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#91 ナフサってなんだ?不足するとなぜ困る?プラスチックを支える出発点
2026-05-10 16:22

#91 ナフサってなんだ?不足するとなぜ困る?プラスチックを支える出発点

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話題のナフサ、そもそも何なの??という話をしてみました。

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サマリー

今回のエピソードでは、化学プラント技術者のかねまるが、プラスチックの出発点である「ナフサ」について解説しました。ナフサは原油を蒸留して得られる様々な炭化水素の混合物であり、特定の化学式では表せない複雑な物質です。これを分解することで、エチレンやプロピレンといった基礎化学品が作られ、これらがポリエチレンやポリプロピレンなどの樹脂、合成ゴム、溶剤といった私たちの身近な製品の原料となります。現在、エチレンプラントの稼働率が過去最低水準にあり、ナフサの供給不足はプラスチック産業だけでなく、潤滑油や電力供給など、社会のインフラ全体に影響を及ぼす可能性があると指摘されています。

ナフサとは何か
こんにちは、かねまるです。 プラントライフは、化学プラントの技術者が、化学を軸に、皆さんの視野を広げていく番組です。
今回は、今話題のナフサについて話します。 こんなお便りをいただきました。
ひろひろしさんからです。
ナフサすごく話題なんですけど、あんまり解説しているところって少ないですね。
報道系の番組だと、化学の話ってしづらそうですね。 特にナフサって前提知識がいるので、私も今回どこまで話そうかなって悩んだのが正直なところです。
可能な範囲で誰もが音声でわかるように話してみます。 とまず、化学的にナフサがどういうものなのかを簡単に言うと、
特定の化学式で表せるようなものじゃないんですよね。 水だったらH2Oとか、
二酸化炭素だったらCO2とか表せるんですけど、 ナフサはいろんなものが混ざっています。
専門用語で言うと混合物というものです。 そもそもナフサを手に入れようと思ったら原油を蒸留しないといけません。
原油を蒸留すると、経油とか、豆油とか、ガソリンなどが手に入ります。 その一環でナフサも手に入るわけです。
だいたい蒸留して手に入るもののうち、30℃から230℃ぐらいのものがナフサです。
ナフサの化学的構成
ではナフサがどういう化学式のものが入っているかというと、 一般的には炭化水素と呼ばれるものが入っています。
メタンやエタン、プロパンなんかもそうなんですけど、 炭素と水素がメインで作られた化合物、これが炭化水素です。
炭素がくっついている数で名前が変わります。 メタンは炭素が1個、エタンは炭素が2個。
プロパンだと炭素が3つつながっているものを言います。 あとは炭素の数だけじゃなくて、炭素同士の化学結合の仕方によって二重結合があると、
エタンじゃなくてエチレンという化合物になったりします。 あとは炭素同士が直線的につながっているものだけじゃなくて、
両端がつながった輪っかみたいなものもありますね。 シクロヘキさんみたいに、頭にシクロという名前がつきます。
もう1個この炭化水素の中で特徴的なのは、 方向属と呼ばれるものが入っておりまして、これだけちょっと特殊な形をしています。
炭素が6個、6角形の形でつながっていまして、ベンゼン管と言います。 このベンゼン管は時々私がプラスチックの話をするときに、
ペットボトルの材料のポリエチレンテレフタラートの一部にベンゼン管が入ってますよって話をよくしています。
科学構造の中にこのベンゼン管があると耐熱性があったり、強くなったり、 科学の世界ではベンゼン管を重要な基本骨格として扱います。
まとめますと、ナフサの中には基本的に炭化水素が入っておりまして、 炭素が直線的につながったり、分岐してつながったりしているものがあったり、
輪っかを描いてつながっているものとか、ちょっと特殊なベンゼン管の形をしているものがあったり、
そして同じ直線とか輪っかであっても、つながっている炭素の数も違います。 いろんな炭化水素の混ざりものがナフサです。
基礎化学品への分解と用途
ナフサにはいろんな炭化水素が含まれていますので、このままではさすがに使えません。
科学メーカーでは、このナフサを基礎化学品と呼ばれるような、 みんながよく使う化合物に分解していきます。
ナフサを分解してできるものがエチレン、プロピレン、ブタジエン、 ベンゼン、トルエン、キシレンみたいな化合物なんですけど、
それらが石油化学の基本的な化合物になります。 世の中の素材にあたる製品はナフサを分解してできた基礎化学品を、
さらに化学反応でいろいろ変化させて作っていきます。 余談ですけど、ナフサを分解する、
つまり、炭化水素の化合物の炭素の鎖を切るっていうのは、 結構エネルギーがいるものでして、
ナフサを分解する設備っていうのは、 だいたい800℃から850℃ぐらいで加熱しています。
ナフサを分解して得られる化合物の一番多いものはエチレンです。
袋のポリエチレンの原料になるものなんですけど、 こうしてエチレンがたくさんできる関係で、ナフサを分解する設備はエチレンプラントと呼んだりします。
ただエチレンだけじゃなくて、同時にプロピレンやブタジエン、 ベンゼン、トルエン、キシレンなんかも手に入りますので、
エチレンプラントがどれくらい動いたかを示すエチレンプラント稼働率で、 どれくらい化学製品が作られていくかということがわかってきます。
石油化学コンビナートと稼働率
ちなみに毎月石油化学工業協会が日本国内のエチレンプラント稼働率っていう 統計データを出してるんですけど、
公共不況を左右する稼働率90%を大きく割って、 68.6%だったみたいです。
