WEBVTT

00:00:02.800 --> 00:00:04.400
こんにちは、かねまるです。

00:00:05.560 --> 00:00:12.880
プラントライフは、化学プラントの技術者が、化学を軸に、皆さんの視野を広げていく番組です。

00:00:14.700 --> 00:00:20.080
今回は、「化学系ポッドキャストの日」という企画に参加しています。

00:00:22.100 --> 00:00:29.880
化学系の番組も、そうでない番組も含めて、毎月共通テーマに沿って話す企画です。

00:00:31.640 --> 00:00:39.980
毎月のホスト番組が決まっておりまして、10月はこのプラントライフがホストを務めます。

00:00:41.880 --> 00:00:44.440
共通テーマは、匂いにしました。

00:00:46.500 --> 00:00:51.440
秋って、自然や食べ物など、匂いっていっぱいありますよね。

00:00:53.100 --> 00:00:59.340
それに加えて、実験室みたいな、化学に関連するような匂いもありますので、

00:01:00.060 --> 00:01:02.400
今回は匂いの話。

00:01:04.400 --> 00:01:09.800
プラントライフでは、臭素という元素を取り上げてみようと思います。

00:01:11.760 --> 00:01:14.200
匂いの元と書いて臭素。

00:01:15.920 --> 00:01:21.900
中でも、悪臭の方の匂いの元って書かれておりまして、

00:01:22.680 --> 00:01:26.180
名前の由来からして、匂いがすごそうですね。

00:01:28.470 --> 00:01:37.010
今回はそんな臭い匂いの元と名前をつけられてしまった臭素の紹介をしていきます。

00:01:38.590 --> 00:01:40.810
たまにある元素回です。

00:01:41.630 --> 00:01:42.530
それでは行きましょう。

00:01:48.950 --> 00:01:54.830
臭素という元素の名前を漢字で書いたら、臭い元。

00:01:56.070 --> 00:02:02.470
英語だとブロミンと言いますけど、語源はギリシャ語のブロモスですね。

00:02:03.290 --> 00:02:06.010
意味は、悪臭。

00:02:07.150 --> 00:02:11.010
日本語の臭素も文字通り、匂いの元。

00:02:11.850 --> 00:02:14.510
名前からして臭い元素なんですよね。

00:02:16.650 --> 00:02:19.670
今回はそんな臭素の話をしていくんですけど、

00:02:20.330 --> 00:02:25.310
実はプラントライフの過去のエピソードで臭素が出てきた回があります。

00:02:26.390 --> 00:02:28.090
覚えてますでしょうか。

00:02:29.690 --> 00:02:34.350
シャープ126番、白川秀樹さんの回。

00:02:36.500 --> 00:02:43.540
電気を通すプラスチックの時に、ポリアセチレンというプラスチックに臭素を加えたら、

00:02:43.900 --> 00:02:48.400
電気の通りやすさが4桁も5桁も上がったっていう話をしました。

00:02:50.520 --> 00:02:52.900
その臭素が今回は主役です。

00:02:54.640 --> 00:03:00.740
周期表で言うと、上から4段目、右から2列目です。

00:03:02.750 --> 00:03:12.550
一番右の列っていうのはヘリウムとかネオンという元素がいる希ガスと呼ばれるグループなんですけど、

00:03:13.430 --> 00:03:24.170
その希ガスのもう1個左側、右から2番目の列の17族というところに該当します。

00:03:26.110 --> 00:03:31.030
17族、同じ族だと似たような性質を持つということで、

00:03:31.030 --> 00:03:34.030
上から順番に見ていきますと、

00:03:34.810 --> 00:03:41.790
フッ素、塩素、臭素、ヨウ素と並んでいます。

00:03:43.370 --> 00:03:46.810
これがハロゲンという仲間になります。

00:03:48.790 --> 00:03:51.730
意外と聞いたことある名前多いんじゃないでしょうか。

00:03:52.430 --> 00:03:53.710
フッ素とか塩素とか。

00:03:54.670 --> 00:03:57.130
そのあたりと臭素が似ています。

00:03:58.910 --> 00:04:05.010
