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ボイスドラマで学ぶ日本の歴史。
ナビゲーターを務めます、熊谷陽子です。
この番組は、日本の歴史の時々で、
命を削りながらも懸命に生きてきた人物にスポットを当てて、
ボイスドラマとして再現いたします。
さて、第1回目に取り上げるエピソードは、
箱舘戦争。時は幕末です。
旧幕府勢力と薩摩長州ら倒幕派勢力、
これが大正奉還後に政権争いで勃発するのが母親戦争。
この母親戦争最後の戦いが箱舘戦争なんです。
1868年1月、京都戸場伏見の戦いから始まって、
4月には江戸城が無欠会場されますよね。
この無欠会場後に、新政府の要求で徳川家の所領が
大幅に減らされてしまうわけです。
これによって行き場を無くした徳川の家臣たち、
なんと8万人もの家臣が路頭に迷ったと言われています。
この事態を憂いたのが、旧幕府軍の海軍副総裁であった
榎本竹明。
この榎本竹明が今回のドラマの主人公なんです。
榎本竹明9名を榎本鎌次郎と言いまして、
ドラマの中では鎌さんという呼び方で出てきたりしますけれども、
この榎本竹明が江戸地、今の北海道ですね。
ここに開拓で新たな土地を作ることによって、
8万人を養っていこうと大胆な計画を画策するんです。
そしてこの同じ年の夏、榎本は新政府軍から
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軍艦引渡しを要請されます。
しかし、榎本はそれを退けます。
当時最大にして圧倒的な戦闘力を要した軍艦海洋。
この海洋を含む8隻の艦隊を率いて、榎本は江戸を脱走します。
この時共に江戸を脱走したのが陸軍武行並みの松平太郎。
そして旧幕府軍の関係者。
上野戦争で生き残った将棋隊や遊戯隊。
そしてフランス軍。
旧幕府は軍事顧問という形で、
フランスのジュール・ブルネやアンドレ・カズヌーヴ、
こういった人たちを雇っていたんですね。
合わせると2000人を超える兵力だったと言われています。
この2000人を超える兵力で江戸を脱走しました。
途中ですね、仙台で肘方俊三と交流をします。
肘方といえば新選組ですね。
この新選組をはじめ、東北戦争に敗れた旧幕府軍の残党を収容して、
なんと約3500人に膨らんだ軍勢で江戸地に上陸します。
そして函館に新政権を受立するんです。
しかしですね、この後、
この新しい政権を明治新政府が認めるはずがないんです。
翌年の1869年2月には討伐軍を派兵するんですね。
また不運なことに、江戸地平定をするときに、
江戸元の失策によって最強の軍艦海洋、
これとあともう一隻、合わせて二隻が座礁して沈没するというアクシデントがありました。
頼みの綱としていた海洋戦力がぐーんと低下して、
新政府軍の江戸地上陸が容易になったことに、
江戸元は非常に焦りを感じるんですね。
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この海洋座礁という絶対絶命のピンチから、
今回のドラマ、星野新軍は始まります。
江戸元竹明、肘方俊三、そして松平太郎、
彼らの生き様や苦難への立ち向かい、
志勢などを感じながら、どうぞ最後までお楽しみください。
星野新軍 第1話 アボルダージョン
幕末。古い時代と新しい時代が交わり、弾けた。
その最後となったのが函館の一戦。
江戸元竹明率いる江戸共和国軍、いや、旧幕府軍、およそ3,500。
対する明治新政府軍、およそ9,500。
その明治新政府軍は、当時最強の軍艦、ストーンモール号をアメリカより買い入れ。
すべての軍艦は、アメリカ軍艦を持ち、
アメリカより買い入れ。
すべてが鉄でできたこの軍艦は、鋼鉄と呼ばれ、
1分間におよそ200発もの弾を連射できる、当時最先端の兵器、ガトリングガンを備えていた。
圧倒的な兵力下を前に、鎌産、いや江戸元は、日本史上類を見ない奇策に出ていた。
私は、江戸川島の未来を、このアボルダージュ作戦に賭けたいと思う。
そんな作戦があるのか。
卑怯ではないのか。
だが、勝たなければ。
意見があるものは、私の部屋で聞こう。
総裁閣下に礼。
軍艦カイオーマルさえ座将しなければ、こんなことには。
それを言うなら、吉野部港がカイオーマルで逃走しなければ、だろう。
何を!
やめないか!
江戸共和国なんつってもね、所詮寄せ集めの集団だから、鎌産、いや、江戸元総裁の辛労は、並大抵のもんじゃなかったさ。
なんせ連中、みんな死を覚悟した、本物の侍達だったからね。
正真正銘、ピッカピカの侍さ。
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総裁、邪魔するよ。
入れ。
肘方さん。
肘方俊三は、新選組の残党を引き連れて、江戸共和国に参加していたのさ。
この頃は、断髪で洋装だったがね。
今のアボダージ作戦のことで、聞きたいことがある。
どうぞ、何でも聞いてください。
その、アボダージ。
アボルダージ、フランス語です。
ニコールの提案だ。
江戸共和国には、フランス軍人数名が軍事顧問として参加していたからね。
江戸元は何でも西洋式を好んだ。
執務室も畳の上に、椅子を並べていた。
中立国の旗を掲げた船で敵の戦艦に近づいて、大当たりをするだと。
その通り。これは国際法に照らし合わせても、何の…
そして敵艦に飛び移って、敵の船を奪う。
敵の船を奪う?
ああ、敵の戦力である軍艦を脱出する作戦だ。
アボルダージ作戦。
それは当時の国際法で認められた奇襲作戦であった。
戦争状態にない中立国の旗を立てた軍艦に乗り、奪いたい敵の船に接近する。
そして自軍の船を横付けし、敵の軍艦に兵士たちが飛び移り、
敵兵を殺して、軍艦を乗っ取って、まあ、逃げるという寸法だ。
ただし、接近直前に中立国の旗を下ろし、自分の国の旗に変えなければならない。
卑怯ではないのか。
卑怯というのは法律にはない。
ヒジカタ君、日本は国を開いた、開国したのだ。
戦争において守るべきことは法律、これだよ。
あんたは!
ヒジカタ君、海洋丸を覚えているかね?
もちろんだ。
海洋丸。それは江の本軍が誇る最強の戦艦であった。
鋼鉄ほどではないが、オランダで建造された軍艦で、江の本にとってはまさに頼みの綱だったであろう。
だがこの前年の11月、えさし沖で座礁、沈没している。
海洋丸を失った今、残った船だけで戦えると思うか?
無理ですな。
あなたは正直に物を言ってくれる。
その通り、このままでは厳しい。
だから奪いに行く。何のおかしなところもない。
だが。
だが?
その戦、国際法とやらに照らし合わせて、何ら後ろめたいところはないと言ったな。
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ない。
ならば武士の戦いと言えるな。
もちろんだ。
だが、ひじかたさん。
あなたが大使たちと共に乗る海天は、随行する万竜と鷹尾が鋼鉄を攻撃している間、
寄ってくる他の敵艦を防いでもらう役割だ。
奇襲による戦闘そのものではない。
そうか。
約束する、ひじかたさん。
あなたの新戦組には、武士らしい戦場を用意するよ。
だが、そうはならなかった。
万竜、鷹尾、海天の軍艦3艦で函館を出た榎本軍だが、
万竜と鷹尾が途中で故障してしまったのだ。
仕方なく、海天ただ1艦での突撃となった。
アボルダージュ作戦、結婚。
アボルダージュ作戦、結婚。
アボルダージュ作戦、結婚。
アボルダージュ作戦、結婚。
アボルダージュ作戦、結婚。
木造外輪義軍艦、海天丸は、
仙台沖、宮古安城に、ただ1艦であった。
ひじかたさん、こんなことになったが、よろしく頼む。
ああ、鴻河艦長、加藤。
野村、リサブローはいるか。
はい。
副長、お呼びですか。
リサブロー、大使に伝える。
俺たち新船組が、アボルダージュの突撃隊だ。
はい。
副長、本井、ひじかた武教殿。
こいつ。
副長の笑顔、久しぶりです。
存分に働け、鋼鉄の化け物を持って帰るぞ。
はい。
艦長、内虎水平線上に鉄管を目視。
北前進、よろしく増揉。
うわ、すごい。
あれが鋼鉄か。
おお。
鋼鉄はまさに、鋼鉄製の鎧を着ているような船だった。
ひるむな、清浄機を上げよう。
アメリカ国旗を挙げた。作戦とはいえ、いやな気分だ。
鳥かじ一杯、鋼鉄に横付けする。
よし、清浄機を下ろせ。日の丸を上げい。
今だ。
アボルダージュ、突撃。
海天のほうが気水が浅い。
海天は木造船。鋼鉄は鉄でできた船である。
したがって、鋼鉄のほうが船体が深く沈む。
二艦の海面に出ている高さは、鋼鉄のほうが十尺ほど低かった。
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その上、海天には船体の横に外輪といわれる大きな車輪がついている。
これでは横付けさえできなかった。
海天は花面を鋼鉄の甲板にくっつけるような形で接していた。
飛び移るどころか。これでは狙い撃ちにされる。
野村!
