WEBVTT

00:00:00.300 --> 00:00:10.660
こんにちはかねまるです。 プラントライフは、化学プラントの技術者が、化学を軸に、皆さんの視野を広げていく番組です。

00:00:12.240 --> 00:00:25.460
今回は、「ものづくり系ポッドキャストの日」という企画に参加しています。 主に、ものづくり系のポッドキャスト番組が共通テーマに沿って話す企画です。

00:00:27.100 --> 00:00:39.360
今回のテーマが、「車」。 愛車や自動車歴,憧れの車,そして仕事での自動車業界との関わりなど,

00:00:40.260 --> 00:00:44.620
車を軸にものづくりの話ししちゃいましょうとのことです。

00:00:46.180 --> 00:00:56.160
化学にとって自動車産業というのは欠かせない存在になっていて, 車全体をあれこれ見ていくのも面白いんですけど,

00:00:57.320 --> 00:01:08.540
今回はあえてタイヤ, あの黒くて丸いゴムの塊,それに絞ってとことん掘り下げてみようかなと思います。

00:01:10.640 --> 00:01:16.260
そこでまず質問です。 タイヤってなんで黒いんでしょう?

00:01:18.740 --> 00:01:26.040
ゴムだから黒いって思うじゃないですか。 でも実はこれ逆なんですよね。

00:01:27.580 --> 00:01:36.240
ゴムって本当はあんなに黒くないんです。 今回はそのなんで黒いのって話から始めて,

00:01:36.800 --> 00:01:43.620
最後にはタイヤのリサイクルの話までつなげていこうと思います。 それでは行きましょう。

00:01:49.690 --> 00:02:00.650
まずなぜタイヤが黒いのかというところから始めますと, 先ほど話した通りゴムそのものは黒くないんですよね。

00:02:02.050 --> 00:02:06.090
天然ゴムの木って画像で見たことありますかね?

00:02:08.610 --> 00:02:20.490
天然ゴムってもともとはゴムの木っていうものの樹液なんですけど, その樹液は乳白色で牛乳みたいな色をしています。

00:02:22.630 --> 00:02:29.610
その樹液のゴムの細かい粒が光に散乱して白く見えているっていう状態です。

00:02:31.450 --> 00:02:42.010
そこからなんであんなに黒くなるかっていうと, カーボンブラックっていうものすごく細かい炭素の粉が入っています。

00:02:43.490 --> 00:02:54.340
これをゴムに練り込んでいるから黒くなるんです。 この炭素の粉,色をつけているわけではないんですよね。

00:02:56.320 --> 00:03:06.330
補強のために入れています。 ゴムって実はそのままだと結構やわですぐすり減っちゃいます。

00:03:08.150 --> 00:03:14.330
身近なものだと和ゴムですかね? 何度か使っていると伸びてきたり,

00:03:15.590 --> 00:03:26.640
ちょっと力をかけすぎるとちぎれたり, 後ほど話す下流っていう操作でゴム自体もちょっと強くはなっているんですけど,

00:03:27.220 --> 00:03:42.760
それでもやっぱりタイヤに使うにはまだ弱いっていう状態です。 そこでカーボンブラックを混ぜてゴムの分子と炭素の粒ががっちり絡み合って,

00:03:42.760 --> 00:03:53.210
強度とかすり減りにくさとか段違いにあげるわけです。 結果として黒い色になっています。

00:03:56.080 --> 00:04:04.580
あと個人的に今回調べてみて面白かったのは, タイヤってゴムの塊っぽく見えるじゃないですか?

00:04:05.800 --> 00:04:16.240
外から見たら真っ黒なんで, ただ重さで見るとゴムってだいたいタイヤの半分ぐらいらしくて,

00:04:16.720 --> 00:04:24.760
残りはカーボンブラックとか補強材とか, 中に入っている銅のワイヤーとか繊維とか,

00:04:25.940 --> 00:04:32.000
後で話すイオウとか, そういうものなんですよね。

00:04:33.940 --> 00:04:48.480
タイヤの半分くらいがゴムじゃないって意外でした。 ここからゴムがどうやって固くなっていくのかっていう話をしていきます。