臭素の元素記号はBR、ブロミンから取られていると思います。

00:04:07.290 --> 00:04:10.250
そして原子番号は35番。

00:04:12.190 --> 00:04:17.890
だいたい周期表で言うと、右端の真ん中ぐらいにありますね。

00:04:19.960 --> 00:04:26.180
常温の状態を今度は見てみますと、臭素は常温で液体です。

00:04:27.860 --> 00:04:30.900
この液体って全然なくてですね。

00:04:32.120 --> 00:04:34.220
元素の中で2つだけ。

00:04:36.380 --> 00:04:41.100
もう一つわかりますか。水銀です。

00:04:43.080 --> 00:04:49.680
元素の中で常温で液体なのは臭素と水銀、この2つだけです。

00:04:51.620 --> 00:04:56.180
縦の列で似た特性を持つハロゲンのところを見ていくと、

00:04:56.180 --> 00:05:00.180
フッ素と塩素は常温で液体です。

00:05:01.540 --> 00:05:03.460
そして臭素が液体。

00:05:04.920 --> 00:05:08.020
もう一個下のヨウ素になると固体です。

00:05:09.780 --> 00:05:12.380
同じハロゲンという仲間なんですけど、

00:05:13.020 --> 00:05:15.540
気体、液体、固体が揃うんですね。

00:05:17.590 --> 00:05:23.650
下に行くほど分子が大きくなって、分子同士が引き合う力が強くなるんですけど、

00:05:24.510 --> 00:05:27.910
それの関係で沸点がどんどん上がっていきます。

00:05:29.930 --> 00:05:37.030
塩素で言うとマイナス34度で沸騰するので、基本的に常温では気体になっちゃいます。

00:05:39.210 --> 00:05:44.190
そして臭素は普段液体なんですけど、沸点が59度。

00:05:45.510 --> 00:05:48.610
少し加熱したら気化するような感じですね。

00:05:50.720 --> 00:05:59.360
そして固体のヨウ素で行くと、沸点が184度まで上がって、結構加熱しないと飛ばないです。

00:06:01.260 --> 00:06:08.320
色についても塩素の黄緑から臭素は赤茶色みたいな感じ。

00:06:09.660 --> 00:06:15.180
そしてヨウ素が黒っぽい結晶っていう感じで、下に行くほど濃くなってきます。

00:06:16.660 --> 00:06:25.780
ハロゲンに共通する話なんですけど、周期表の配置的に電子が1個足りなくなりがちです。

00:06:27.810 --> 00:06:36.530
だから他のところから電子を奪う力、専門的に言うと酸化する力っていうのが強くなります。

00:06:38.450 --> 00:06:45.230
こうして電子を奪うっていう機能を使っていろんな化学反応を行っています。

00:06:47.160 --> 00:06:52.180
だから私も学生の時はハロゲンっていうのにたくさんお世話になりました。

00:06:53.820 --> 00:06:58.920
これが化学構造の中に入っているとすごく反応しやすくなるんですよね。

00:07:00.760 --> 00:07:03.980
反応関係は後ほど話していきます。

00:07:07.230 --> 00:07:11.390
ここからは臭素の発見について話していきます。

00:07:13.440 --> 00:07:15.200
フランスで見つかりました。

00:07:17.150 --> 00:07:27.330
塩を作った後に残る液、いわゆるニガリみたいな液に塩素を通してみると赤い液体が出てきました。

00:07:29.390 --> 00:07:30.930
これが臭素でした。

00:07:32.690 --> 00:07:36.930
発表されたのが1826年の7月。

00:07:38.910 --> 00:07:45.050
実は臭素の発見が発表されて今年で200年なんです。

00:07:46.930 --> 00:07:53.450
臭素を発見したのは無名の23歳の青年だったそうです。

00:07:54.990 --> 00:08:01.070
発見の時に関わっていたのがニガリ、そして塩素でしたね。

00:08:03.180 --> 00:08:12.240
では臭素を実際に量産していく企業が作っていくときどの会社が関わっていったのか。

00:08:13.660 --> 00:08:18.200
それがアメリカの大手化学メーカーDAO Chemicalです。

00:08:18.200 --> 00:08:24.590
