第二百四十八話『冒険をやめない』-【愛媛篇】冒険家 和田重次郎-
2020-05-30 12:38

第二百四十八話『冒険をやめない』-【愛媛篇】冒険家 和田重次郎-

開拓時代のアラスカで大活躍した、愛媛県出身の冒険家がいます。
和田重次郎(わだ・じゅうじろう)。
『犬橇(いぬぞり)使いの神様』と謳われた男は、とにかく、やることなすことが規格外。
北極圏6千キロの探検を成し遂げ、未開の地の地図を作製、得意の犬橇で油田、金鉱、砂金を発見、さらには避難していた捕鯨船の救助にあたり、乗組員の命を救い、アラスカで行われる屋内のマラソン大会では3度の優勝を果たしました。
和田の銅像は、彼が育った松山市日の出町にあります。
松山城まで、およそ2キロ。
彼と同時代を生きた正岡子規の句碑も鎮座しています。
2016年にアラスカで、和田を主人公にしたミュージカルが上演され、それを伝える一文が彼の胸像の下に刻まれました。
松山市街から日の出町に行くには、石手川にかかる、新立橋を渡ります。
幼い日、母に手をひかれ、この橋を渡ったときのことを、和田は生涯忘れませんでした。
父を亡くし、母の実家に身を寄せるため、40キロの道のりを母に連れられて歩いた果てにたどり着いた場所。
「あの橋を渡ったら着くからねえ、重次郎、よく頑張ったねえ」
母が頭をなでてくれました。
ひとりアメリカに渡るときも、彼はこの橋から川面に反射する陽の光を眺め、思いを新たにしたのです。
和田は、どんなに遠く離れても、母に手紙とお金を送り続けました。
彼にとって母は、常に精神の真ん中であり、母と歩いた40キロの道のりは、和田にとっての最初にして最高の冒険だったに違いありません。
大きなことを成し遂げたひとこそ、その出発点はささやかで目立たないもの。
でも、栄光の萌芽は、すでに顔をのぞかせていたのです。
アラスカを駆け抜けたサムライ・和田重次郎が人生でつかんだ、明日へのyes!とは?

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