00:04:49.980 --> 00:04:58.920
まずは最初に話した木のところからですね。 天然の生ゴムがどうやって固くなるのか,

00:04:59.920 --> 00:05:08.880
下流という操作が行われます。 イオウを加えると書いて,下流と読みます。

00:05:11.860 --> 00:05:19.500
もともと天然ゴムから取れたゴムの分子っていうのは, 紐みたいな感じの構造になっておりまして,

00:05:21.720 --> 00:05:32.590
その紐の分子構造同士をイオウで端掛けするようなイメージですね。 網だくじみたいなイメージです。

00:05:35.150 --> 00:05:42.250
この下流というものは19世紀のアメリカでグッドイヤーさんが見つけました。

00:05:43.950 --> 00:05:49.750
グッドイヤーってなんか聞いたことありますね。 タイヤメーカーであります。

00:05:51.390 --> 00:06:01.670
ただそのタイヤの会社の名前はグッドイヤーさんにちなんではいるんですけど, 本人とは全然関係ないみたいですね。

00:06:04.760 --> 00:06:19.680
もともとのゴムの紐みたいな分子をイオウで端掛けすることで, 強度とか弾力とかが出て初めて皆さんが知っているゴムの感じになるんです。

00:06:21.220 --> 00:06:32.120
ちなみになんですけど, イオウをたくさん入れて加強させ続けると, 今度は逆にカチカチの硬いゴムになっちゃいます。

00:06:33.480 --> 00:06:38.780
このあたりはメーカーの量のさじ加減というか, 技術のところです。

00:06:40.940 --> 00:06:51.860
そして大事なのが, この下流操作, イオウで分子同士をつないでしまうと, 基本的には元に戻せません。

00:06:53.100 --> 00:07:00.200
プラスチックみたいに熱で溶かして, また別の形に作り直すっていうことができなくて,

00:07:01.600 --> 00:07:06.480
つまりは,タイヤってそう簡単に元に戻せないんですよね。

00:07:08.360 --> 00:07:12.500
そうなると,ギサイクルって大変です。

00:07:14.380 --> 00:07:22.020
車を乗っている方だったらわかりますけど, だんだん溝が減っていって交換する時期ってきますよね。

00:07:23.880 --> 00:07:29.720
そうなると,この使い終わったタイヤってどうするんでしょうか?

00:07:34.460 --> 00:07:41.440
タイヤって日本だけでも毎年ものすごい本数が使用済みになるんですよね。

00:07:42.800 --> 00:07:46.920
年間でだいたい9000万本くらいみたいなんですけど,

00:07:48.000 --> 00:07:57.500
これどうなるかというと,ちゃんと回収されて, 実はほぼ100%が何かしらの形で使われています。

00:07:58.880 --> 00:08:03.820
さすがに処理しきれなくて山積みみたいな状態はないんですけど,

00:08:05.280 --> 00:08:11.980
ただその使われ方の中身っていうのがこれから問題になってくるなっていう状況です。

00:08:13.500 --> 00:08:20.780
使い終わったタイヤのリサイクル方法,サーマルリサイクルというものになっておりまして,

00:08:22.180 --> 00:08:27.700
つまりは,タイヤを燃やして熱として使うっていうことなんです。

00:08:29.320 --> 00:08:31.160
熱回収とも言いますかね.

00:08:33.240 --> 00:08:40.000
タイヤには炭素の粉が入っていたり,石油から作った合成ゴムも入っていたり,

00:08:40.860 --> 00:08:43.460
よく燃えて火力が高くなったりします.

00:08:45.180 --> 00:08:52.400
だから特に製紙の工場,紙の工場とか,セメントを焼く工場とか,

00:08:53.280 --> 00:09:00.260
そういったところで石炭や重油の代わりに燃料として燃やされているんですよね.

00:09:02.120 --> 00:09:07.600
だいたい今,8割くらいが燃料として燃やされていまして,

00:09:08.460 --> 00:09:13.400
あと2割くらいはマテリアルリサイクルという名前で,

00:09:13.940 --> 00:09:17.600
代料として再利用されているっていう状況です.

00:09:19.750 --> 00:09:25.430
使い終わったタイヤ,また溶かして新しいのにすればいいじゃんって,

00:09:26.490 --> 00:09:32.330
通常は考えやすいんですけど,それができない理由があります.

00:09:34.620 --> 00:09:35.460
過流ですね.

00:09:36.840 --> 00:09:41.220
硫黄でゴムの分子をがっちり走ってつないじゃってるんで,

00:09:41.820 --> 00:09:47.500
熱で溶かして,こねて,別のタイヤに作り直すっていうのができないんですよね.

00:09:49.810 --> 00:09:53.810
例えばリサイクルで有名なのはペットボトルですね.

00:09:55.730 --> 00:10:01.210
溶かして別のペットボトルにするみたいな,こういうことはできるんですけど,

00:10:02.150 --> 00:10:08.450
タイヤっていうのは単純に溶かしてもう一度作るっていうのが難しいんです.

