WEBVTT

00:00:05.900 --> 00:00:09.900
どうも、かねまるです。

00:00:09.900 --> 00:00:20.900
プラントライフは、化学プラントの技術者が、化学や工場に関するトピックを分かりやすく紹介する番組です。

00:00:20.900 --> 00:00:29.900
今回は、プラント設計する時に私が考えていること、というテーマでお話をします。

00:00:29.900 --> 00:00:36.440
これを話すきっかけとなったのが、あるお便りからです。

00:00:36.440 --> 00:00:40.440
人参さんからいただきました。ありがとうございます。

00:00:40.440 --> 00:00:56.650
プラントの設計の仕方に関する質問でして、ちょっと専門的かなって思ったのと、具体的な内容が書いてありましたので、個別に返信させていただきました。

00:00:56.650 --> 00:01:05.650
この番組では、もう少し抽象化させて、どんな形で考えているのか、という話をしたいと思います。

00:01:05.650 --> 00:01:15.980
製造業においては、アルファベット3つでQCDという考え方があります。

00:01:15.980 --> 00:01:30.420
Qがクオリティで品質、Cがコスト、Dがデリバリー、納期です。

00:01:30.420 --> 00:01:46.420
まず、Qの品質については、例えば価格反応をすると、メインの反応だけじゃなくて、副反応と呼ばれる目的以外の反応というのも起こり得ます。

00:01:46.420 --> 00:01:51.420
もしくは、反応しなかった残りというのも含まれます。

00:01:51.420 --> 00:02:01.860
前作った製品が種類が違ったら、異物として購入しているかもしれません。

00:02:01.860 --> 00:02:06.860
これはコンタミネーション、コンタミと言ったりもします。

00:02:06.860 --> 00:02:21.820
目的の製品には品質の規格というものがあって、例えば不純物がこの割合だけ含まれていたらNGとか、

00:02:21.820 --> 00:02:29.820
この色になっていたらNGとか、製品によって規格が変わります。

00:02:29.820 --> 00:02:40.820
最初に設計する時は、その製品がどれくらい厳密な規格に基づいて作らないといけないのかということを考えます。

00:02:40.820 --> 00:02:45.820
どれくらい精密に反応を制御するのか、

00:02:45.820 --> 00:02:53.820
もしくは、反応した後に蒸留をしたり、ろ過をしたり、

00:02:53.820 --> 00:02:59.820
出来上がったものをどれくらいきれいにするかということも考えます。

00:02:59.820 --> 00:03:11.820
条件が厳しくなるほど制御するプログラムが複雑になったり、設備の大きさが大きくなったり、コストがかかります。