切り込め!
野村!
突撃隊の兵士たちは、ガトリングガンに撃たれ、あるいは虚しく。
次々と海に落ちていった。
李三郎!
高賀さん!高賀さんが撃たれた!艦長が!
この野郎!
石方君!いけない!
死ぬまで学校で死んでは!
離せ!離してくれ!
撤退!撤退!
李三郎!李三郎!
アボルダージュ作戦は失敗に終わった。
海天の戦死者は18人、負傷者は約60名。
一方、鋼鉄側は4人の戦死者を出したのみであった。
作戦失敗の報告を受けた鎌さんは、総裁室に引きこもり、出てこなかった。
肘かたらみ合わせる顔がなかったのだろう。
鎌さん、鎌さん俺だよ。
松倉だ。入るよ。
副総裁自ら。
いつもの太郎さんでいいよ。
あたしを鎌さんと呼んでくれるのも太郎さんだけになっちまったね。
聞いたよ。アボルダージュは失敗だってね。
その通りだ。
おつけ、兵士たちが戻ってくるよ。
うん。
俺も行こうか。
いや、一人がいいでしょ。
鎌さんは一人、肘かた君に詫びに行った。
一方、肘かたと首相も一人、戦死した野村利紗風呂の遺品を整理していた。
野村利紗風呂。京都から今日まで、新選組のためによく働いてくれたお前を、こんなに早くなくすとは。
誰だ。
あたしだ、肘かたさん。
榎本総裁。
肘かた君、すまなかった。君の部下を陸の戦闘ではなく海で死なせてしまった。
18:04
あんたは何でそうなんだ。
せめて二官が故障した際には引き上げるよう命令を出しておけば。
そうじゃねえ。あんたは大将だろ。何だって大将が目下の俺に謝る。
あたしは入れ札で選ばれた大将だ。皆の意思を汲み、軍を統率するためにいる。威張るためじゃない。
入れ札ってのは、あの紙切れに名前を書いて箱に入れたやつのことか。
そうだとも。アメリカではああやって上に立つ者を決める。選ばれた者は選んでくれた者や従う者のために働く。
新しい時代のやり方か。
我らの国のやり方さ。
江戸ヶ島政権か。
そう。この江戸の地に徳川幕府の家臣たちを中心とした新しい政府を作る。あなたもこの国の一員だ。肘かたさん。
すまないが、帰ってくれ。
江戸元。
明治2年。江戸から遠く、北海道の地につかのま存在した国。後に江戸共和国と呼ばれるその国は、内側にもまた火種を抱えていたのだった。
星の神軍 第2話 二股口の戦い
明治2年、四月。
氷に覆われた江戸地にも春が訪れた。
だがそれは天然の防壁として旧幕府軍を守っていた氷が溶け、敵の神軍が始まることを意味していた。
四月十三日、新政府軍はおよそ千五百人の兵を連れて江戸地へと進行し始めた。
私はその第一歩を鎌さん、江戸共和国総裁江戸元滝明に伝えた。
鎌さん、どう守る?
松前。
ここは伊賀君の遊撃隊、仁美君の陸軍隊が守る。
松前の後方にあたる木古内。
ここには大取君を指揮官として伝習隊と学兵隊で守備を。
そして二股口。ここには…
中山峠。函館市内に最も近づける経路だ。
21:01
新政府軍もおそらく全力で攻めるね。
誰に任せる?
ひじかたさんに。
大丈夫か?
どういう意味だ?
先般の開店での負け戦から新戦組の大使には不満が溜まっていると聞く。
不満があるのは当然だろう。大使の亡骸さえ連れ帰れなかったのだから。
だが、ひじかた君は戦闘をサボタージュするような衛星侍ではないよ。
その軍議が終わるとすぐに、ひじかたは王の宇宙と共に二股口に赴いた。
石膏の知らせによると、二股口には敵兵およそ八百。
こちらは三百でここを守らねばならん。
二股口を抜かれたら、一気に五稜郭の背後を取られる。
召集するぞ。
はっ!
ひじかた武行、武行並蘇役、王の宇宙。
お傍でお使いさせていただきます。
王の君か。よろしく頼む。
はい、ひじかた武行。
その武行というの、こそばよい。
は?
それっ!
しかし、すごい場所ですね。
まるで大きなサメに空からがぶりと食われたような深い谷だ。
でかいサメか。いい例えだ。
だからこそ守りやすい。
王の。
はい。
この天狗山を前線陣地とする。
そしてあそこの大葉山に二小隊を置け。
どう戦うのですか。
数では圧倒的に不利。
そういう時には頭を使うのさ。
この時ひじかたは兵士たちに命じて大葉山に残骨を十六も掘らせた。
旧春な山の斜面に峡壁を作ったのである。
さらに。
王の、たらいをいくつか用意してくれ。
たらいですか。
なんでそんなもの。
洗濯でもするのかな。
それと酒。
な、酒?
戦にたらいと酒を?
そして4月13日。
いよいよ新政府軍が二股口にやってきた。
撃った者は下がれ。
たらいで水をかけて銃身を冷やせ。
おう。
そうか。
我々が持つ銃の多くは旧式の先込め式。
たった一発発砲をしただけで中心が熱を持ち、しばらく撃てないのが欠点。
それをひじかたさんは。
これがひじかたの奇策だった。
この時代銃は未だ進化の途中にあった。
ひじかた隊にはエンフィールド銃、ミニA銃などさまざまな銃が集まっていたが、
いずれもたった一発撃っただけで銃身が熱くなり、
冷めるまでは次の弾を装填できなくなる。
そのためひじかたは谷川で汲んだ水を銃身にかけて冷やし、装填時間を短くしたのだ。
24:05
敵が撤退していきます。
やりましたね、ひじかた武將。
えい!えい!おー!
ひじかた武将、眠れないのですか?
お前は?
なんだか興奮が残っていて。
みんなぐっすりですね。
あの酒が効いたのかな。
みんなよく戦ってくれる。
酒の一杯くらい飲ませてやろうと思ってな。
あなたからの振る舞い酒だと言ったら、みんな大喜びでしたね。
お話させていただいてもよろしいでしょうか。
なんだ?
担当直入に聞きます。
この戦、勝てると思いますか?
知らん。
知らんって?
大将に聞け。
榎本総裁ですか。
大将が勝てると言ったら戦は勝つ。
俺たちは勝つつもりで戦う。
負けると言ったら?
その時はどうやって戦って死ぬかを考える。
どっちにしろ、俺はやるだけさ。
やっぱりひじかた武将はすごいな。
あの銃撃戦だって、鉄砲隊を二列に並べて順番に撃たせるなんて、まるで流し野の戦いでした。
俺は信長校の生まれ変わりだからな。
戦場では笑うもんじゃない。
はい、すいませんでした。
若いやつが死ぬのをもう見たくないんだ。
死ぬのは怖くありません。
お前は唐津の出身だったな。
はい。仙台で新選組に加えていただくまでは河合次之助殿と行動を共にしておりましたが。
昇平坂学問所でも学んだ精鋭のお前が、なぜここに来た?
戦いたいからです。
なぜ?
何もせずにはいられません。
舵長の奴ら、新しい時代を作るなどと言っていますが、君王も忘れて、自分たちの好き放題にしているだけです。
榎本さんはここ江戸に、我々の国を築きたいと言ってくださった。
私もその礎になりたい。みんなその気持ちでいます。
そうか。
なら、まずは敵を函館に入れないことだな。
ここを守ろう。
ただ、気庫内は陸軍奉行の大鳥さんですよね。
あの方は、あの…
言うな。
常に負ける将軍と書いて、常敗将軍。
それが気庫内を守っていた大鳥啓介のあだ名であった。
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大鳥は母親戦争が始まるまで実戦の経験がなく、身分の高さから陸軍奉行に選ばれたに過ぎない。
ちなみにひじかたが陸軍奉行並みであるから、大鳥はひじかたの上司ということになる。
だが常敗将軍に関係なく、他の二つの戦場は過酷だった。
松前に陣を構えていた榎本軍は、海からの攻撃に相崩れになり、
気庫内では榎本軍の軍艦、海天と万竜からの援護もあったものの、やはり持ちこたえることはできなかった。
やむなく私は全軍撤退を総裁に打診した。
釜さん!全軍、矢古井まで撤退した。あそこを破られた二股口が孤立する。
二股口のひじかた隊に伝令を。撤退命令だ。
わかった。
いや、待て。やはり…
釜さん、刀差してどこへ?
