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SEMIN 世界中の子供たちへ届けるメッセージ
前描き デジタル絵本
SEMIN の世界へ来ていただき、ありがとうございます。
この絵本の絵は、4年間をかけて少しずつ手描きで生まれました。
細部まで心を込めて描きましたので、ぜひバックライトを明るくしてお楽しみいただけたら幸いです。
青い海と静かな森
夜と朝のある綺麗な星
人間がまだ誕生していない頃の、この星の小さな世界でのお話です。
名もない島の木の根元に、地中につながる小さな小さな穴がありました。
でも、虫たちの目には、大きな大きな洞窟のような穴でした。
わわわわわ、手を貸してくれ。気をつけろよ。
なあ、あの奥はどうなってるの?
何か住んでいるのかな?
その暗いはずの穴の奥には、蝉たちの街が広がっていました。
明るく見えるのは、蝉たちの目で見ているからです。
この頃の蝉たちは、自分たちが飛べることを知らない時代なのです。
年をとったおじいちゃん蝉も、そのまま暮らしておりました。
わしの孫は、どこへ行ったのかな?
わあ、まぶしい。
上で何が光ってるんだろう?
この好奇心いっぱいの若い蝉が、このお話の主人公、セミンです。
セミン君と呼んであげてください。
最近、蝉たちの大切な食べ物である木の根から、樹液が出なくなってきているのです。
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困ったことになった。
上はどうなっているんだろう?
上は眩しくて行けないしな。
そんな長老たちの話を聞いてしまったセミン君でした。
上の世界、光の国のことだ。
昔、セミン君のおじいちゃん、ミンジーから話を聞いたことがあったのです。
その光の国では、願いは必ず叶うし、何にでもなれる。
そんな夢の世界のようなお話でした。
セミン君は何かひらめきました。
そうだ、あれがあった。
あわてて家に戻ったセミン君は、
自分の宝箱から何かを探しております。
と奥の方にあったはず。
どこだ?
これがあれば眩しくない。
それは一枚の枯れた葉っぱでした。
葉っぱ越しに光を見ると不思議と眩しくないのです。
セミン君にとって昔の友からもらったお守りでした。
セミン、どこへ行くつもりじゃ?
上に行くんだ。
光の国に行けば何でもできるし、何でも叶うんだ。
そうだよね。
そしたら樹液も流せるし、お父さんお母さんにも会えるかも。
セミン君はずっとミンジーと暮らしていたのです。
ミンジーは危ないから止めたのですが、
セミン君の耳には届いておりませんでした。
とうとうセミン君は光の国へ冒険の旅に出てしまいました。
ミンジーは街の外れで見送ってくれました。
必ず無事に帰ってくるんじゃよ。
ミンジー、待っててね。
セミン君はしばらく登り続けて振り返ると育った街が遠くに小さく見えました。
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そんな街を見ているセミン君の後ろに何か大きなものが近づいてきました。
お前は誰だい?
そう言ったのは、セミン君の何倍もあるミミンズと呼ばれている土の中に住む別の生き物でした。
わあわあ、セミン君は言葉も出ませんでした。
この道はこの間の地震で通れないから戻った方がいいと思うよ。
なぜかミミンズは優しく教えてくれたのでした。
それでもセミン君は光の国を目指して登って行くのでした。
僕なら大丈夫、登ってみせるさ。
よいしょ、よいしょ。
途中の大きなトンネルを歩いていると、闇の中から声がしました。
こら、どこへ行くつもりじゃ。
セミン君は飛び跳ねて驚きました。
うわ、びっくりした。
それは上に続く道の番人をしているおばあちゃんでした。
この先へ行くのはやめておけ。
行ったら戻ってこれなくなる。
昔、わしの息子も行ったきり帰ってこないままなんじゃ。
それに大きな岩で道は塞がれてしまったんじゃ。
おばあちゃん、僕は大丈夫。
これから僕は光の国へ行って願い事をかなえるんだよ。
セミン君は元気に答えました。
おばあちゃんはセミン君のまっすぐな目を見てため息をついたあと、
大きな岩のところまで案内してくれました。
それは見上げるくらい大きな岩でした。
なあ、これでは無理じゃろう。
それでもセミン君はあきらめません。
僕は穴掘りが得意なんだ。
大丈夫、僕が道を作ってみせるさ。
やれやれ、わしの息子もそうじゃった。
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おばあちゃんは心配そうにしばらくセミン君の穴掘りを守っていました。
おばあちゃん、ちゃんと帰ってくるから。
安心して待っていてよ。
セミン君は力強く穴を掘り進めていきました。
セミン君は持っている力を全部出して掘りました。
掘って掘って、掘って掘って、掘って掘って、掘って掘って、掘って掘って。
そして手が止まりました。
光の国なんて遠くて行けないのかも。
そう思うと体が重く座り込んでしまいました。
もう手が動かないよ。
あれ、これは?