00:03:11.820 --> 00:03:21.820
この時、同じメーカーから同じ材料を買ったとしても、その中でも若干品質にばらつきがあります。

00:03:21.820 --> 00:03:27.820
そして、1年を通すと外気温が変わったりもします。

00:03:27.820 --> 00:03:34.820
様々な変化を予測して、安定した品質で提供できるように考えます。

00:03:34.820 --> 00:03:39.450
次がコストです。

00:03:39.450 --> 00:03:43.450
これは言わずもがなお金の話です。

00:03:43.450 --> 00:03:50.790
とは言っても、単純に設備を買うお金だけじゃありません。

00:03:50.790 --> 00:03:57.790
運転するときのお金、ランニングコストというのも考えないといけないです。

00:03:57.790 --> 00:04:07.790
例えば、安いけどものすごく壊れやすいとか、エネルギーをすごく使うとか、

00:04:07.790 --> 00:04:15.790
最初は安いけど、トータルで見たら結局高くついた、なんてことはよくあります。

00:04:15.790 --> 00:04:23.790
プラントの設備を買うと、1台あたり数百万円とか数千万円とかしてきます。

00:04:23.790 --> 00:04:27.790
億を超えるものもあります。

00:04:27.790 --> 00:04:34.790
そうした初期のコストというのは高くなってしまいますので、かなり目立ちます。

00:04:34.790 --> 00:04:41.790
上層部の方から初期コストを下げるように言われるというのはよくある話ですね。

00:04:41.790 --> 00:04:50.170
そこに対して運転費用も加味して提案しないといけません。

00:04:50.170 --> 00:04:56.930
そこには当然、人件費というのも乗っかってきます。

00:04:56.930 --> 00:05:01.930
自動化された設備というのはやっぱり高くなります。

00:05:01.930 --> 00:05:12.720
反対に手動でやるような設備というのは安いんですけど、見えない人件費が乗っかってきます。

00:05:12.720 --> 00:05:19.800
そこも理解した上で、トータルで安いものを選びます。

00:05:19.800 --> 00:05:25.800
そして3つ目、デリバリー、納期の話です。

00:05:25.800 --> 00:05:32.800
これはお客さんに製品を予定通り届けられるかということを意味します。

00:05:32.800 --> 00:05:39.810
一番わかりやすいのが在庫ですね。

00:05:39.810 --> 00:05:50.150
例えば、1ヶ月分の在庫が持てるように大きな貯蔵タンクを設けておくという案があります。

00:05:50.150 --> 00:05:57.720
注文が来たらすぐ出荷ができるので、納期は維持できます。

00:05:57.720 --> 00:06:02.720
ただし、貯蔵のタンクっていうのはただ貯めているだけなので、

00:06:02.720 --> 00:06:07.720
お金をかけても新しい価値を生んでないということになります。

00:06:07.720 --> 00:06:16.000
この場合、納期を優先してコストを支払っているという形になります。

00:06:16.000 --> 00:06:24.950
新しい機器を導入するときは、その機器の納期を確認します。

00:06:24.950 --> 00:06:33.950
例えば、特殊な金属を使った装置とか、海外製の測定機器とか、

00:06:33.950 --> 00:06:38.950
発注をしてから1年かかるものというのもあります。

00:06:38.950 --> 00:06:45.950
それらを見極めて、発注とスケジュール管理をしないといけません。

00:06:45.950 --> 00:06:52.950
もう一つ、納期に関しては、トラブルが起きにくいというのも意識します。

00:06:52.950 --> 00:06:59.060
設計通りだと問題なく納入できるけど、

00:06:59.060 --> 00:07:06.820
トラブルが起きてしまうと、その間は製造ができなくなってしまいます。

00:07:06.820 --> 00:07:11.820
身近な事例で言うと、配管凍結が1個ありますね。

00:07:11.820 --> 00:07:20.550
冬場は水が凍って、氷の方が水より体積が大きいので、

00:07:20.550 --> 00:07:25.550
配管の中から圧力がかかって割れる場合があります。

00:07:25.550 --> 00:07:33.550
水は反応を制御するための冷却水として用いる場合もあります。

00:07:33.550 --> 00:07:41.550
当然、冷やして安全を確保する水がないと製造ができないです。

00:07:41.550 --> 00:07:47.550
それによって予定通り納品ができないという可能性もあります。

00:07:47.550 --> 00:07:54.180
こうした予測できる事項は事前に対策したらいいんですけど、

00:07:54.180 --> 00:08:01.180
予測不能なことが起きた時、そういう時に在庫が役に立ちます。

00:08:01.180 --> 00:08:06.850
例えば、1ヶ月分の在庫を持っていたとすると、

00:08:06.850 --> 00:08:10.850
トラブルを解消するまでの余裕が生まれます。

00:08:10.850 --> 00:08:21.960
品質とコストと納期、どれを優先してどれを諦めるのか、

00:08:21.960 --> 00:08:24.960
というのを常に考えないといけません。

00:08:24.960 --> 00:08:34.330
製造業においてQCDという考え方が一般的なんですけど、

00:08:34.330 --> 00:08:43.330
それを少し拡張してPQCDSMEという考え方もあります。

00:08:44.330 --> 00:08:46.330
7つに増えています。

00:08:46.330 --> 00:08:52.700
Pはプロダクティビティ、生産性です。

00:08:52.700 --> 00:08:58.210
Sはセーフティ、安全。

00:08:58.210 --> 00:09:06.780
Mはモラル、やる気とか、四季とか、そういうものを表します。

00:09:06.780 --> 00:09:14.340
最後、Eがエンバイオロンメント、環境です。

00:09:14.340 --> 00:09:23.170