00:10:10.380 --> 00:10:15.460
じゃあそれを諦めているかっていうと,そういうわけでもなくて,

00:10:16.440 --> 00:10:22.120
硫黄で加強しているんだったら,それをなくせばいいじゃんという考え方で,

00:10:23.180 --> 00:10:26.400
脱流という操作が取り組まれています.

00:10:26.400 --> 00:10:34.810
つまり,端掛けした硫黄の結合を何とか部分的に切って,

00:10:35.650 --> 00:10:40.830
もう一回ゴムを柔らかい状態に戻そうというアプローチです.

00:10:42.070 --> 00:10:46.270
実際に再生ゴムっていうのもあるらしいんですけど,

00:10:47.230 --> 00:10:52.550
やっぱり性質が新品通りには戻らないという問題があります.

00:10:54.190 --> 00:11:01.030
あともう一つ,単純に燃やして熱として手に入れるだけじゃなくて,

00:11:01.250 --> 00:11:05.650
タイヤを熱分解するという使い方があります.

00:11:07.150 --> 00:11:15.210
空気をなくして,ものすごい高温で蒸し焼きにして,油とかガスの状態にします.

00:11:16.890 --> 00:11:23.270
その状態にしてカーボンブラックを回収しようという方向です.

00:11:24.810 --> 00:11:30.410
どちらにしても技術的に問題があったり,コスト的に問題があったり,

00:11:31.730 --> 00:11:33.070
課題は山積みです.

00:11:34.990 --> 00:11:39.070
あともう一つ参考に,タイヤの今の問題というのは,

00:11:39.850 --> 00:11:43.310
実はマイクロプラスチックに関係しています.

00:11:45.050 --> 00:11:50.030
道路を走ると,タイヤってちょっとずつすり減っていきますので,

00:11:51.050 --> 00:11:58.090
その削れた細かい粉がマイクロプラスチックとして問題になっています.

00:11:59.290 --> 00:12:04.150
だいたい陸から発生するマイクロプラスチックのうち,

00:12:04.890 --> 00:12:07.770
タイヤ由来ってどれくらいあるんでしょうか?

00:12:10.300 --> 00:12:15.420
30から55%がタイヤ由来と言われています.

00:12:17.400 --> 00:12:22.800
単純にタイヤのゴムが海の方に行っているだけじゃなくて,

00:12:23.640 --> 00:12:29.880
タイヤの中に入っている成分ってゴム以外にも半分ぐらいあるって話でしたよね?

00:12:32.030 --> 00:12:37.230
当然自然由来のものでもなくて,自然に変えるものでもないので,

00:12:37.230 --> 00:12:42.770
それが海の生物に悪影響を出してしまうということです.

00:12:44.770 --> 00:12:47.710
このタイヤの難しいところは,

00:12:48.730 --> 00:12:54.370
タイヤを捨てた後じゃなくて,走っている最中に出ちゃうやつなので,

00:12:55.990 --> 00:13:00.430
根本的に何とかしないと解決しないものです.

00:13:02.930 --> 00:13:05.270
運転の速度を落とすとか,

00:13:07.060 --> 00:13:12.460
タイヤに使われる材料を海に影響が出ないものに変えたり,

00:13:13.980 --> 00:13:18.000
難易度がおそらくとんでもなく高くて,

00:13:18.800 --> 00:13:24.920
そもそもの自動車の概念自体を考え直さないといけないかもしれません.

00:13:26.560 --> 00:13:32.480
タイヤで走っている以上は必ずすり減っていくでしょうね.

00:13:32.480 --> 00:13:40.010
とは言っても,環境省のデータを見る感じだと,

00:13:40.010 --> 00:13:47.410
タイヤの摩耗量に影響する要因って一番は運転操作らしいです.

00:13:48.630 --> 00:13:53.670
アクセル,ブレーキ,ハンドル操作,速度,

00:13:54.430 --> 00:13:59.190
そういったもので解消できる部分もあるらしいです.

00:14:00.830 --> 00:14:11.110
なんなら道路表面の状況とか道路の設計段階よりも運転操作の影響が大きいみたいで,

00:14:12.370 --> 00:14:17.330
安全運転を心がけることでタイヤの摩耗を減らせますよ.

00:14:17.850 --> 00:14:21.270
っていう話が環境省のページに書いてありました.

00:14:24.040 --> 00:14:29.160
そしてもう一つ,車を定期的にメンテナンスしてくださいね.