地下から汲み上げた塩水に入ってある臭素を取り出していました。

00:08:26.710 --> 00:08:33.770
臭素は塩が絡んでいるところ、つまり海水から取れるんです。

00:08:35.750 --> 00:08:47.010
海水に入ってある臭素は重さで言うとわずか0.0065%くらい、ものすごく少ないです。

00:08:48.810 --> 00:08:52.910
海水1トンに対して65グラムほどです。

00:08:54.690 --> 00:09:00.090
100万グラムに対して65グラムですね。少ないです。

00:09:02.110 --> 00:09:06.390
そんな微量な臭素を海水から取り出していました。

00:09:08.470 --> 00:09:14.350
実際にどうやるかっていうと海水の中に硫酸を入れて酸性にします。

00:09:15.230 --> 00:09:18.290
そこに塩素を吹き込みます。

00:09:19.810 --> 00:09:26.190
すると海水に溶けていた臭化物イオンが臭素の分子に変わります。

00:09:28.150 --> 00:09:35.450
海水の中で臭素がイオンとして存在していたものから臭素分子に変わる。

00:09:36.090 --> 00:09:40.410
つまり一般的に言う臭素に変わるっていうことです。

00:09:42.070 --> 00:09:51.150
海水と塩素を反応させてできた臭素をここからどうやって手に入れるかっていうと空気を使います。

00:09:52.450 --> 00:09:59.710
長い塔の上から海水を流してその下から空気をどんどん吹き込んでいきます。

00:10:01.690 --> 00:10:07.150
すると海水側にあった臭素が空気の方へ追い出されていきます。

00:10:08.730 --> 00:10:13.490
化学工学的には放散という操作になります。

00:10:15.340 --> 00:10:24.940
逆の操作で言うとガスを液に溶かし込むガス吸収って言うんですけどその逆が放散です。

00:10:25.980 --> 00:10:28.800
放つに散ると書きます。

00:10:30.420 --> 00:10:38.500
空気によって追い出された臭素は苛性ソーダのようなアルカリ水に吸収させて回収します。

00:10:40.420 --> 00:10:43.900
化成ソーダっていうと水酸化ナトリウムのことですね。

00:10:46.060 --> 00:10:51.540
1940年くらいまではこの海水法と呼ばれる方法が主流でした。

00:10:53.140 --> 00:10:58.900
世界の臭素の6割から7割が海水から作られていたそうです。

00:11:00.320 --> 00:11:06.420
最初に海水に含まれる臭素の量ってものすごく少ないって話をしましたね。

00:11:08.320 --> 00:11:14.400
臭素を1キロを手に入れるために海水を17トン使っていたそうです。

00:11:16.300 --> 00:11:21.460
とんでもない量の水をひたすら塔に流し続けるプラントだったんです。

00:11:23.120 --> 00:11:26.440
量が増えるっていうのはいいことではあるんですけど

00:11:26.980 --> 00:11:30.620
これだけ山のように海水を使っていると

00:11:31.280 --> 00:11:38.360
その海水を送るためのポンプもものすごく消費電力を使って大きいものになりますし

00:11:39.140 --> 00:11:44.440
その海水を通す配管、パイプもものすごく太くなってきます。

00:11:45.980 --> 00:11:51.620
上から海水を落とす塔自体もでっかく太くなってきます。

00:11:53.060 --> 00:11:56.060
要はお金がめちゃめちゃかかるんです。

00:11:57.740 --> 00:12:04.120
ちなみにですね、化学プラントで嫌われる元素って塩素なんですよ。

00:12:06.060 --> 00:12:09.880
ステンレスの天敵でして割れやすくします。

00:12:11.830 --> 00:12:17.770
だから意外と海水って使いづらいっていうところもありますし

00:12:17.770 --> 00:12:22.650
そもそも塩素を吹き込むっていうのも嫌です。

00:12:23.850 --> 00:12:30.930
もっと言うと反応に硫酸を使うっていうのもそもそも錆びやすいので嫌です。

00:12:32.910 --> 00:12:33.750
危ないですね。

00:12:36.100 --> 00:12:41.720
ということで、当時の海水法で塩素を手に入れる方法。