主に中国での生産量増加の影響を受けて、 だんだんと国内の稼働率っていうのは落ちていって、
稼働率90%を下回るようなのが40ヶ月ぐらい続いてたんですけど、 どんどん下がって、
90%、80%、70%ってなってきて、 今回の中等情勢の影響ですとか、
定期修理っていう形でプラントの整備が入っている時期と重なったり、
結局統計を開始した1996年以来、 最低の稼働率になったっていう状況です。
話を戻しますと、ナフサを分解していられた様々な炭化水素化合物を、 どうやって他の会社に渡すかというと、
基本的には配管でそのまま隣の会社に渡します。
エチレンプラントが中心にあって、 そのエチレンプラント、つまりナフサを分解してできる化合物を使って、
製品を作っているような会社は、 エチレンプラントの近くにプラントを建てます。
さらにその製品を使うプラントが近くにプラントを建てます。
こうして製品の流れに合わせて出来上がるのが、 石油化学コンビナートです。
石油化学コンビナートは一つの巨大な会社の工場っていうよりは、 複数の会社のプラントが繋がった化学の街みたいな感じですね。
エチレンプラントが基礎化学品を作って、 それを使う誘導品メーカーと呼ばれる会社たちがポリエチレンとかポリプロピレン、
発泡スチロールの原料になるスチレンモノマ、
その他にはナフサを分解してブタジエンとかが手に入るので、 合成ゴムなども作られます。
そして忘れちゃいけないのが溶剤です。
ナフサから手に入った物質を反応させて、いろいろな物質が出来上がります。
こうしてコンビナートで作られたプラスチックとかゴムとか溶剤がいろんな会社に送られて、 機能的な製品が生まれていきます。
ちなみにエチレンの段階だと機体で爆発もするので、 危なくてあまり簡単には運べません。
それをコンビナートの中でポリエチレンというプラスチックの形にすることで固体にできます。
ペレットと呼ばれる固体の粒にすることで、 袋に詰めてトラックなどで運びやすくなります。
機体とか液体の比較的危ない基礎化学品をコンビナートの中で処理をして、 混びやすい固体の材料に変えてから世の中に出しているということです。
ナフサ不足の影響とインフラ
最後にお便りにありました手に入りやすい樹脂、手に入りにくい樹脂という点で話をします。
ナフサが使用されている分量が違うのでしょうか?
とおっしゃってましたけど、まさにその通りです。
結局樹脂に使われる原料がナフサ由来なのかどうなのか、ということで左右されます。
ナフサがないと困りますっていうのはやっぱりポリエチレンですね。
原料はエチレンです。
同じようにポリプロピレンという樹脂もプロピレンが原料なのでナフサに大きく依存しています。
それに対してナフサの影響を少し抑えられているのが身近なもので言うと塩ビです。
ポリエンカビニルという樹脂なんですけど、これはエチレンだけじゃなくて塩素も使っています。
エチレンはナフサ由来ですけど、塩素の方は塩を電気分解して作るのでナフサには依存しません。
つまり塩ビはちょっと困るけど、まだポリエチレンとかポリプロピレンよりは困り具合が少ないっていう感じです。
あとはナフサを分解した時の出てくる炭化水素の割合っていうのがやっぱり違うわけでして、
だいたいエチレンが100に対してプロピレンが50ですよとかブタジエンが15ですよとか比率が変わってきます。
その手に入る比率とさらに世の中の需要に合わせてどれくらい逼迫するかで手に入るものが変わりますので、このあたりは難しいところですね。
高市総理がナフサの在庫ありますって言ったところで、
とはいってもメーカーの気持ちとしてはとりあえずうちが在庫確保したいとか考えますので、
足りるとは言っても急激に発注が出てきてその製品だけ需要が増えてきたらやっぱり足りなくなってきます。
そして先ほど話した塩ビの塩素。
これがナフサに由来しないとは言ってもですね、
かなり強力なエネルギーを使って電気分解をしていますので、
電気がなくなる、つまり火力発電の燃料がなくなってくると塩素は手に入りにくくなります。
つまり今、原油そのものが手に入りにくくなっているので、
燃料が手に入らないとそもそもナフサ以前に世の中の産業がままならなくなるっていう恐れも実はあったんですよね。
その他には原油から作られる潤滑油がなくなると、世の中の機械が動かなくなりますので、
中等問題っていうのは結構材料とかだけの話じゃなくて、
私たちのインフラそのものが根本的に脅かされるっていうところは知っててもいいかもしれません。
ナフサ調達の課題とまとめ
今回はナフサの話をしました。
ヒロヒロさんお便りありがとうございます。
そして本編で言い忘れたなって思ってたことは、ナフサって他の国からも調達したりするようになりましたよね。
その他の国から手に入れるナフサとか原油って炭化水素の中身の割合が違うんです。
だからこれは予想なんですけど、中等用の原油とかナフサを使って作るような設備で、
他の国のものを使うときはちょっと扱いが大変なんだろうなって思います。
もっと言うとタンクなんかも中身の割合が違うと出来上がる量が変わりますので、
貯蔵の面でも苦労しているんじゃないかなと思っています。
こんな感じで何でもお便り募集してますので、ぜひご連絡ください。
今回はここまでです。
プラントライフでは化学や工場に関するトピックを扱っています。
配信は毎週水曜日と日曜日の朝6時です。
感想はぜひXでハッシュタグプラントライフをつけてポストしてください。
そして現在私はノートにてメンバーシップかねまるのここだけの話を公開しています。
発信活動の試行錯誤とか技術者のキャリアとか、
あんまりオープンな場では話しにくいけど残しておきたいような本伝をお届けしています。
書籍の構成案みたいなちょっと途中のものについても載せるようにしています。
もし興味のある方は覗いてみてください。
それではお聞きいただきありがとうございました。
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