私が直接矢古井へ激励に行く。
せめて二股口のひじかた隊撤退が終わるまで、何とか持ちこたえさせねば。
敵に挟み撃ちされたら、ひじかた隊は全滅だ。
今まさに負けを悟った我が軍の兵士たちは疲弊している。
資金が下がればそれだけ死傷者も出るだろう。
どうすれば…どうする、あの人なら。
新戦組副長、ひじかた俊三なら。
ひじかた俊三なら。
榎本総裁!
総裁!
皆よく聞け!
ここは我が国の我らの国だ!
失えば帰るところなどないぞ!
おう!
忙しません!
万歳!
万歳!
えい!えい!おう!
えい!えい!おう!
榎本の奮闘が役立ったのかどうかはわからんが、
双股口のひじかた隊は無事五陵角まで撤退した。
ひじかた君…
ひじかたさん、お帰り。
何を考えている!
将を自ら前線に出るなんて、
あんたに何かあったら全軍が沈むと言ったはずだ!
ひじかた君、そんなにドラなのくても聞こえるよ。
あんたもあんただ!なぜ止めなかった!
止めて聞く人じゃないんでね。
ひじかたさん、ありがとう。
ありがとう…
双股口では連戦連勝。
我が軍の損害はほとんどなかった。
たった三百の兵で本当によく戦ってくれた。
いや、実は有川まで行った時、
君のように厳しく叫んでみたんだが、
まったくダメだったよ。
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榎本さん…
この時のひじかた俊三は、
頬を真っ赤に染めて、
まるで好きな女子に思い打ち明けられた少年のようだった。
榎本さん、一つ質問がある。
あんた、誰のために戦っている?
ここにいる素晴らしい人材を生かす国づくりのために。
生かす国づくり…
江戸ヶ島政府か。
私は江戸共和国と命名しようと思う。
江戸共和国?いい名前だ!
江差氏も松前も取られ、
これで俺たちにはここ函館しかなくなった。
覚悟しなきゃならねえんだぞ。
分かっている。
五稜郭を守り、新しい国を作ろう。
正気か!
ひじかたさん、私も質問がある。
あんたいったい何のために死のうとしている?
それは…
江戸元とひじかたは、
同じものを真逆から見ていたんだと思う。
二人の友情は縛れる大地に訪れた、
束縛の春のようだった。
だがしかし、
それは江戸元軍にとって、
まさしく決戦への行きどけであったのだ。
星の新軍
第3話 函館湾海戦
陸上戦で敗退し、旧幕府軍の領土といえるものは、
もはや函館市内だけとなっていた。
五稜郭、星の形をした城郭、
一度は江戸地全土を制圧し、
新しい国を作ると行きまいていた江戸元軍は、
それが、星の輝く夜の間の夢でしかなかったと、
思い知ろうとしていた。
さて、敵が最も攻撃してくる場所はどこか。
函館は海に突き出た土地だ。
左右、そして函館山の背後に広がる海は、
天然の堀と言っていい。
五稜郭の背後、神川には、
ウリュネ大尉の指導で資料郭を築いた。
おそらく新政府軍は、
海からこの函館信仰を企てる。
海…。
だが江戸元さん、軍艦はたったの三艦しかない。
三艦あれば叩ける。
あたしは幕府の下で軍艦頭だった男だよ。
むしろ三艦しかないと敵が油断するなら、
こう都合。
ほう、上等だ。
この頃、江戸元と五稜郭は、
互いを認め合うようになっていた。
五稜郭さん、何故笑う?
33:00
河間さん、いや、総裁。
何だい副総裁、改まって。
敵は御主の戦の腕前を見くびってはいない。
油断だけはするな。
分かってるよ、太郎さん。
だが、江戸元の頼みの綱の軍艦に、
悲劇が訪れる。
4月30日、夜。
千代田、万隆、海天の三艦が見張る函館湾に、
新政府軍の軍艦が偵察に訪れる。
江戸元軍はすぐに砲撃し、
新政府軍の船を外海へと退けることができたのだ。
だが、
森本艦長、敵は引きましたね。
だが油断はするな。
ここは湾のどの辺りだ。
弁天岬と思われます。
暗いですが、あそこに弁天大馬の石組が。
艦長!
しまった、殺傷した。
離脱急げ!
離脱できません。
森本艦長、いかがいたしましょう。
新政府軍の軍艦は、
まだこちらの様子を伺える場所にいる。
もしこの千代田を敵に奪われ、
味方が攻撃されるようなことがあれば、
軍人としての恥だ。
機関を破壊せよ。
艦長、今何と?
船の機関を破壊せよ。
この船を使えないようにするのだ。
敵の銭は私よりはいい。
森本工作は千代田を航行不能の状態にし、
乗組員と共にボートで脱出した。
ところが明け方、
満潮になると千代田は、
自然と離所し、
函館湾の外に漂い出て、
なんと新政府軍に
打破されてしまったのである。
この知らせを聞いた榎本は、
月光した。
榎本総裁。
森本工作。
艦長の任を解き、
一水平に降格する。
しばらく五稜郭の郭内に置いて
金光景とする。
何か言うことはあるか。
こうして江戸を出たときは
八艦編成だった榎本艦隊は、
凱天と万隆の二艦を残すのみとなった。
一方、攻めてくる新政府軍は、
張陽、勝賀、陽春、延年、堤防、
そして鉄の化物、
鋼鉄の六艦。
五月七日、
函館湾に新政府軍の軍艦が現れた。
凱天で指揮を取るのは、
新井幸之助ではある。
36:01
ひるむな!
砲撃!
万隆は未だ支援中。
動けるはずの凱天しかない。
功賀さん、
私も戦います。
近づいてくる。
あの船は?
鋼鉄!
機関損傷!
凱天、航行不能に陥ります!
千代田のようにはしないぞ!
そうだ、浅瀬に上陸しろ!
わざと座標させるのだ!
凱天の攻撃機能は健在だ。
ならば、撃ち続けろ!
凱天は今より放題とする!
見ろ!
新戦法軍の軍隊が散りどいてく!
凱天も軍艦都市を使えなくなった。
残るは万隆、ただ一艦。
榎本総裁、ドーデル。
太郎さん、いや、副総裁。
後を頼む。
ああ、鎌さん。
その頃、五陵郭では榎本が自ら指揮を取り、
騎士改正の夜襲を仕掛けようとしていた。
肘肩さん、行ってきます。
その時、鎌さんは肘肩に向かってにっこりと微笑んだ。
おそらく、死ぬつもりだったんだと思う。
たくさんの命を犠牲にした責任を取ってね。
ところが、武士として死に場所を求めていたはずの肘肩は、
鎌さんと真逆のことを考えていた。
生かすことをね。
榎本総裁、戦場で笑うもんじゃない。
榎本隊、出陣する!
