第四話『心の庭』-詩人・小説家 室生犀星-
2015-09-26 11:02

第四話『心の庭』-詩人・小説家 室生犀星-

石川県金沢市に生まれた詩人で小説家の、室生犀星(むろう さいせい)。
彼は、こよなく軽井沢を愛した文豪のひとりです。
旧軽井沢の落葉松林を抜け、細い道を歩くと、矢ケ崎川に出ます。
その渓流をのぞむ岸辺に、室生犀星の文学碑があります。
黒い御影石に刻まれた言葉。
「我は張りつめたる氷を愛す
斯る切なき思ひを愛す
我はそれらの輝けるを見たり
斯る花にあらざる花を愛す」
室生犀星夫妻の遺骨は、ふるさと金沢から分骨され、彼らは、この川のほとりの石像の下に眠っています。
その石像に光と影をつくっている、秋の木漏れ日。
せせらぎの音が、かえって静寂を深めます。
犀星が、もっとも愛した場所に、自ら建てた文学碑。
彼にとって、この川の音色は、故郷金沢の川のそれに、似ていたのかもしれません。
『ふるさとは、遠きにありて、思ふもの』。
軽井沢は、彼にとって、心の庭でした。
全ての原風景がつまった、自分にyesと言える、庭。

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