00:12:43.160 --> 00:12:49.640
自分の目からしたらものすごく嫌な設備、嫌なプロセスなんです。

00:12:51.720 --> 00:12:58.560
多分めちゃめちゃお金がかかって運転してても維持管理が大変で

00:12:59.100 --> 00:13:04.760
なんなら漏れたり壊れたりって結構あるんじゃないかなと思っています。

00:13:06.870 --> 00:13:12.170
では日本はどこの会社が最初に始めたかっていうと

00:13:12.790 --> 00:13:14.990
当時の東洋相打。

00:13:16.310 --> 00:13:20.250
今の名前で言うと東相という会社です。

00:13:21.830 --> 00:13:26.950
ダウケミカルの文献を参考に山口県で量産が始められました。

00:13:29.040 --> 00:13:34.540
1940年頃の東洋相打が使った設備っていうのが面白くてですね。

00:13:36.280 --> 00:13:40.680
だいたい空気を吹き込む塔の高さが20メートルくらい。

00:13:41.680 --> 00:13:47.680
その中に直径6センチ長さ2メートルくらいの竹を入れてたらしいです。

00:13:49.600 --> 00:13:54.040
一つの塔につき約10万本敷き詰めていました。

00:13:56.060 --> 00:14:03.900
塔の中に竹を敷き詰めて流れ落ちる海水を広げて空気と触れ合う面積を増やしています。

00:14:05.580 --> 00:14:10.560
この構造すごく理にかなっていて表面積を増やしてるんですけど

00:14:11.200 --> 00:14:16.880
今でも充填塔という名前で竹の代わりに金属を使って

00:14:17.540 --> 00:14:21.080
こういう充填塔の設備はいろいろ使われています。

00:14:23.080 --> 00:14:28.180
酸に強くて軽くて形が崩れなくて

00:14:28.180 --> 00:14:32.860
なおかつすぐに大量に手に入るものっていうことで

00:14:32.860 --> 00:14:35.800
竹が選ばれたそうです。

00:14:36.620 --> 00:14:41.160
当時は半年くらい持てばいいかなって言われてたところが

00:14:41.160 --> 00:14:43.320
10年以上使えたらしいです。

00:14:44.620 --> 00:14:45.960
竹ってすごいですね。

00:14:47.980 --> 00:14:55.080
竹はとにかく伸びるのが早くて強くて大量に発生するので

00:14:55.080 --> 00:15:01.080
竹害って言われるほど放置された竹林が問題になっています。

00:15:02.340 --> 00:15:04.780
当時はまだマシだったと思いますけど

00:15:04.780 --> 00:15:09.700
こうして竹に目をつけるっていうのは面白い視点でしたね。

00:15:11.620 --> 00:15:16.280
では今の臭素ってどうやって作っているのかと言いますと

00:15:16.980 --> 00:15:22.340
当時は普及していた海水から作る方法は今は少ないんです。

00:15:24.430 --> 00:15:28.650
やっぱり海水の中に含まれている臭素の量が少なすぎて

00:15:28.650 --> 00:15:30.970
効率的じゃなかったんですよね。

00:15:33.870 --> 00:15:38.670
ということで臭素がたっぷり溶けた塩水を使いたいってことで

00:15:38.670 --> 00:15:40.350
死海が選ばれます。

00:15:42.290 --> 00:15:45.970
海水の80倍ぐらいの臭素が溶けているらしいです。

00:15:47.870 --> 00:15:53.150
その死海ももともとカリウムの肥料を作るために使われたりするんですけど

00:15:53.970 --> 00:16:00.430
カリウムの肥料を取った後の残りの塩水で見るともっと濃くなっていて

00:16:00.430 --> 00:16:04.830
海水の100倍以上臭素が溶けているみたいです。

00:16:06.300 --> 00:16:11.760
死海は中東のイスラエルとヨルダンに挟まれた場所にあります。

00:16:13.880 --> 00:16:19.160
だいたい世界の臭素の半分ほどがこの死海から来ているそうです。

00:16:21.140 --> 00:16:29.100
せっかくなので海水から塩素を使って臭素を手に入れる原理について紹介していきます。

00:16:31.000 --> 00:16:37.100
