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とみさんにお聞きしたいんですけど、今のお仕事、先ほどプロフィール的な文字として紹介しましたけど、改めてご本人から、実際トリエンナーレで作品をご覧になった方もいらっしゃると思いますけども、どんなお仕事を?
主に、先ほど説明いただいたことで言えば、日常品というか、誰でも使える素材、誰でも手に入る素材を、かつ誰でもできる行為というか、方法。要するに、例えばですね、彫刻で言えば鉄とかを使えば溶接をしなきゃいけない。溶接も溶接工の人はいっぱいいるから、誰でもできるって言ったらそうなるかもしれないけど、普通できないですよね。普通、家でちょっと溶接してるよとかってないでしょ。
そうね。
家で、お父さん柱壊れちゃったみたいな、溶接するよ、そういうことはないじゃないですか。そういうことはせずに、織るとか、積むとか、整理するとか、簡単に整理かな。整理整頓がそのまま彫刻になってればいいなみたいな。そういう感じで、椅子とかペットボトルとかなんでもいいんですけど、その辺にあるものを使って作ってます。で、もう一個言うと、基本的に僕のは固定をしてないので、戻せば使えるものに戻るんですよ。
ちゃんとまた使えると。
そうです。例えばですね、これちょっと、僕本屋で展示もよくやってて、その辺の話からまたクロストークしていけばいいと思います。
なぜここまで日用品という括りでいいんでしょうか。日用品に思いを馳せるんですかね。元々何か。
元々は、僕彫刻学科というのを出ているので、下にもあるようなオーソドックスな彫刻をやってたんですよ。で、やってたんですけど、彫刻を僕は作りたいわけじゃなくて、単純に作りたかったんですよね。
で、基本的な技術を使っていると、その技術に作らされているっていうのかな。何も新しいものも生まれないし、別に古いものでもいいんですけど、なんかね、抵抗感というか。
ただ単純に一生懸命作ってたりするときに、一休みするときに何気なくのみを置いたとかね、その置き方の方が気になったりする瞬間が増えてきて、自然にやっちゃうこともあったら特別なことを特別にやろうとしても、出てくるものは特別なもので、それは人が見たら、ああすごいね、よく彫ったねみたいな、それで終わってしまう。
でもそういうことじゃなくて、もっと発見を持って帰ってもらいたいし、同じ地平でやりたいんですよ。普通の僕が、普通に作って、何ていうのかな、できるかなみたいな。リアルできるかなみたいな。
正直に言うと、できるかなっていうより、できるだろうみたいな。できるだろうっていうのをやりたかった。それが僕にとっての彫刻かなと思って。だから綺麗に見えるけどスポンジだよねみたいな。スポンジである余地は残したいし、なんで綺麗かって言ったら、それはスポンジだからですっていう。
そのシンプルなやりとりだけをしたかったんですよね。特別なものを作ってると、昔のイサムの口さんとかね、それしかないときはそれでいいものができたけど、今の時代で僕はそれができなかった。単純に。
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彼らの時代にできたことを今僕がやるとしたら、こういうことしかできなくて。そうしていくうちに、僕は作りたいものがなかったんですよ。イメージがないんですよ。こういうものがあったとか、平和とか愛情とか、こういうイメージがあって作ってるんだみたいなのが全くないんですよ。本当に。
作りたいけど作りたいものがない人なので、じゃあこういうものの奴隷というか、差し出す編集者というか、僕もたまに批評で編集って言われたりするんですよね。ものの編集。それぐらいでいいやって思ってるんですよ。作る主体作家ではあるんですけど、どっちかと言えばメインじゃない人というか。
媒介者みたいな。
そうですね。作らされる人と言ったりとか。だからスポンジが僕に命じて、はい、じゃあ詰まらせていただきますみたいな。俺をもっと綺麗に見せろみたいな。そういう感じなんですよ。だから大きさもそのまちまちには違ってて、偉そうに画鋲を見せた方が画鋲がよく見える展覧会もあれば、ちょっとさりげなくどうですかみたいな感じでして、ここがいい場合もあって。
そういうサイズの問題とかを考えるのに、彫刻で学んできたこと、サイズとか、よくものを見るとか、そういう技術は役立ってますけど、基本的にはあんまりそうなんですよね。ここではここで成り立つものってあるんですよね。それは写真の差し出し方と一緒で、どこでも決まった見方とか読み方がないのと同様に決まった出し方、提示の仕方もない。
だからその時によければいいんですよね。簡単な話。
その時によければっていうのは誰がですか?
来てる人が楽しかったとか美しかったとか言わなくてもいいんですけど、なんか持って帰ってくれる。
そうですよね。自分がっていうよりも、お客さんとか自分以外の見てる他人みたいな感じですかね。
そうですね。なんか持って帰れるだろうっていうところまで持っていければ、だからそのためには僕は最大限のリサーチはするし、限られた時間でも。
リサーチとかってどういうふうにするんですか?
まあ順序と言って普段どういうふうに動いてるんだろうとか。
佇んでずっと立ってるみたいな。
ここだと立たんとか。逆にエスカレーターで無視するなら、どう無視されるかとか。
無視される具合をまた隣の人が見てた時に面白くなるとか、そういうことを考えたりして。無視されることも関係だから。
そうですよね。一つのポジティブな。
そうそうそう。その後どう彼を立たせるんだとかね。そういうこととか、その人が見てる人が言ったものをまた見てる人がいると思うんですよ。なんで見てるのこんなもんで。
見てる人がね。
それを見てる人が見た時に、見てる人、作品を見てる人も込めて楽しく見えるような配置の仕方とか。
なんかこう、本を開いて、あっ破けちゃったみたいな時に、あっってなったのを人が見て、やっとそこでこう面白がってくる。
そんなところまで考えてる。
だから耐久性とかもそこで考えるんですよ。付箋だったらいくらぶっ壊れても、僕全部指示書があるので、いくらでも復活できるんで。
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そうですよね。書店員がね。自作でとかそういうの。
そういうのと一緒なんですよ。だから何度でも直せるから、壊れてもいいように置くとか。