WEBVTT

00:00:03.640 --> 00:00:05.640
こんにちは、かねまるです。

00:00:05.640 --> 00:00:13.640
プラントライフは、化学プラントの技術者が、科学を軸に、皆さんの視野を広げていく番組です。

00:00:13.640 --> 00:00:19.640
今回は、意外と身近な腐食について取り上げます。

00:00:19.640 --> 00:00:23.640
人参さんからお便りをいただきました。

00:00:23.640 --> 00:00:27.640
ちょっと抜粋して読ませていただきます。

00:00:27.640 --> 00:00:33.640
プラスチックを中心に、退職に関する教育資料を作られている。

00:00:33.640 --> 00:00:39.640
とのことで、技術者の観点から退職について何かアドバイスあれば嬉しいです。

00:00:39.640 --> 00:00:41.640
とのことです。

00:00:41.640 --> 00:00:43.640
お便りありがとうございます。

00:00:43.640 --> 00:00:47.640
そして、遅くなってごめんなさい。

00:00:47.640 --> 00:00:55.640
このお便りって11月末ぐらいにもらってますので、ちょっと時間が経ってしまいました。

00:00:55.640 --> 00:01:02.640
その他お便りいただいている方々もいらっしゃいますけど、準備ができ次第放送します。

00:01:02.640 --> 00:01:08.640
さて、まず退職っていう言葉をお便りいただきました。

00:01:08.640 --> 00:01:13.640
腐食に耐えると書いて退職です。

00:01:13.640 --> 00:01:18.640
つまりは、腐食対策みたいな感じですね。

00:01:18.640 --> 00:01:23.640
化学プラントだと避けて通れないキーワードです。

00:01:23.640 --> 00:01:29.640
今回は、まず腐食とはそもそも何なのかという話から、

00:01:29.640 --> 00:01:44.020
次は金属の腐食の話をして、最後にプラスチックの腐食の話をして終わろうと思います。

00:01:44.020 --> 00:01:48.020
まず、腐食って何なんでしょうか。

00:01:48.020 --> 00:01:54.020
金属が分かりやすくて、錆も腐食の一つです。

00:01:54.020 --> 00:02:00.020
特定の物質が周りの環境、水とか酸素とか、

00:02:00.020 --> 00:02:08.020
そういうものと化学的に反応して、物質が劣化していくようなイメージです。

00:02:08.020 --> 00:02:14.020
金属の腐食で言うと、電気化学の分野になります。

00:02:14.020 --> 00:02:17.020
エレクトロケミストリー。

00:02:17.020 --> 00:02:24.020
イメージとしては、金属表面に小さな電池が勝手にできる感じです。

00:02:24.020 --> 00:02:30.020
金属表面の中で、場所によって役割が分かれています。

00:02:30.020 --> 00:02:36.020
アノードと仮想ドと電解質。

00:02:36.020 --> 00:02:43.020
高校科学とか中学の科学でやったかもしれないですね。

00:02:43.020 --> 00:02:50.020
調べたらすぐ見つかるので、別にアノードとか仮想ドとか覚えなくても大丈夫です。

00:02:50.020 --> 00:02:57.020
電池で言うところのプラス側とマイナス側っていう意味です。

00:02:57.020 --> 00:03:07.020
そもそも電池っていうのは、片側の物質からもう片側の物質に向かって電子を送る、

00:03:07.020 --> 00:03:11.260
そんな反応が電池なんです。

00:03:11.260 --> 00:03:18.260
電子を送る側。これは金属がイオンになっています。

00:03:18.260 --> 00:03:23.260
鉄の場合は鉄イオンに変わります。

00:03:23.260 --> 00:03:36.260
科学的に言うとFEっていう金属の元素の形からFE2プラスというイオンの形に変わります。

00:03:36.260 --> 00:03:40.260
酸化反応っていうものですね。

00:03:40.260 --> 00:03:53.260
鉄を例に見ると、こうして金属の鉄から鉄イオンに変わると、その後この鉄イオンっていうのは酸化鉄になります。