とうとう総裁自ら兵を率いて夜打ち。
止めないんですか、肘肩さん。
あんたこそ、副総裁でありながら、
なんでいつもあいつのやりたいようにやらせている。
止めてはいるな。
本気で止めろ。死なせるな。
肘肩さん。
死ぬのは俺たちの仕事だ。
鎌さんの背中についていく。
それが、私の役割だと思っているのでね。
あなたになら、分かってもらえると思うのだが、
結局、この時の7N夜襲は失敗だった。
榎本総裁は無事に戻ったが、
味方は20人以上の死傷者を出した。
私はこの失敗が、肘肩さんにある決意をさせたんじゃないかと思う。
39:05
自らを犠牲にしてでも、
生きるべきものを生かすという。
お呼びですか。
一村。
お前に頼みたいことがあってな。
何でしょう。
こいつを、日野の佐藤彦五郎のところまで届けてほしい。
俺の姉の嫁入り先だ。
箱立てで撮った俺の写真と、そして…
肘肩さん。
これは、二発にするつもりですか。
そんな、私に箱立てを離れろというのですか。
そうだ。
待ってください。
榎本さんがフランス軍人たちを帰国させたのは知ってます。
でも私は、最後まであなたと一緒に戦いたいのです。
命令が聞けない者は斬る。
肘肩さん。
哲。
最後の命令だ。
わかりました。
勤めさせていただきます。
一村哲之介。この時16歳。
京都時代に新選組に入隊し、肘肩に仕えていた少年は、
無事に箱立てを出し、日野の佐藤家に肘肩の写真と一発を届けている。
彼はその後、西南戦争に加わったとも、
故郷で病を得て亡くなったとも伝わる。
いずれにせよこの時、
間もなく激戦の地となる箱立てから、
肘肩が若い命を逃したことだけは事実だ。
決戦が近い。
榎本の夢は落ちるだろう。
俺はどうする。
星の深雲。
第4話 決戦の朝
5月11日。
御霊閣と箱立て市街を残すのみとなった榎本軍に、
新政府軍はいよいよ総攻撃を仕掛ける。
北の大地に夢を見た男たちの最後の戦。
その皮切りは、夜明けの箱立て岸で始まった。
今よ残った軍艦はこの万竜ただ一つ。
踏ん張れ。
我ら万竜の大砲が敵徴用艦の右下に命中。
火薬庫を破壊し爆発しました。
よし。
42:05
徴用艦爆沈の知らせは、
御霊閣を守る榎本軍の士気を一気に高めた。
よし、このまま陸上戦も乗り切れば。
だが、戦い続けていた万竜は、
やがて弾薬が底を突き、
朝鮮に乗り上げて、
乗員は船を離れた。
何よりこの時、
新政府軍三望、黒田清高の軍勢、
およそ七百人が、
箱立山の背後を登っていたのである。
箱立山の背後は、
崖といってもいい急進な斜面。
そこを突破されると、
榎本は想像していなかった。
この時箱立山を守っていたのは新戦組。
対する黒田は薩摩藩士。
新戦組には積もる異根があった。
あれに見えるは人影。
石膏の報告によると、
あれは新戦組でご安堵。
今日の都での奴らの狼藉、
忘れてはおらん。
全員、銃を構え。
大砲用意。
敵襲だ。
背後を突かれた。羨ましい援軍を。
奇襲だと。
今、知らせが来た。
まさか、あの崖を登ってくるとは。
箱立山の新戦組は?
一旦弁天台場まで下がり、
そこで応戦しているそうだ。
指揮は新戦組の相馬一恵君だと言うから、
しばらくは持ちこたえるだろう。
相馬…。
ひじかたさん!
四両角も落ち、万竜も持たない。
あの煙では、敵は市街地を制圧しつつある。
弁天台場は市街地を越えた箱立山の脇にある。
このままでは…。
ひじかたさん。
ここからは牢状戦になる。
この五両角にこもり戦おう。
何?
五両角は守りに長けた城郭。
ありったけの武器を集めれば持つ。
その間に、
あなたに騎士改正の作戦を立てていただきたい。
ん?
よせ!ひじかたさん!
あたしはてっきり、
ひじかたが江の本をばっさりやっちまうつもりだって思ったね。
だってあたしも半分、そう思ってたからさ。
そんなことしねえよ、太郎さん。
松平副総裁。
俺に馬と五十人の歩兵を貸してくれ。
45:00
あ、
ああ、
構わない。
何をするつもりですか?
あんたが言う騎士改正の技とやらさ。
江の本総裁。
徴用撃沈の余韻が残っている。
この機を逃す手はない。
ちょっとひっかき回してくる。
ああ、
いつかの質問の答えだが、
その、
何のために死ぬか、
という答えだが、
ああ、
俺たち新選組も江戸共和国の一員になれるかな?
も、もちろんだ。
だってもうなってるじゃないか。
それが答えさ、
鎌さん。
いかん!
あ、鎌さん。
よし、いい子だ。
肘形さん。
総裁。
何してる?
一軍の将は奥にいるもんだ。
じゃあ、
あなたが今しようとしていることは何ですか?
騎士改正の技?
ひっかき回してくる。
そんなことを言って、
本当は新選組を助けに行くつもりでしょう。
やめてください。
あなたは私とは違う。
あなたさえいれば、
みんなは希望を失わない。
今日の街を駆け抜けた新選組、
鬼の副長、肘形。
あなたがいるから、
みんなは戦に勝てると思うことができる。
あなたはこの五稜郭の星だ。
弁天台場は堅牢な砦です。
たとえ敵が市街地を占領しても、
しばらくは持つ。
どうか、
今はここにいてくれ。
江戸元さん。
あなた、
何なんだ?
何なんだとは。
オランダ帰りの旗元、
海軍東鳥様。
あなたから見たら、
多摩の百姓の俺は、
クズみたいなものだろうと思ってた。
何を言う。
負け知らずの上将将軍と言われたあなたが。
俺が五稜郭の星?
違うね。
星はあなただ、
江戸元さん。
あなたは正直、
大将としては出来が良くない。
むやみな自信で突っ走り、
失敗すれば、
部下に頭を下げもする。
頼りなくてやけっぱちで。
だが振り返ってみろ。
みんな、
そんなあなたについてきた。
これからの時代を生きるのは、
必要とされる人間は、
あなたみたいな、
胸に希望の星を抱いた大将なんだよ。
ひじかたさん。
48:00
江戸元さん。
やりたいようにやれ。
あなたはあなたであり続けるんだ。
手を離しなよ。
江戸元総裁。
太郎さん。
ひじかたさん。
ご分を。
あんたらもな。
はい!
侍の背中だな。
ひじかたは五稜郭を出て、
一本木関門へと向かった。
函館市街へと通じる道中、
歩兵を連れているので、
馬では全力で駆けられなかったようだ。
江戸元さん。
あんたは不思議な人だ。
欠点だらけのくせに、
妙な愛嬌がありやがる。
俺も。
鎌さん。
あんたに見せられたらしい。
だから最後に、
やりたいことをやるぜ。
一本木関門は海に近い。
湾曲した地形のため、
手を伸ばせばもう、
弁天台場に届くように感じられる。
待っていろみんな。
俺が助けに行く。
進撃!
怯むな!
俺この策にやりて、
引く者を斬る!
えいっ!えいっ!
おーっ!
ひじかたさんが、
死んだ。
一本木関門で、
敵と戦闘状態になり、
腹部貫通重装。
ほとんど即死だったらしい。
大野君が知らせてくれた。
遺体は何とか引き上げて、
もうすぐ五稜郭に戻ってくる。
大野さん、どうする?
これから、
あなたが、
ここの大将だ。
大将は、
みんなが進む道を、
決めなければならない。
決める?
背負うんだよ。
そうだ。
私は、
江戸共和国総裁だ。
明治2年、
51:01
5月11日。
函館決戦の日は、
江戸元軍の敗北が決まった日でもあった。
またこの夜、
瀕死の状態で苦しんでいた兵士たちに、
江戸元は、
乳飼料のモルヒネを与えて、
死なせてやった。
北の大地に夢見た新しい国。
その国の、
終焉が迫っていた。
星野新軍。
第5話。
新しき国へ。
函館総攻撃により、
江戸元武昭率いる、
旧徳川幕府軍の敗北は、
決定的となった。
いじかた俊三の戦死を、
弁天台場に立てこもっていた新戦組は、
降伏。
千代香台場を守っていた、
中島三郎助と、
その二人の息子も戦死した。
さらには、五稜郭そのものへも、
あの鋼鉄が放つ、
アームストロング砲の砲弾が着弾し、
数人の死者を出した。
江戸元が北の大地に夢見た江戸共和国は、
幻となりつつあった。
降伏勧告か。
昨今の形勢、
海軍は敗れ候えども、
五稜郭並びに弁天台場奮戦のこと、
始動において貫復の至りに候えども。
始動においてか。
おっと、戦場で笑ってると、
ひじかたさんに叱られるな。
どこまでも戦うか否かのお答え、
下され候。
戦うのは諦めろ、
ということだね。
弁将はどうする、鎌さん。
降伏はしない。
だろうね。
我が軍には、いまだ弾薬もある。
兵羅もある。
何より戦いたいと願う兵たちがいる。
皆、殺長に志望をあげると言っても聞くまい。
じゃあ、弁将は?
そうだね。
例えば、
君臣を辞して遠く北の大地へ来たりし訳は、
戦犯、再三再四朝廷単元致し候とおり、
えーっと。
こんな文章も入れよう。
一度、枕を共にして潔く、天陸に伏し、
大すべく騒動。
皆で一緒に死にますって意味さ。
鎌さん。
ああ、ちょっと。
それは?
