微生物みたいなものは、太陽のエネルギーを食べているっていうことがわかって、そんなときに地球外生命体、しかも太陽の表面で生きられるってことは、きっとそんな場所にいたら水は全部蒸発しちゃうはずだから、水が必要ない生き物なんじゃないか、こいつは、みたいな話になるわけですよね。
だからグレースの論文を参考にした人から、ちょっと君この研究してくださいよ、みたいに言われることになるわけですが、調べてみたらアストラファージーは結局水を多く含むっていうことが明らかになったので、結果、学術会の一般論を覆すことはできなかったんですよね。
で、やっぱり他の科学者から、水を必要としない生物なんているわけないじゃん、みたいなふうに言われたりするわけですけど、そのときグレースは、いやまだ発見されてないだけで、水を必要としない生物がいないっていうことを証明できてるわけじゃないんだっていうふうに考えるわけですよね。
で、これが反証主義っていうやつで、今のところ存在している理論とか通説みたいなもので、仮説に過ぎなくて、今のところそれを反証、えっと反対の証明みたいなことですよね。
違うものが存在するよっていうことを証明する例が出てきてないから、暫定的に仮に正しいよってされているだけで、一個でも違う例が出てきた瞬間に、その仮説は違いましたっていうことになるんですよね。
だから、今の世の中でいう水が必要ない生き物って存在しないよねっていうのは、暫定的な仮の理論なわけですよ。で、結局グレースはその後、宇宙に行った後にエリディアン、ロッキーっていう水を必要としない生物に出会うわけですよね。
これによって、水が必要ない生物は存在しないんだっていう理論は反証されることになるわけですよ。なので、このお話って実はその反証主義的なものを扱っている教材として見ることもできるんじゃないかなっていうふうに感じました。
これね、結構小説読んでると丁寧に書かれてるから、この流れがすごくよくわかるんですけど、映画を見てるとロッキーが二臓必要としない生物なんだみたいなことがわかりにくくなっているので、この面白さを感じたかったらぜひ小説を読んでほしいなっていうふうに思います。ちゃんと説明できてたかな、ちょっと自信ないですけど。