セミン君があきらめて座り込んでいたすぐ隣に、
持ってきた葉っぱのお守りと同じ形をした緑の葉っぱを発見したのでした。
あれ、石に挟まって抜けない。
うん、しょ、うん、ちょ。
その時です。
ガラガラガラガラガラ。
穴の壁が崩れて、そこから眩しい光が入ってきました。
穴から顔を出したセミン君。
ここは?
そこには大きな大きな木の根が一つになって、
さらに上まで伸びていました。
あれを登って行けばいいんだ。
光の国はすぐそこだ。
セミン君にまた力が湧いてきました。
セミン君はその大きな大きな木の根を登り始めました。
あれ、光がだんだん行ってしまう。
待ってくれよ、今行くよ。
登れば登るほど、その光は遠くへ行ってしまいます。
どうして行ってしまうの?
セミン君はそれでも登り続けました。
登って、登って、登って。
もう目の前の出っ張りに爪をかけて一歩一歩登るしかなかったのです。
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土の中では感じることのなかった強い風や、
サブーンサブーンと変な音に包まれてセミン君は怖かったのですが、
それでも勇気を出して登って行きました。
とにかく、上に、上に行くんだ。
そんな時、ビューン、強い風が吹きました。
大切に持ってきた葉っぱのお守りを落としてしまったのでした。
もうセミン君には戻って探しに行く力は残っていませんでした。
そして、やっとてっぺんまで登り切ったと思ったそこは、
途中で折れて亡くなっていたのでした。
もっと上へ行きたいのに、これじゃ光の国へはいけないよ。
もうセミン君には力も気力も残っていませんでした。
その夜、セミン君は夢を見ました。
不思議な声が聞こえてきたのです。
どうしたんだい?
夢の中でセミン君は叫びました。
もっと上に行きたいんだ。
光の国へ連れて行ってよ、不思議な声は言いました。
連れてはいけないよ。
自分で行くしかないんだよ。
自分で、そのままセミン君は深い深い眠りにつきました。
朝、目を覚ますとセミン君は何色もの光の粒に囲まれておりました。
なんて綺麗なんだ。
一粒一粒の光がセミン君に新たな力と希望を運んでくれているようでした。
ここが光の国なんだ。
何でも叶う世界なんだ。
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セミン君はもっと光に近づきたい、そう思いました。
もっと上へ、そう叫んだセミン君は迷いなく自然と一歩を踏み出しました。
セミン君は思い切り羽を広げて大空高く舞い上がりました。
なんて気持ちいいんだ。
こんな世界があったんだ。
その時、セミン君の頭に人参やおばあちゃん、そして町の仲間たちの顔が浮かびました。
そうだ、みんなに知らせないと。
でもセミン君はどこから飛んできたのかわからなくなっていました。
困ったセミン君は息を大きく吸い込んで、思いっきり大きな声で叫んだのです。
みんな、みんな、光の国へ出ておいで、ありったけの声で呼び続けました。
その声は永遠と受き継がれているのです。
みんな、みん、みんな、みん、
いまでも夏になるとセミン君の声届いていませんか?
あとがき
お願いがあります。
この物語は世界中の子供たちの手に届けるために書き上げました。
ぜひどなたか近くの方へお伝え していただきたいと願っております
ありがとうございました