54:00
万国戒律全章。
海軍が守らなければならない国際的な法律が書いてある。
鎌さんがオランダ留学から持ち帰った本だね。
そうだ。
間違いなくこれからの日本にとって必要な書物さ。
戦争にも国際的な法律があって、
その法律を破るようなことがあれば、
結局は世界の一員としては認められない。
これを、
敵の参謀、黒田に送る。
しかし、
お主はそれを肌見放さず大切にしていたじゃないか。
だからこそ燃やしたくないんだよ。
この本は。
日本にはこれ一組しかない。
これからの日本を作る明治新政府軍にこそ、
この本を学んでほしいのだ。
鎌さん。
笑っておくれ、太郎さん。
兵には命を捨てさせるくせに、
榎本鎌次郎は本を大事にしている。
こんな大将についてくると、
皆に恨まれるだろうね。
お主を恨む者なら、
とっくに逃げ出してるさ。
にしても、
しても?
お主らしいよ。
榎本さん。
やりたいようにやれ。
あなたはあなたであり続けるんだ。
ねぇ、鎌さん。
ん?
その本は、
オランダ語で書かれているんだろ?
今の日本に、
その本を翻訳できるやつが、
お主の他にいるかね?
そういえば、
そうだね。
それでも、
榎本は本を黒田に送った。
戦の最中に、
本の心配とは、
榎本さ、
一体どげなお人じゃ。
その夜、
私は榎本が心配で、
眠れなかった。
君、
大塚君だったね。
あっ、
松平副総裁。
眠れないのですか。
夜回りご苦労様。
どうかされたんですか。
厳しいお顔してらっしゃいますけど。
うん。
今夜、
榎本総裁を見張っていてくれないか。
私では、
警戒されるだろうから。
は?
あ、はい。
承知いたしました。
頼む。
見張るって一体どういう意味だろう。
総裁は、
ああ、
お部屋にいらっしゃるのか。
ああ、
総裁、
おやめください。
君は、
榎本の手から担当を奪うとき、
大塚角之丞は、
指に銃刺を負った。
57:00
痛っ。
大塚君、
大丈夫か。
総裁、
なぜ、
お腹を召されようなことを。
誰か、
松平さん。
鎌さん。
やっぱり、
切腹しようとしたね。
気づいていたのか。
当たり前だ。
副総裁だぞ、
俺は。
すまん。
それより、
大塚君の傷を。
歯を握って、
担当を取り上げてくれたのか。
ありがとう。
君のおかげで、
この馬鹿を救えた。
恐縮です。
早く、
手当を。
はい。
鎌さん、
深くは聞かない。
だが一つだけ言わせてくれ。
あんたが消えれば、
この国も終わる。
国?
江戸共和国。
お主が描いた、
夢の国さ。
共和国の夢なんて、
とっくに。
いや、
違う。
ここにはある。
俺の胸に、
生き残っているみんなの心に。
そして、
死んでいった者たちの魂に、
江戸共和国はある。
だがお主が死ねば、
すべては消える。
どうだ、
それでも死ぬのかい?
それで、
この江戸地以外に、
逆心の汚名を着せられた、
汚名を着せられた英雄たちの魂は、
一体、
どこへ帰ればいいんだ?
何のために死ぬか、
という答えだが、
ああ。
俺たち新選組も、
江戸共和国の一員になれるかな。
もちろんだ。
だって、
もうなってるじゃないか。
それが答えさ。
皆さん、
みな、
すまない。
明治2年5月18日。
函館戦争は、
江戸元軍の降伏によって終結した。
これはすなわち、
幕末という時代の、
終わりでもあった。
これを機にこの国からは、
武士と呼ばれた人々も、
いなくなったのだ。
江戸元軍幹部は、
江戸村の新政府軍陣野へ出逃した。
やっと、
会え申したな、江戸元殿。
黒田さん、
万国戒律全書は?
1:00:01
我が婚姻に、
大切に、
お預かりいたします。
いずれこの本は、
日本語に翻訳し、
天下に降伏いたしましょう。
そうですか。
安心しました。
ありがとう。
ふん、
妙なお方じゃ。
降伏し、
東京と名を変えた江戸へ、
連行された我々は、
辰野口急問所の牢へ入れられた。
ここは一緒に入れられた、
城廃将軍こと、
大取啓介が設計した牢屋だったのだから、
全く笑えない。
我々は皆、
死刑になるだろうと覚悟していた。
江戸元さんもおとなしく、
法律をたっ飛ぶあの人らしく、
沙汰を待っていた。
明治五年、
我々の処遇を決める会議が開かれた。
死刑医がいないだろ。
その通り。
逆進度もある。
議論の余地なし。
お待ちください。
黒田殿。
これは坊主頭だ。
黒田はその会議場に、
坊主頭で現れた。
江戸元は、
これからの日本に必要な人材でごんど。
おいどんがどれほどの思いで頼んどるか示すため、
今通り、
丸坊主になってき申した。
江戸元は、
自分の命よりも、
戒律全書なる書物を信だ。
知識いうもんがいかに重要か、
それを知っとる人材を、
殺してはいかん!
どういうことです?
オランダ語の本らしい。
国際法だそうだ。
江戸元の他に読めるものはいないんじゃないか?
黒田の必死の探願によって、
明治五年一月、
捉えられていた旧幕府軍の幹部たちは、
全員が釈放された。
太郎さん、
あたしは、
生きることになってしまった。
そうだね。
嬉しいよ、
鎌さん。
ああ、
これが、
新しい日本の空か。
青いね。
江戸元はその後、
黒田の口利きで開拓主となり、
アルビエ土地へ渡ることになった。
北海道と呼ばれるようになったこの土地で、
江戸元は石炭の採掘をする丹田を発見。
1:03:00
さらには、
特命全権公主としてロシアへ渡る。
その後は、
提審大臣に外務大臣、
農政務大臣を歴任。
農業大学まで作った。
他の者たちも皆、
それぞれに立派な道を生きた。
あたし、
松平太郎は、
江戸元の仕事を助けつつも、
商売に手を出して失敗ばかり、
表舞台に立つことない人生を送った。
後悔はないのかと聞かれることもあるけれど、
そういう時は、
いつもひじかたさんを思い出す。
あの人は、
あたしを、
わかってくれていたのだろう。
近藤勇という名優を、
東大一の武士にするために、
生きていた男ならば、
強く輝く誰かを、
支えたいと願う生き方を。
明治三十三年に、
黒田清高が死ぬと、
江戸元は総議院長を務め、
その江戸元も、
半年前の明治四十一年、
七十三歳で世を去った。
残ったあたしの命も、
そろそろ尽きようとしている。
あたしは思い出す、
あの北の大地に輝いた光、
今は歴史の彼方で、
瞬き続ける。
江戸共和国の物語、
後の世の人々も、
そう、
きっと、
この光を見るのだろう。
最後の物の二つの、
魂のきらめきを。
ボイスドラマで学ぶ、
日本の歴史、
シーズン1、
星の神軍。
いかがだったでしょうか。
責任感が強くて、
残された爆心のために、
夢を実現させようとするも、
それを叶えるための、
実戦経験が乏しい江戸元と、
愚直に戦いの場に身を置き続けて、
武士としての最後を探していた肘方。
まあ初めは立場や経験の違いから、
わだかまりがあった二人ですが、
最後にはお互いを尊重して、
戦争に身を投じる仲間となっていく様子が、
描かれていましたね。
しかし侍肘方は、
この函館戦争の中、
武士として最後を遂げます。
一方オランダへの留学経験や、
1:06:01
万国皆立全省翻訳、
理解している知識の人、江戸元は、
明治新政府の要人として、
生き残る道が与えられることになったわけです。
これは一つの時代の流れの体現と言っても、
いいのかもしれません。
さて次回は、
エピローグ回として、
私ナビゲーターの熊谷陽子が、
シーズン1星の新軍を描き起こしてくださった、
作家日野草さんに、
今回の物語についてインタビューをしてきましたので、
そちらを公開いたします。
どうぞお楽しみに。
皆さんこんにちは。
ボイスドラマで学ぶ日本の歴史、
ナビゲーターの熊谷陽子です。
幕末函館戦争を題材としたシーズン1、
星の新軍いかがでしたか。
まだお聞きになっていないという方は、
ぜひ本編もお聞きいただければと思います。
さて今回はそのシーズン1、
星の新軍の脚本をお書きいただいた、
作家の日野草さんにスタジオにいらしていただきました。
日野さんよろしくお願いします。
よろしくお願いいたします。
こんにちは。作家の日野草と申します。
今日はよろしくお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私も歴史が大好きでですね、
いわゆる最近ね、歴状なんて言われてますけれども、
日野さんもやっぱり歴状的な。
歴史は大好きですね。
歴状っていう言葉も最近出てきてまして、
ただ私は人にラベルを張るっていう言い方があまり好きではないので、
歴状ですとはあまり名乗らないようにしています。