00:03:53.260 --> 00:04:03.830
赤錆です。錆っていうのは鉄が水分と酸素のある環境に置かれると発生します。

00:04:03.830 --> 00:04:14.210
鉄がイオンを放出して、受け取る側っていうのは酸素と水が反応しています。

00:04:14.210 --> 00:04:22.210
酸素と水が反応してOHマイナス、水酸化物イオンができます。

00:04:22.210 --> 00:04:32.210
反応を整理すると片側で鉄イオンができて、もう片側で水酸化物イオンができます。

00:04:32.210 --> 00:04:38.210
その後お互いが反応して赤錆に変わっていきます。

00:04:38.210 --> 00:04:45.210
電池は片側からもう片側へ電子を送らないといけません。

00:04:45.210 --> 00:04:51.210
その電子を送れる場所が電解室です。

00:04:51.210 --> 00:04:56.210
水分が電解室としての役割を果たしています。

00:04:56.210 --> 00:05:01.210
普段の生活でもイメージつくんじゃないでしょうか。

00:05:01.210 --> 00:05:07.210
鉄って水に濡れて放置しているとその部分だけ錆びてきますよね。

00:05:07.210 --> 00:05:17.210
ジャバジャバ水をかけるだけじゃなくて、水の薄い膜とか血路とか、もしくは湿気とか、

00:05:17.210 --> 00:05:24.290
イオンを運ぶための媒体っていうのはいっぱいあります。

00:05:24.290 --> 00:05:31.290
実は身近なものでものすごく錆びやすい液体があります。

00:05:31.290 --> 00:05:35.290
それが海水なんです。

00:05:35.290 --> 00:05:40.290
海水の中には塩が入っていますね。

00:05:40.290 --> 00:05:46.290
塩は水の中でナトリウムイオンと塩化物イオンになって、

00:05:46.290 --> 00:05:51.290
まさにしっかりした電解室として働きます。

00:05:51.290 --> 00:05:59.290
電気がすごく流れやすいということなので、電池の反応が起こりやすいです。

00:05:59.290 --> 00:06:03.290
海水なんかだとステンレスが錆びることもあります。

00:06:03.290 --> 00:06:09.660
そもそもステンレスって錆びるんですよね。

00:06:09.660 --> 00:06:14.660
もっと言うとステンレスって山のように種類があります。

00:06:14.660 --> 00:06:25.260
食器を見てもらうと、もしかすると304って数字が書いてあるかもしれないです。

00:06:25.260 --> 00:06:35.260
これはステンレスを表す番号でして、サス304って呼んだりするんですけど、すごく一般的なステンレスです。