収素っていうのは周期表で言うと塩素の1個下に位置します。

00:16:39.060 --> 00:16:42.640
上の方が電子を奪う力が強くてですね。

00:16:44.280 --> 00:16:48.680
塩素の方が収素より電子を奪う力が強いんです。

00:16:50.660 --> 00:16:53.560
海水の中に溶けている収素っていうのは

00:16:54.460 --> 00:16:59.200
臭素イオン、臭化物イオンという名前で

00:16:59.200 --> 00:17:04.100
電子を一つ多めに持っているような状態で存在しています。

00:17:05.760 --> 00:17:10.940
そこから電子を奪う力が強い塩素がやってきて

00:17:10.940 --> 00:17:13.760
収素から電子を奪っていきます。

00:17:15.960 --> 00:17:20.720
これで収素のイオンになっていたものから電子が奪われて

00:17:21.300 --> 00:17:24.800
収素を分子として出てくるようになります。

00:17:27.980 --> 00:17:33.320
塩水から手に入れた収素は何に使われているんでしょうか。

00:17:34.680 --> 00:17:40.080
一番多いのは物を燃えにくくする難燃剤というものです。

00:17:42.020 --> 00:17:46.280
燃えるのが難しい薬剤と書いて難燃剤です。

00:17:48.020 --> 00:17:56.060
2025年のデータでいうと世界の収素の約46%が難燃剤だそうです。

00:17:57.240 --> 00:18:01.420
なんでそんな収素を燃えにくくなるのかっていうと

00:18:01.420 --> 00:18:10.200
そもそも燃えるっていうのは炎の中でものすごく反応が連鎖して続いていくような状態です。

00:18:11.860 --> 00:18:18.840
収素系の難燃剤を使うと熱くなると臭化水素っていうものが出てきまして

00:18:19.920 --> 00:18:27.560
この臭化水素が代わりに反応して反応の連鎖っていうのを止めてしまいます。

00:18:28.480 --> 00:18:31.260
これによって火が広がりにくくなるんです。

00:18:33.670 --> 00:18:37.050
例えばパソコンの中の電子回路の基板。

00:18:38.730 --> 00:18:42.210
電子の基板なんて燃えたら大変ですね。

00:18:43.910 --> 00:18:49.390
その基板で使われる樹脂に収素を含む難燃剤を組み込みます。

00:18:51.580 --> 00:18:56.480
ただですね、収素っていうのがあまり環境によろしくなくてですね

00:18:57.380 --> 00:19:01.920
現在は少しずつ減らしていきましょうっていう動きになっていますので

00:19:02.560 --> 00:19:06.740
今がどれくらい使われているかっていうのは正直わからないです。

00:19:06.740 --> 00:19:16.990
ストックホルム条約で環境に残りやすい一部の収素系の難燃剤っていうのはなくしていく対象になっています。

00:19:18.690 --> 00:19:24.530
難燃剤以外の収素の用途で言うともしかしたら知ってるかもしれないです。

00:19:26.530 --> 00:19:31.110
写真のフィルムには臭化銀と呼ばれるものが使われています。

00:19:33.010 --> 00:19:35.670
収素と銀の化合物ですね。

00:19:37.580 --> 00:19:48.140
臭化銀を塗ったフィルムに光を当てることで銀の核を生み出してフィルム状に画像のパターンを作り出します。

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フィルムカメラが銀塩カメラって呼ばれるのはこのためです。

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その他にも私の職場では冷凍機と呼ばれる冷やす装置で臭化リチウムというものが使われています。

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収素とリチウムの化合物ですね。

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吸収式冷凍機って言うんですけど、

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真空に近い容器の中で水を5度ぐらいで蒸発させて冷水を作って、その水蒸気を臭化リチウムの液に吸収させます。