なるほど。
昔から歴史が大好きでですね、
函館戦争が特に好きで、
函館まで行って色々調べるくらいハマってしまってます。
それはすごいですね。
でも歴史好きにはたまらない。
そうですね。
現地に行って空気を感じるというのはですね。
分かります。
私も同類同じ匂いを感じます。
分かります。
ドラマの中でですね、語り尽くせなかった色んなお話もたくさん挟みながら、
今回お話聞いていきたいと思うんですが、
早速ですが質問をさせていただきたいと思います。
よろしいでしょうか。
よろしくお願いいたします。
今回題材となったのが函館戦争ですけれども、
脚本を書き上げた時ですね、
一番どういった点をリスナーに伝えたいと思って書き上げたかという点をお聞きしたいんですが。
函館戦争って結構まだマイナーなテーマだと思うんですね。
1:09:02
まだ何も知らない方にはこういう戦争があったんだと知っていただけたら嬉しいですし、
知っている方には何かそうそうそういうことあったよねみたいに頷いていただけたり、
ドラマとして楽しんでいただければなと思っております。
なるほど、そうですよね。函館戦争ってどこか母親戦争の最後の戦いで、
母親戦争一括で函館戦争なんてあったの?みたいな感じでね。
そうなんですよ。母親の戦いっていう、えとのことで母親なんですね。
それでいうと函館戦争はその後で騎士の駅と言われています。
つまり母親、母親でもないっていうね、ちょっと本当最後の外れた戦いです。
その上戦争中に明治に改元してしまったし、江戸は東京になってしまったしで、
あまり取り上げられることも少ない戦争かなと思っています。
大正奉還後のいわゆる国内の内戦ですね。
内戦のその最後の戦ですね。
この江戸共和国という1個の国、この中でもう独立した国家みたいな感じで扱おうとしたわけですよね。
そうですね。なぜかというとその方が諸外国からなかなか攻撃をされないんですよね。
中立国になっていただきたいわけです。ただの内乱じゃなくて。
それもあったのか、一応本人たちが名乗ったというよりは、外国の人がそういうふうに共和国っていう言葉を使って、
公式の書類に書いたのが後の世で、江戸共和国って翻訳されたという形なんですけども。
今回のお話は江戸元たけやき目線というか、江戸元たけやき軸でお話が進んでいますけれども、
この時代の一番取り上げられているのが、いわゆる新戦軍ひじかたというところですけれども、
この江戸元、なかなか超エリートな人と通じる人ですよね。
そういう社長さんとか、企業家になれるんじゃないかなというような感じですが、いかがでしょうか。
江戸元さんの人生と言い、ちょっと感覚と言い、現代に近いものがあるなとは思うんですよね。
新戦組がどうしてもかっこいい集団ですし、幕末っていうとみんな目が行きがちなんですけども、
江戸元たけやきっていう方は爆心で生まれて、海外オランダに留学をして、そして函館戦争も生き延びて、
明治時代には政治に携わっているとんでもなく波乱万丈の人生の人なので。
そうですよね。オセロみたいに黒になったり白になったり。
そこで批判も多い方です。
今までこのお話に物語に似合うまでは、私はあんまり江戸元たけやきってどうなのよみたいな。
取り上げられている話も確かに数も少ないかなと思います。
1:12:03
ただずっといろいろなことを調べていくと、今おっしゃったように早々の頃にオランダとかに留学してて。
すごいことです。
ちょっと面白いなと思ったのは幼少の頃の15歳ぐらいだから、日本でいうと中学生ですかね。
すごい成績悪かったんですよね。
最初の松平坂学問所というかね、あそこで松平坂で。
最初すごく成績が悪くて再入学をしているようになったかな。そんな話もありますね。
そうですよね。再入学できるっていうのもまた面白いですし。
そうなんだ。ギリシャの学校みたいだなと思ったけどね。
そうですよね。アカデメイヤみたいだなと。
ところが長崎の海軍の。
そうですね。
あっちではとても海外の先生からの評判がいいんですよ。
そうですよね。で、かつ回収の教育を受ける感じの流れになって。
そうですね。
そうですよね。だから面白いなと思って、なんかこうやる気があるんだかないんだか。
ただもしかしたらなんですが、この方新しいものっていうものにはものすごく興味を持った方なのかなと思うんですよね。
海軍っていうものは日本にはね、この幕末にならないと必要性がなかったわけですよね。
もちろん船での戦っていうのは昔から、原兵合戦の頃からやってはいましたけども、あんな大きい軍艦を持って大砲で戦うっていう戦い方は、
この時代になってやっと見えてきた戦い方で、もしかしたら榎本さんは新しいものはすごいってこう言うタイプで、
なんとなく授学とかそういうものになると、んーってなってたりしたのかなと思ったりもします。
なるほど、そうかもしれないですね。
それは若いからね。やっぱり新しいものって言ったら楽しいんじゃないでしょうかね。
そうですね。一方、ひじ方はというところで、ひじ方としぞうってみんなすごい最後の年みたいなね。
ラストサムライみたいな感じで、いろんなイメージ持ってる方いらっしゃると思いますけれども、
日野さん的にはひじ方について語っていただくとしたらどんな感じでしょうか。
一言で言ったら、神様が丹精を込めて脚本を書いたような人生だなと思いますね。
こんなドラマチックな人生、なかなかいないなと思うんですよ。
このドラマの中でも、自分は百姓って言ってますけども、実際はひじ方家はとても大きなお金持ちというか、土地持ちのお家、とても大きなお家です。
だけどそれでも当時、身分の壁っていうのは大きいものですから、その方が武士になって、
この時代、日本に、一応ね、国とするならば日本にできた束縄の共和国で高い地位に就いて戦死するってすごい人生ですよ。
そうですよね。
幕末以外だったらまずないんじゃないかと。
そこと考えると、榎本さんって生まれつき武士ですよ。
1:15:00
なんか対比として書いたら面白いなと思ったんです。
なるほどね。
今回のドラマの中でですね、やっぱり榎本とひじ方という二つの日本の柱があったわけですけれども、
榎本とひじ方って和と洋とかそういう感じですよね。
比べられますね。
戦死するものみたいな武士のひじ方と、知識の榎本みたいな。
洋法、洋法ってね。
専用かぶれみたいな。
この榎本でひじ方のことをどう思ってたんでしょうかね。
そうですね。ただ、どう思ってたってもちろん本人ではない限り言い切るってなかなか難しいんですが、
ただ、戦後ですね、ひじ方家の方が榎本さんを訪ねていて、どんな方か聞いたというエピソードがありまして、
その時、榎本さんが書を送ってるんですよ、隅でササッと書いて。
それが入室書、西風って書いてある書で、今も残っているんですが、
これはあの人が部屋に入ってくると清らかな風が吹くようだった、とても綺麗な褒め言葉ですね。
だから、決してそんな悪い気持ちを持っていたように私は思わないし、
一つ惜しい人というか、本当は無くしたくないと思ってたんじゃないかなとは思ってますね。
それはそうですよね。ただ、この流れから言うと、ひじ方の最後は真っ当だったのではないかと私は思うんですけれども。
仮に幸福をした時に生きていても、明治政府って長州の方がいっぱいいましたから、
新選組と長州といったら大変な予言のある関係で、ひじ方さんだけはたぶん除名なんてなかったろうし、
首を取られるくらいなら、ひじ方さんとしたらあの死に方は馬上で銃に撃たれて、
なんともこんな後世の私たちからすればかっこいい死に方ですよね。
そうですね。本人にひじ方さんには申し訳ないですけど、私たちが遠くの時代から見ると絵になるまさに、
絵にしたかったわけではないかもしれないですけれども。
死に様ってある種、生き様の最後の姿ですからね。
その意味ではなんてかっこいいんだろうって私たちが思う理由にもなっているような気がするんですよね。
私は函館戦争の魅力っていうのが、新しい時代と古い時代が本当に入り混じった、
混ざるんですよね。古いところ新しいところが、海と川の境目の岸水域みたいに、
それがこの時代の魅力でもあると思っていて、
その象徴として、ひじ方俊三と榎本武明っていう人は面白いなと思うんですよ。
代表ですね。
ただ、ひじ方さんも洋装で戦ってますし、ピストル銃ですけどね、小銃も使って戦ってますし、
1:18:01
古い時代にしがみついたわけではないんですね、決して。便利なものは取り入れてます。