00:06:35.260 --> 00:06:38.260
一番普及しています。

00:06:38.260 --> 00:06:44.260
この一般的なものよりも、もうちょっと腐食の耐性を持たせたいなって思ったら、

00:06:44.260 --> 00:06:51.260
サス316とか316Lっていう型番があります。

00:06:51.260 --> 00:07:01.260
基本的なステンレスの元素が一緒で、若干モリブデンっていう元素を入れたり、炭素の含有量を減らしたり、

00:07:01.260 --> 00:07:08.260
そういう処理をすることで錆びにもっと強いステンレスを作ることができます。

00:07:08.260 --> 00:07:13.260
私はあまり仕事で海水というものを使ったことがないんですけど、

00:07:13.260 --> 00:07:20.260
調べてみるとステンレスの中でも特に強いものを選んでいるみたいです。

00:07:20.260 --> 00:07:25.260
もしくはチタンを使うっていう場合もあります。

00:07:25.260 --> 00:07:27.260
高級ですね。

00:07:27.260 --> 00:07:33.250
腐食の対策方法、いっぱいあります。

00:07:33.250 --> 00:07:41.250
ここまで話したのは金属の種類、つまり材料での対策です。

00:07:42.250 --> 00:07:46.250
その他には環境の対策ができますね。

00:07:46.250 --> 00:07:55.250
電解質となり得る液体から酸素を取り除いたり、水分の少ない環境にしたり、

00:07:55.250 --> 00:08:01.250
pHをなるべく酸性に偏らせないっていう対策もありますね。

00:08:01.250 --> 00:08:10.250
フラントを設計する上では、隙間とか帯流をなくすっていう設計方法をします。

00:08:10.250 --> 00:08:14.250
水たまりをなくすっていう意味ですね。

00:08:14.250 --> 00:08:19.250
化学プラントで腐食っていうのがよく問題になるんですけど、

00:08:19.250 --> 00:08:26.250
中でも配管、鉄のパイプの周りに保温剤をまきます。

00:08:26.250 --> 00:08:30.250
つまり断熱剤をまくっていうことです。

00:08:30.250 --> 00:08:35.250
この断熱剤が結構プラントで問題になってまして、

00:08:35.250 --> 00:08:41.250
もちろん加熱する設備の断熱っていうのは大事なんですけど、

00:08:41.250 --> 00:08:46.250
外からグラスウールみたいなもこもこしたものを巻いて、

00:08:46.250 --> 00:08:51.250
さらに外側からブリッキのカバーをつけています。

00:08:51.250 --> 00:08:54.250
保護する形で巻くんですけど、

00:08:54.250 --> 00:09:00.250
そうなってくると真ん中の配管部分っていうのは全く見えないんですよね。

00:09:00.250 --> 00:09:07.250
その見えない状態で、結露のせいで配管の周りに水が溜まっていったり、

00:09:07.250 --> 00:09:12.250
もしくは雨水が伝って染み込んできたり、

00:09:12.250 --> 00:09:17.250
そうすると気づかないうちに錆が起きて、

00:09:17.250 --> 00:09:22.250
配管に穴が開いて、漏れにつながります。

00:09:22.250 --> 00:09:27.250
扱っているものによりますけど、薬品系が多いので、

00:09:27.250 --> 00:09:31.250
漏れるともちろん危ないです。

00:09:31.250 --> 00:09:38.250
この保温剤下の腐食っていうのはCUIと言ったりするんですけど、

00:09:38.250 --> 00:09:43.250
プラントを長く運転すればするほど腐食が蓄積していきますので、

00:09:43.250 --> 00:09:47.250
トラブルのリスクが高まります。

00:09:47.250 --> 00:09:50.250
特に危険性の高いところっていうのは、

00:09:50.250 --> 00:09:56.250
例えば超音波を使って配管の厚みを測定したりっていうのもするんですけど、

00:09:56.250 --> 00:10:00.250
やっぱり数も膨大でコストもかかるので、

00:10:00.250 --> 00:10:05.250
全て行うっていうのは難しいと思います。

00:10:05.250 --> 00:10:10.250
この腐食の対策を今後どうしていくかというのが、

00:10:10.250 --> 00:10:15.910
長年運転しているプラントの課題となっています。

00:10:15.910 --> 00:10:19.910
最後にプラスチックの退職の話をします。

00:10:19.910 --> 00:10:23.910
実は金属と発想が違うんですよね。

00:10:23.910 --> 00:10:31.350
樹脂の腐食っていうのはまた電気化学的なものとは違って、

00:10:31.350 --> 00:10:35.350
例えば溶媒に溶けてしまったり、

00:10:35.350 --> 00:10:39.350
溶媒を吸って膨潤したり、

00:10:39.350 --> 00:10:43.350
膨潤っていうのは水分とか溶媒を吸い込んで、

00:10:43.350 --> 00:10:48.660
ちょっと膨らみながら柔らかくなるような感じです。

00:10:48.660 --> 00:10:51.660
その他には抽出といって、