00:20:29.280 --> 00:20:37.140
真空で水を低い温度で蒸発させてその時の気化熱を使って冷やしてるんですけど、

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そのまま気化した水を放置していくと湿度が上がってしまって気化が続かなくなってしまうんですけど、

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気化した水を臭化リチウムに吸収させて湿度を下げてあげることで常に気化を続けることができます。

00:20:57.320 --> 00:21:04.260
こういう原理を使ってずーっと冷やし続ける冷凍機を吸収式冷凍機と言います。

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この冷凍機のいいところはフロンを使っていないことです。

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こうして難燃剤をはじめとして冷凍設備とか写真とかいろんなところで臭素が使われています。

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でも臭素それだけじゃないんです。

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有機合成の分野でものすごく使われます。

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様々な化学反応で臭素って使うんですよね。

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正確に言うと化学構造の中に臭素があるとすごく便利っていう話です。

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化学構造の中に臭素の原子がくっついている部分って極性って言うんですけど、

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電気的にプラスとマイナスに偏りやすくなるんですよね。

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そういう偏りが大きい化合物っていうのは反応がしやすいです。

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反対に極性があんまりないものって反応がしにくいので、

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あえて臭素とか塩素のようなハロゲンをつけてあげて反応性を上げたりします。

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臭素みたいなハロゲンと呼ばれる分類の元素を使った反応で有名なのがグリニャール試薬というものです。

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大学で化学を勉強した人は100%知っている反応です。

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それぐらい有名な反応なんですけど。

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もともと臭素がついてある分子にマグネシウムを反応させると、

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別の分子と反応しやすい構造になるんです。

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それも炭素と炭素の結合を作れるっていう特徴がありまして、

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これあんまりないんですよ。炭素炭素結合を作る反応って。

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だからこそこれを見つけたフランスのグリニャールさんは1912年にノーベル化学賞を受けています。

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そしてもう一つ有名なのがクロスカップリング。

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もしかしたらこの音声を聞いている方でも記憶にあるかもしれません。

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2010年のノーベル化学賞で日本の鈴木さん・根岸さん、

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そしてアメリカのヘックさんが受賞しました。

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根岸カップリングとか鈴木・宮浦カップリングって名前はもしかしたら聞いたかもしれません。

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パラジウムという元素を使った反応でして、

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臭素などのハロゲンがついた分子と別の分子の炭素同士をつなぐ反応で、

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こちらも先ほどのグリニャール試薬と同じように炭素炭素結合を作る反応です。

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また炭素炭素結合を作ってノーベル化学賞を受賞されてるんですよね。

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もちろん炭素炭素結合を作ったらノーベル化学賞ってわけではないんですけど、

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それぐらい作るのっていうのが難しくて、

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汎用性があって作りやすいものが出てくるとやっぱりノーベル化学賞に値すると判断されるっていうことです。

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グリニャール試薬もクロスカップリングもやっぱり臭素を使っているんです。

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単純に研究用途だけじゃなくて、

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薬とか電子材料の分子を工業的に作るのにも活用されています。

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ちなみにですけど、分子の構造の中に臭素原子を入れようと思ったら、

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必ず臭素の液体を使うわけでもないんです。

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やっぱり取り扱いが難しいので、

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どちらかというと粉末状で液体の収素よりも取り扱いしやすい臭素化剤というものが使われます。

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教科書にも出てくるNBS、N-ブロモスクシンイミドというのが有名ですかね。

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そういえば、臭素が入った分子、もう一つ用途がありました。

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ポケモンにも臭素が出てきまして、

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防御の基礎ポイント、努力値を上げるドーピングアイテム、ブロムヘキシンも分子構造の中に臭素が入っています。

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私たちの世界では、ブロムヘキシン塩酸塩という形で、

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タンの粘り気を下げて出しやすくするような薬として使われています。

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ポケモンな豆知識も覚えましたね。

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今回は科学系ポッドキャストの日のテーマ、匂いに合わせて、

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臭い匂いの元と名付けられてしまった臭素について話してきました。

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臭いのは臭いんですけど、現代の医薬・電子の分野でもかなり重宝されている元素です。