合理的な人だったんでしょうしね。ただ、生き抜くかそこで死ぬかの違いですよね。
そうですよね。運命のいたずらというか。
運命、ひじ方さんは自分の運命を作った人だったし、
榎本さんは定められた運命の通りに生きた人に見えるんですよね。
新戦組って、ひじ方でこの函館戦争の後、どんな流れになっていったんでしょうか。
この後は弁天台場が降伏した時に降伏しまして、
ドラマの中でお名前だけ出した相馬一恵という方がほぼ戦後処理を引き受けているような、
一人でもいろいろかぶった方なんですけど。相馬一恵は戦後、
抜刑にもなり、ところが刑務終わって釈放された後ですね、
切腹して亡くなっているんですよ。武士の死に方ですよね。
まるで新戦組の最後の一人として、武士として死ぬという死に方。
明治に切腹して死んだ人がいるんですね。
というのがびっくりですよね、まずね。しかも解釈ない。
解釈なしですか。
自分で腹切って死にました。
本当に武士ですね。
武士ですね。
いろんな人もいて、中島昇さんという方は、
函館戦争で亡くなった戦友の姿を錦えにして残してますね、供養のために。
この戦友姿錦えというのも今現存してますし、
それぞれに新戦組の人も生きていたし、長倉新髪さんは有名ですね。
小樽に住まってね、映画を見て、
こんな良いものをひじ方や混同は見れなかったなって言ったって話もあったり。
そうですよね、なるほどね。
ひじ方さんの死に方っていうのは、まさに武士がいるその時代に死んだ。
本当にかっこいいですよね。
死にはみんなが憧れるのもよくわかる亡くなり方だなと思います。
江本さんも一応このドラマの中でも描きましたが、
切腹をしようとしたという話もあります。
そうですね、ありました。
あります。ただなぜ話をと申し上げるかと言いますと、
これも一説によるとなんですけども、
狂言の可能性があるというお話が本当にあるんですよ。
大塚さん止めてますよね、大塚角之丞さん止めてますが。
止めてます、手怪我してます。
そうなんですよ、大塚角之丞さん指に怪我をして指を落としてしまったじゃないかって話もあるんですが、
本当説なんですけども、わざと大塚角之丞さんが通る時に、
ちょっと扉を開けてやってたんじゃないかなっていう話がある。
そうなら助けてもらえるっていう感じですか。
そうなんですよ、狂言説もあるんですね。
説ですね。
説です。そんな感じなんですね、江本さんは。
なるほどね。
私は死なないでいてくれて、私は良かったなと思ってるんですけども。
そうですよね、その後の明治維新の、現代日本に向かっていく中で欠かせない人材の一人。
1:21:03
本当にこの方がその後したこと、学校も作ってますしね。
そうですよね。
旧爆心の子息を助ける、就学金でいいのかな、そういう組織も作ってるんですよ。
ありましたね、就学金の。
団体徳川育英会ですね。
この時の学校が後の東京農業大学へ進化していくわけですから。
そうですよね。
面白い話で。
人となりを表す話がいろいろ残ってるんですが、みんなそうじて、
友達には最高なんだけど、仕事仲間としてはちょっとねって話は結構あるんですよね。
親戚の方が残した話ですけど。
そうなんだ、言われちゃうんだ、それみたいに。
そういう意見もあるんですね。
奥様のお兄さん、林忠さんが残した話だったと思います。
あとですね、函館戦争で生き残った人たちたくさんいるじゃないですか。
この人たちはどうなったんでしょうね、最後。
江本さんはね、そうやっていろんな大臣になったり学校を作ったりなんですけど、その他の人もですね。
例えば大取さん、常配将軍と言われた。
でも大取さんは技術者としてかなり出世しまして、技術官僚の最高位についたりとかして。
よかった。
そうなんですよ、学習院の委員長にもなってますね。
本当にそうなんですよ。
人生最後に勝てばいいというかね。
それから新井幸之助さんですね。
この方は初代中央気象台長になってます。
たぶんお天気おじさん。
そう、海洋が沈んだ件もありましたしね。
いろいろ天候に左右されたのを見ていて、そういう天気を予測するっていうのにとても興味を持ったというか重要だと思ったんじゃないでしょうかね。
そしてドラマでは活躍した松岡万吉さん。
この方は唯一獄中で亡くなってます。
その倒獄されて。
そうなんです。倒獄されてる時に熱病で亡くなったという話で。
本当に残念なんですよ。
この方、釈放のね、確か半年前に亡くなってる。
あとちょっとだったんですよね。
じゃあ1、2年ぐらいは倒獄されて。
倒獄されて亡くなってる。
この方一人だけですね、倒獄中に亡くなったのは。
獄死。
獄死してるのは。
それから松平太郎さん。
この方も最初は江本さんと一緒、ロシアに行ったりとか函館に行ったりとかしてたんですが、
結局いろんな商売に手を出して出牌したりなんかして。
でも晩年は江本さんが本当に助けてたという話で、一時期一緒に暮らしたりもしてたんです。
そうなんです。
江本さんが亡くなった時、知らせを受けた時に、伊豆で療養をしてたらしいんですけど、
知らせを受けて、江本が死んだらもうダメだっていうつぶやいたとか。
江本さんの死後、7ヶ月後にこの方も亡くなってますね。
1:24:01
最後まで鎌さん太郎さんは一緒だったんですね。
いろいろ求めているものを、時代の変わり目、価値観の変わり目、
その海外のいろんな知識が入ってきたりとかして、
いろいろな様々な選択肢が並べられた時に、
その時に経験した様々なことが、後の今の現代の私たちのために構築される、
その起点になっているような感じですね、この時代の人たちってね。
夜明けの後ですからね。坂本龍馬が言った日本の夜明けの朝ですね。
日本の朝というか。
一番忙しい。
そうかもしれない。一番忙しい時ですね。
主婦とかが一番忙しい時からです。
そっか、日本の夜明けの後を生きたというところから不思議な繋がりなんですけど、
沈んでしまった海洋、これオランダの名前でフォールリヒターと言います。
フォールリヒターってどういう意味かというと、夜明け前なんですね。
そうなんですよ。夜明け前の船が沈んだんですね。
その後。
夜明け。
その人たちは夜明けの後を生きてるんですね。不思議な巡り合わせですね。
なんかそういう風に繋がってるんですね。
そうですね。
海洋丸。
海洋丸ね、すごい頑張ってましたけれども沈んじゃうじゃないですか。
座礁しちゃうじゃないですか。
そうなんですね。ノート部の機関、とても当時の最先端の船。
そうですね。
この海洋丸がもしもですよ、もしも座礁はあの時座礁してなければ、勝ってましたかね。
勝って。でもね、鋼鉄であの船大変な防御力なんですね。やっぱり鉄の装甲でできていますから。
一応ドラマの中でちょっと凄さを強調するために鋼鉄の船ってバーンって言ったんですけど、もちろん一部は木製です。
当時ですから。ただ、外壁に本当に鋼鉄を巡らしてですね、絶対に当時の砲弾が通らない作りになってまして。
ちょっとこの辺も説明しますと、鋼鉄ってこの船はですね、南北戦争、アメリカの南北戦争ですね。
アメリカのですね。
この時に生まれた船ででして、南軍がですね、当時友好関係にあったフランスに発注したんですけど、その時の発注のテーマというか条件がですね、
北軍の大砲が当たっても穴が開かない船を作ってくれって言ったんです。
まさか。
作ったんですけども、ちょっと北軍がクレームをフランス側に入れましたね。
フランス側も、そういえばどっちが勝つかわかんないし、北軍勝ったってね、クレーム入れられてるのに南軍にこの船を渡して、
もしっていうのもあったんでしょうけど、ちょっと保留になったりして。
結局、右を曲折あって、鋼鉄は新政府軍を手に入れましたよね。
鋼鉄管から大砲を撃てば、海洋って木製ですから、オール木製ですから、穴が開きますって。
途中、ドラマの中でも出てきたんですけど、徴用艦をうまく沈められたのは火薬庫に砲弾がぶつかって爆発が起こってたんで、
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あんな風にうまくやれたらポキッと沈みますけどね。
鋼鉄はこの穴がなかなか開かないって大変なことで。
さらに鋼鉄って先端に撃突して、敵の艦に穴を開けられる角じゃないんですけど、
そういう部分が付いてたんですね。もともと作った時から。
これで太陽に戦っても木製ですし、穴開いたら沈みますよって考えたら、勝つって難しかったと思うんです。