00:10:51.660 --> 00:10:58.660
プラスチックに入っている添加剤が溶け出して脆くなっていくっていうこともあります。

00:10:58.660 --> 00:11:04.660
そして忘れちゃいけないのが、化水分解というものです。

00:11:04.660 --> 00:11:09.660
昔、プラスチックの回で話したことがあるかもしれません。

00:11:09.660 --> 00:11:15.660
樹脂そのものが水の存在下で分解していく、そんな状況があります。

00:11:15.660 --> 00:11:24.010
似た話で酸化劣化、熱や酸素で脆くなるっていうのもあります。

00:11:24.010 --> 00:11:28.010
お便りでいただいた内容を考えると、

00:11:28.010 --> 00:11:33.010
かなりこの辺りの話は詳しいのかなって思うんですけど、

00:11:33.010 --> 00:11:36.010
私なりに注意したいところを話すと、

00:11:36.010 --> 00:11:41.010
樹脂の耐薬品性というものがあります。

00:11:41.010 --> 00:11:44.010
エタノールは大丈夫とか、

00:11:44.010 --> 00:11:46.010
硫酸は大丈夫とか、

00:11:46.010 --> 00:11:49.010
だけどアンモニアはダメとか、

00:11:49.010 --> 00:11:53.010
そういう耐薬品評っていうのがあるんですけど、

00:11:53.010 --> 00:11:58.010
それはそのまま受け止めるのは注意した方がいいです。

00:11:58.010 --> 00:12:02.010
耐薬品評っていうのは便利なんですけど、

00:12:02.010 --> 00:12:06.010
温度とか濃度とか、混ざっているものとか、

00:12:06.010 --> 00:12:11.010
力がかかっているかどうか、そういう情報が抜けています。

00:12:11.010 --> 00:12:18.010
なので、どういう条件で丸なのかっていうのは注意した方がいいです。

00:12:18.010 --> 00:12:24.010
そして、液に使っている部分だけ気にするっていうことが多いんですけど、

00:12:24.010 --> 00:12:27.010
実際の使用環境だと、

00:12:27.010 --> 00:12:30.010
気体になって空気中にあるとか、

00:12:30.010 --> 00:12:34.010
結露したら反応性が変わるとか、

00:12:34.010 --> 00:12:37.010
そういう状況もあり得ます。

00:12:37.010 --> 00:12:41.010
なので、単純な運転状況だけじゃなくて、

00:12:41.010 --> 00:12:46.010
使用環境全体、製造の始まりから終わりまで、

00:12:46.010 --> 00:12:49.010
そして運転していない時も含めて、

00:12:49.010 --> 00:12:54.010
どういう状況が考えられるかっていうところを広く見積もって、

00:12:54.010 --> 00:12:58.010
大丈夫かっていうところを判断しないといけないです。

00:12:58.010 --> 00:13:03.010
これ難しいんですけどね。私も正直できないです。

00:13:03.010 --> 00:13:11.010
そして大事なのが、応力、力のかかるところを注意しとかないといけないですね。

00:13:11.010 --> 00:13:17.010
締め付けたり、曲げたり、加工で切ったり、

00:13:17.010 --> 00:13:22.010
そういう時に機械的な力を加えたまま残っている場合があります。

00:13:22.010 --> 00:13:26.010
残留応力って言ったりしますね。

00:13:26.010 --> 00:13:30.010
もし教育資料で何か作られる場合は、

00:13:30.010 --> 00:13:33.010
単純な教科書的なことだけじゃなくて、

00:13:33.010 --> 00:13:37.010
実際に人参酸が使われる場所が、

00:13:37.010 --> 00:13:42.010
どんな状況になるのかっていうところを意識して作られると良いと思います。

00:13:42.010 --> 00:13:48.010
特に大薬品評のところは、温度が常温だったりしますので、

00:13:48.010 --> 00:13:51.010
加熱する場合は注意してください。

00:13:51.010 --> 00:14:01.120
今回は腐食の話をしてみました。

00:14:01.120 --> 00:14:05.120
身近なもので錆っていうのがありましたね。

00:14:05.120 --> 00:14:11.120
そういう錆を見た時に、この放送を思い出してもらえると嬉しいです。

00:14:11.120 --> 00:14:15.120
人参酸お便りありがとうございました。

00:14:15.120 --> 00:14:17.120
今回はここまでです。

00:14:17.120 --> 00:14:22.120
プラントライフでは、化学や工場に関するトピックを扱っています。

00:14:22.120 --> 00:14:27.120
毎週水曜日と日曜日の朝6時に定期配信しています。

00:14:27.120 --> 00:14:33.120
番組へのお便りは、概要欄にあるお便りフォームから投稿ください。

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00:14:48.120 --> 00:14:52.120
それではお聞きいただきありがとうございました。