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臭素すごいって思ったら、ぜひXでハッシュタグプラントライフをつけてコメントしてみてください。

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そしてここから、もともと言うはずじゃなかった謝罪のところから、

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前回前々回って、水曜日と日曜日の定期配信を飛ばしてしまいました。

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途中で2026年のノーベル化学賞の話はしたんですけど、定期配信できなかったです。

00:27:21.260 --> 00:27:24.040
単純に忙しかったんで許してください。

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そしてホストを務めておきながら、1日から10日の配信ルールを守れなくてですね、遅れて出させてもらっています。

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今回は許してください。

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そして皆様、科学系ポッドキャストの日、匂いのエピソードを投稿いただいてありがとうございます。

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私としてもホストを担当して参加者がたくさんいらっしゃったことが嬉しいです。

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そして次は、科学系ポッドキャストの日、4周年を迎えます。

00:28:07.380 --> 00:28:14.640
次回11月のホストは、科学系ポッドキャストの日主催のサイエントークさん。

00:28:15.840 --> 00:28:18.240
共通テーマはサプライズです。

00:28:19.900 --> 00:28:30.540
ぜひ皆様参加していただきたいのと、この周年に合わせてトリビアアワードという企画も行われます。

00:28:32.240 --> 00:28:38.260
1分で最も耳を奪う話を決めるトリビアアワード2026。

00:28:39.860 --> 00:28:53.600
自分の声で1分でトリビアを話すもよし、声を出したくないなって方は300文字以内で文章を投稿すればサイエントークさんが代読してくれます。

00:28:55.120 --> 00:29:01.840
こうして投稿されたトリビアの中から耳を奪うような話として受賞したら、

00:29:02.740 --> 00:29:07.340
クラシエさんとのコラボでチーク菓子をプレゼントしてもらえるそうです。

00:29:08.740 --> 00:29:10.200
なんと豪華な話。

00:29:11.620 --> 00:29:15.520
科学系ポッドキャストの日の共通テーマサプライズ。

00:29:16.380 --> 00:29:19.400
そしてもう一つの企画トリビアアワード。

00:29:20.000 --> 00:29:21.940
ぜひ2つとも参加ください。

00:29:23.880 --> 00:29:25.540
私も参加予定です。

00:29:27.720 --> 00:29:30.060
あともう一つお知らせを忘れてました。

00:29:31.720 --> 00:29:37.440
この度、技術者かねまるのプラントライフ、ビデオポッドキャスト化しました。

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しかも過去のエピソード、これも含めて133回すべてビデオ化しています。

00:29:48.580 --> 00:29:53.280
顔出ししたんですかって、そういうわけではなくて、

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もともと作っていた完成音源に解説の動画を追加しました。

00:30:00.760 --> 00:30:05.720
イメージはパワーポイントでスライド作って解説しているような感じですね。

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だから特に皆さんの音声だけの体験はこれからも変わらないですし、

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もし補足情報を見ながら聞きたいなって思ったら動画で見てみてください。

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理解の助けになると思います。

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ビデオ化したのは、リッスン、スポーティファイ、アップルポッドキャスト、そしてYouTubeです。

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ほぼ全部ビデオ化してますのでお楽しみください。

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こちらの感想もお待ちしております。

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今回はここまでです。

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プラントライフでは化学や工場に関するトピックを扱っています。

00:30:50.480 --> 00:30:54.700
配信は毎週水曜日と日曜日の朝6時を予定しています。

00:30:56.520 --> 00:31:01.480
番組への質問やご感想は概要欄のお便りフォームからぜひともお願いします。

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そしてプラントライフ初めて聞く方のためにスポーティファイですとかアップルポッドキャストに星マークつけてください。

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5段階で評価できるのでぜひともお願いします。

00:31:19.790 --> 00:31:27.450
星いくつかっていうのも大事ですけど、どれだけの人に評価されているかっていうのも大事なんです。

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まだ評価していない方いらっしゃいますよね。

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よろしければご協力をお願いします。

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それではお聞きいただきありがとうございました。