先ほどQCDのどれを優先するかという話をしましたけど、

00:09:23.170 --> 00:09:32.170
正確にはこの7つ、PQCDSMEというものを意識して、

00:09:32.170 --> 00:09:37.170
どう設計するかということを考えます。

00:09:37.170 --> 00:09:44.170
例えば、コストを優先して使いにくいプラントにした場合、

00:09:45.170 --> 00:09:51.170
製造される方のモラル、四季が下がります。

00:09:51.170 --> 00:10:00.170
最終的にそれが安全や品質の低下につながっていくということもあり得ます。

00:10:00.170 --> 00:10:05.170
こういう考え方って日常でもよくやっていて、

00:10:05.170 --> 00:10:08.170
例えば、移動なんかがそうですよね。

00:10:08.170 --> 00:10:14.020
大阪から東京に行くとき、

00:10:14.020 --> 00:10:18.020
もちろんドンコウで行けますけど、

00:10:18.020 --> 00:10:22.020
安いからっていってあんまり使わないですよね。

00:10:22.020 --> 00:10:30.430
自分の体力とか時間を優先して新幹線を選ぶと思います。

00:10:30.430 --> 00:10:33.430
こうして挙げた7種類の指標というのは、

00:10:33.430 --> 00:10:36.430
だいたいがトレードオフ、

00:10:36.430 --> 00:10:42.430
あちらが立てばこちらが立たないというような関係にあります。

00:10:42.430 --> 00:10:46.430
技術者は、この複雑な問題の中から

00:10:46.430 --> 00:10:51.430
最適だと思うものを自分で選ばないといけません。

00:10:51.430 --> 00:10:54.430
答えはないです。

00:10:54.430 --> 00:11:00.430
少なくとも火事が起きるとか、人が亡くなるとか、

00:11:00.430 --> 00:11:03.430
それだけはダメなんですけど、

00:11:03.430 --> 00:11:08.430
他のところはコストについても納期についても、

00:11:08.430 --> 00:11:14.430
その製品や置かれている環境によってだいぶ変わってきます。

00:11:14.430 --> 00:11:20.430
1年前と状況が違うなんていうこともざらにあります。

00:11:20.430 --> 00:11:26.430
だからこそ、それが技術者の力量を試される場所であって、

00:11:26.430 --> 00:11:29.430
面白いところでもあります。

00:11:29.430 --> 00:11:32.430
新しい設備を導入する場合は、

00:11:32.430 --> 00:11:37.430
結局どれだけ計算をしたり想定をしたところで、

00:11:37.430 --> 00:11:43.430
導入して蓋を開けてみない限りわからないこともたくさんあります。

00:11:43.430 --> 00:11:49.430
導入し終わって情勢がどうなっているかというのもわからないです。

00:11:49.430 --> 00:11:57.450
最終的には腹を決めて、思い切って投資をするか、

00:11:57.450 --> 00:12:03.450
もしくはしないという判断をするかというところが大事になってきます。

00:12:05.700 --> 00:12:14.010
ただしここは技術者が考えるというより、決済者が判断するところです。

00:12:14.010 --> 00:12:22.380
私はよく、ここまでやったら後は腹を決めるだけですよって言ったりしますね。

00:12:22.380 --> 00:12:26.380
このあたりはお互いに必要な情報が違いますので、

00:12:26.380 --> 00:12:33.780
都度相談しながら調整していく形ですね。

00:12:33.780 --> 00:12:38.780
今回はプラント設計するときに考えていることについて、

00:12:38.780 --> 00:12:44.780
PQCD、SMEという7つの要素に分けて話をしました。

00:12:44.780 --> 00:12:53.160
もし追加でわからないことなどがあったら、DMやお便りフォームから連絡ください。

00:12:53.160 --> 00:12:57.050
最後にお願いです。

00:12:57.050 --> 00:13:03.050
プラントライフは11月30日で1周年を迎えます。

00:13:03.050 --> 00:13:07.050
日頃の感謝を込めて記念放送を予定しています。

00:13:07.050 --> 00:13:12.680
そこで皆さんからのお便りを募集しています。

00:13:12.680 --> 00:13:18.060
いつも聞いていますという応援メッセージ以外にも、

00:13:18.060 --> 00:13:27.060
これが良かったとか、ここが印象に残っているといった好きだった回をぜひ教えてください。

00:13:27.060 --> 00:13:34.060
概要欄のお便りフォームもしくはXのDMからご連絡をお待ちしています。

00:13:34.060 --> 00:13:37.060
ぜひともよろしくお願いします。

00:13:37.060 --> 00:13:39.060
今回はここまでです。

00:13:39.060 --> 00:13:45.060
プラントライフでは化学や工場に関するトピックを扱っています。

00:13:45.060 --> 00:13:51.060
毎週水曜日と日曜日の朝6時に定期配信しています。

00:13:51.060 --> 00:13:56.060
そしてこのプラントライフがいいなと思っていただけたら、

00:13:56.060 --> 00:14:02.060
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それぞれのアプリからやっていただけるとすごく嬉しいです。

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もしXで発信していただける場合は、

00:14:16.060 --> 00:14:22.060
こちらから確認しやすいようにハッシュタグプラントライフをつけてください。

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それではお聞きいただきありがとうございました。