ただですね、冬になればちょっと攻めてこられないですから、敵が。
冬まで持たせて、なおかつ交渉ごとに勝てれば、もしかしたらですね、
独立国まで行かなくても可能性だけだったらあったんじゃないかなとは思います。
単なる武力ではなくっていうことですね。
ほんと海洋を失ったのは大きいですよね。
なんで沈んだのかっていうと、この時、ひじかたさんがね、軍隊を率いてですね、えさし、まつまいまで侵入してました。
この時、えのもとさん、じゃあ俺たちは海から援護するよ、大砲撃つよって海洋を出航させてしまったんですね。
北海道ですからちょっと天候がない地とは違います。突然の暴風に襲われて沈んでしまったという話なんです。
この時も視点人物の下、松平さんにもですね、これは資料は私は確かめられていなく、でも伝聞なんですけども、
松平さんは土地の人から、今の季節のえさしっていうのは突然天気が変わることがある。
だから海洋を出すのやばいんじゃないか、沈んじゃったらどうするんだって言ったという話が残ってるんです。
でもえのもとさんは聞かなかったんですね。海洋沈まないよっていう、で出しちゃった。
それに立派な船だからちょっと見せたい気持ちもあったでしょうし。
そして沈めてしまったんですね。
最悪。
最悪です正直。しかも海洋を座礁して助けようとした新足丸という船も一緒に沈んじゃって、ただでさえ大変な時に船2つもなくなっちゃったんですね。
そもそも最初8隻ぐらいしかなかったわけですね。
さらに品川沖で台風にあってまして、脱走の途中にそこでもはぐれてますからね。
そうですよね。
えのもとさん結構ミスが多いんですよ。
海洋が沈んだ時、ひじかたさんは本当に悲しいんだって言われてますね。
なぜかって言うとやっぱりこの方、本当戦に関しては頭のいい方ですから、機関であって神聖不遇が恐れている海洋が沈むっていうのがどういうことかもすぐ分かったんでしょうね。
この時、えのもとさんとひじかたさんがある旅館を人質というのか仮の本人にしてたんですね。
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その旅館の方が2人にお茶を持って行ったという話が残っていて、本当にお茶持ってただけで全然会話なんかしてないでしょうけど、それでも怖くて、2人の雰囲気が怖くて震えが止まらなかったという話が残っていると聞いたことがあります。
そのぐらいピリピリしてたんですね。
この時代って物の価値観とか考え方とかもすごく変わった時代ですから、いろんな意見が対立したりとか、そもそもの今まで良しとしてたものがダメになって。
全くその通りですね。
そういう荒波の中で函館戦争が終わった後、えのもとは投獄されるわけじゃないですか。その時に黒田に渡す。
戒律漸渉のことですか。
そうですね、戒律漸渉を託すわけじゃないですか。そのあたりの黒田との関係とかですね、その辺もお聞きできたらと思うんですけれども。
ありがとうございます。黒田さんとえのもとさんは、この函館戦争の降伏の時まで会ってないと思うんですよ。
ただニアミスはあって、同じ先生の下で勉強はしてるんですけど、えのもとさんが離れたってから、留学してからの黒田さんが入学みたいな、ちょっとニアミス。
だから先輩としては名前は知ってたとは思うんですよね、優秀な人として。
この戒律漸渉、ドラマの中では間違いなく本ではあるんですけども、実は手書きなんですね。
そうなんですね。
全編手書きになってまして、しかも蛮国法という抗議を受けながら、えのもとさん自身で手書きの注釈まで入れたんですよ。
それもあって、もう翻訳できるのは日本ではえのもとしかいないっていう結論になっていくんですね。
黒田さんも本当にえのもとさんのことを尊敬していたみたいで、戒律漸渉が手元に届いた日の夜なんですが、
両核にマグロとお酒樽で大量に送って、これは本のお礼です。
今夜絶対に自分たちは攻撃をしません。
だから酒飲んでマグロ食べて、くつろいでくださいっていう粋なこともやってるんですよね。
粋ですね。本当に面白いなと思って、真っ当に読んでいくと、
すごい私自身が、いやそれ騙されてんじゃないの?とか思っちゃう。自分がけがらわしいというか汚いというか。
いや、私もちょっとそういうところはありますね。
あれですよね、えのもと黒田家はその後。
そうなんですよ。面白い話というかね、これも。
えのもとさんの息子さんと黒田さんの娘さんが将来結婚してます。
だから2つの家が親戚になってますね。
面白いですね。
なんかこう、つながってますよね。
えのもとさんの奥さんって一緒に留学してたときの人の妹さん?
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妹さんです。
近場でマグロをまとまってるっていうか。
ただ当時はまだ江戸時代ですからね、家族間も含めて。
それでいうと身分っていうものもあったわけですし。
今みたいに好きだ嫌いだで結婚するわけじゃないと。
そうですね。ただえのもとさんは結構奥さんに対して誠実というか、
当時の人としては結構夫婦仲の良いというか、誠実な話も残ってますね。
この函館戦争が行われた跡地というか、現地は行かれたことは?
自分でもこいつどうかしてるなと思うんですけど、10回以上行ってます。
そんなにですね。すごいですね。
どんな印象でしょうか。
かなりはっきり意向が残ってますね。五稜郭はもちろんなんですけども。
五稜郭、今函館武行書が再建されてます。
この武行書、当時の工法でなるべく当時の素材と同じものを使って建てたというぐらい、
そのままの姿で今見ることができるんですね。
そうなんですね。
なんでしょうね、ひとつもどかしいような、150年前って近いといえば近いじゃないですか。
すぐそこにあるようで、でも絶対に近づけない。
ある種切ないもどかしさみたいなのがその場に行くと感じますね。
なるほど。
五稜郭もそうですけども。
藤方さんが最後に一本木関門まで走った道があるんですけど、今も残ってます。
ほぼそのまま同じ位置にありますね。
へー。
だから私たちは歩くことができるんですね。
いやーちょっと、行きます私も。
本当今の函館、とても素敵な街で観光もしやすいのでね、
ちょっと函館の観光アピールなんてあれですけど、
でも歴史が好きな方にはとてもいいと思います。
そうですね。
意向がかなりしっかり残っているので。
いろいろ話をたくさん聞かせていただきましたけれども、
最後にですね、日野さんから最近のご活動とか、
これを聞いてくださっているリスナーに向けて一言お願いできますでしょうか。
はい。
僭越ながらちょっと新刊のご案内をさせていただいてもよろしいでしょうか。
はい、どうぞ。
10月19日にですね、エターナルという新刊発売になります。
実業の日本社さんからになります。
これは5つの時代を生きた5人の殺し屋の物語ということになっています。
もし興味を持ちになっていただけたら、お手に取ってもらえたら幸いだなと思います。
持ちました。
ありがとうございます。
そして聞いてくださったリスナーの方になんですが、
本当は私はもう歴史大好きで、まだまだ勉強途中のところもありますので、
本当はね、歴史ファンが集えるカフェとかあったらいいなと思っているんですよね。
いいですね、いいですね。
ただ気をつけないとですね、例えばですけど、
聴衆ファンの方とね、私のような新選組ファンが同じテーブルについてしまったら、
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その場がね、それこそ抜刀する勢いになるので気をつけてね。
歴史って本当に面白いのでね、ぜひいろんな人に知っていただいて楽しんでいただけたらなと思っています。
過去の歴史を紐解きながら、今のある意味時代の変わり目。
本当に明治維新と同じくらいの価値観の変わりような時代なんじゃないかなというふうに思うんですね。
このコロナ禍についてですね。
この時に歴史を学ぶというのは、とても意義のあることではないかというふうに思っておりますので、
このボイスドラマはぜひ皆様にお楽しみいただきながら、いろんな思いを馳せていただければと思います。
本日はありがとうございました。
ありがとうございました。
それではボイスドラマで学ぶ日本の歴史、次回シーズン2ですね。
配信準備着々と進めておりますので、どうぞお楽しみにお待ちください。
今日はですね、日野さんありがとうございました。
ありがとうございました。