00:14:29.160 --> 00:14:33.760
ということで,タイヤの空気圧を適正に管理して,

00:14:34.440 --> 00:14:37.620
ホイールアライメントを適切に保ちましょう.

00:14:40.100 --> 00:14:46.700
ホイールアライメントというのは,タイヤの向きとか角度を整えるということですね.

00:14:48.080 --> 00:14:51.620
直進性とか曲がりやすさに関係してきます.

00:14:54.030 --> 00:14:58.170
こんな感じで,意外と問題になっていることも,

00:14:58.530 --> 00:15:04.610
私たちのちょっとした取り組みで改善されるということがあるんですね.

00:15:10.010 --> 00:15:13.870
今回は,ものづくり系ポッドキャストの日のテーマ,

00:15:14.250 --> 00:15:17.930
車に合わせてタイヤの話をしてみました.

00:15:19.670 --> 00:15:22.290
ゴムって黒じゃないんですね.

00:15:24.400 --> 00:15:28.180
ちなみに,私も化学メーカーにいますので,

00:15:29.040 --> 00:15:32.400
自動車業界との関わりももちろんあります.

00:15:35.350 --> 00:15:38.930
当然,直接取引するようなことはないのですが,

00:15:39.890 --> 00:15:46.710
最終的に回り回って,自動車に使われているということがよくあります.

00:15:48.770 --> 00:15:52.470
例えば,私が関わった製品で言うと,

00:15:53.870 --> 00:15:56.110
まず,自動車がありまして,

00:15:56.730 --> 00:16:01.370
その自動車には,エンジンとかハンドルとかシートとか,

00:16:01.970 --> 00:16:03.850
いろいろパーツがありますよね.

00:16:06.100 --> 00:16:09.300
そのパーツの一部品があって,

00:16:10.340 --> 00:16:15.640
その部品に使う材料の原料を作っていました.

00:16:17.460 --> 00:16:18.760
わかりましたか?

00:16:20.000 --> 00:16:24.060
自動車のとあるパーツに使われる,

00:16:24.200 --> 00:16:28.180
とある部品の中にある材料で,

00:16:28.920 --> 00:16:32.740
その材料に使われる原料を作っていました.

00:16:34.840 --> 00:16:37.160
という感じで,

00:16:37.460 --> 00:16:43.520
巡り巡ってその業界に関わっていますっていうのが化学では多いです.

00:16:44.600 --> 00:16:48.360
例えば,半導体とか航空機とかもそうですね.

00:16:49.280 --> 00:16:51.680
食品なんかもそうです.

00:16:52.640 --> 00:16:55.680
だから,この一部の製品のエリアだけ,

00:16:56.080 --> 00:17:00.960
食品用途だから管理の仕方が違いますよとか言うのはよくあります.

00:17:02.400 --> 00:17:04.700
化学製品というのは結局,

00:17:05.160 --> 00:17:10.060
いろんな最終製品に使う材料を取り扱っていますので,

00:17:11.240 --> 00:17:14.800
なんだかんだいろんな業界との関わりが出てきます.

00:17:16.420 --> 00:17:18.080
気になった方は,

00:17:18.280 --> 00:17:22.880
化学メーカーのホームページとか製品情報を見てもらいたいんですけど,

00:17:23.480 --> 00:17:28.300
そうすると,こういう用途で使われていますよっていうのがいっぱい書いてあります.

00:17:29.360 --> 00:17:31.260
参考に見てみてください.

00:17:32.760 --> 00:17:34.100
今回はここまでです.

00:17:34.700 --> 00:17:38.980
プラントライフでは,化学や工場に関するトピックを扱っています.

00:17:40.420 --> 00:17:45.740
配信は毎週水曜日と日曜日の朝6時を予定しておりまして,

00:17:46.560 --> 00:17:49.500
もし番組の感想をいただける場合は,

00:17:49.600 --> 00:17:51.540
概要欄のお便りフォームですとか,

00:17:52.120 --> 00:17:57.280
Xにハッシュタグプラントライフをつけて発信してもらえると助かります.

00:17:59.140 --> 00:18:06.000
そして,ノートにてメンバーシップかねまるのここだけの話というものを公開しておりまして,

00:18:06.660 --> 00:18:12.060
発信での裏話とか,オープンな場では話しにくいようなこと,

00:18:12.220 --> 00:18:15.020
そういった内容を発信していますので,

00:18:15.420 --> 00:18:18.780
もしよろしければ入っていただけると嬉しいです.

00:18:20.680 --> 00:18:23.300
それではお聞きいただきありがとうございました.
