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1日10分、宇宙時間をテーマに毎日お届けしております。宇宙ばなし。
今回は、SLIMが月面着陸を成功させ、その成功基準、
ミニマムサクセス、フルサクセス、エクストラサクセス、そんな基準が出てまいりました。
じゃあ、他の今動いている科学ミッションには、どんなサクセスクライテリア、成功基準があるのか、
そんなマニアックな話を今日はしていこうと思っておりますので、ぜひ最後までお付き合いください。 どうぞ。
2024年1月31日。 始まりました、佐々木亮の宇宙話。
このチャンネルでは、1日10分、宇宙時間をテーマに、天文学で博士号を取得した専門家の亮が、
毎日最新の宇宙トピックをお届けしております。 本日でエピソードが1209話目を迎えております。
基本的には1話完結でお話ししておりますので、気になるトピック、気になるタイトルから、ぜひ聞いていただけたら嬉しいなと思っております。
前回、1208話では、月面にたくさんの犬が現れた。 具体的には、月面の岩の名前を犬の名前にしていて、
それを月面着陸成功させたスリムが観測しているっていうところで、なんかセンセーショナルというか、
可愛い名前だからこそ、ニュースでたくさん取り上げられてて、そんなニュース見た方も多かったんじゃないでしょうか。
それがどういう名称の付け方なのかみたいな、そんな話を機能してますね。
で、その前は月面産業革命っていう文脈で、 月面での民間企業のどんどん産業への関わり方みたいな、
そんなところのお話ししておりますので、ぜひそちらもチェックしていただけたら嬉しいなと思っております。
はい、ということで、まあ今日もね、普通にやっていきたいと思います。 今日の本題どんなところ言うかっていうと、
これスリムがサクセス、フルサクセス、 エクストラサクセスみたいな、なんかこうクリアの基準があるみたいな話って、
このポッドキャストでもしたし、なんかいろんなニュースでそんなところ 出てたんじゃないかなと思います。
で、これって、 天文学の研究、宇宙開発の中では、よくこの3段階でミッションの成功っていうのが語られることが多いんですね。
じゃあ、スリムと一緒に打ち上げられた、
クリズム、もうこれ開発費用で言うと本当に100億円レベルで違うぐらい、 クリズムの方がいわゆるこう、
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弱さとしては力を入れているというか、 お金をかけている分野の一つなんですよ。
で、そんな中でこう、 このクリズムもクリアしなきゃいけない科学成果っていうのがたくさんあります。
なので今回は、クリズムがどういうサクセスクライテリア、 成功基準を持っているのかどうか、ここをお話ししていこうかなと思いますね。
ちなみに、これクリズム、ピンときてますか。
クリズムは人工衛星に乗っているX線観測装置というか、 衛星全体を指して観測衛星って言ったりしますね。
これのことを指していて、宇宙から飛んでくるX線を捉えていく、 そんなミッションになっています。
これをX線天文学って言って、僕が博士号、PhD取ったのも このX線天文学での研究を中心にしたものだったし、
このクリズムに参加している人たちっていうのは、 もちろん僕の同期だった人たちもいるし、
なんか知ってる偉い先生方とかもいるというような形で、 比較的身近な、僕にとっては身近な研究分野なんですね。
で、そのブラックホールを初めて観測で明らかにしたとか、 あとはもう世界中のX線天文の流れが今まさに来ているっていうところで、
やっぱりこう注目に値する分野ではあるんですよ。 そして日本が世界をリードできる分野の一つでもあるっていうところで、
なかなか注目するべきポイントにもかかわらず、 打ち上げのタイミングとかから、もう常に注目の的はスリム。
同じロケットに同じくらい大事なものが2つ乗っていて、 なんならクリズムの方が
お金もかかってるし、 世界的な機体とかも一緒にあったりしてっていうのも考えると、
もうちょっとクリズム注目されても良かったんじゃないかなっていう感じになるんですよね。 で、そんな中で
まあじゃあスリム今回うまくいきました。 なのでこれはもう本当にすごいことで、スリムで注目されたのがその成功基準っていう話になります。
で、スリムではミニマムサクセス、フルサクセス、エクストラサクセスと呼ばれていて、 これ結構シンプルだったんですよ。
1個ずつ、そこに1個ずつというか、 じゃあ何できたらミニマムサクセスでフルサクセスでというと、月面着陸を実施できていればOK。
で、フルサクセスが精度100メートル以内で着陸できていればOK。 いわゆるピンポイント着陸ですね。
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で、着陸ができた後にデータの転送もできて、 科学成果みたいなのを出すようなデータをちゃんと取れてるね。
通常運用できてるねっていうので、エクストラサクセスというようなところが立て付けとしてあり、
で、ピンポイント着陸ができたからフルサクセスと呼ばれるラインはクリアしたので、 じゃあエクストラサクセスに
手が届くのかどうかっていうところが今後の注目のポイント。 そしてそれが判断されるのはミッションが終了した後っていうところになっているので、
しばらくはそこの判断というのはスリムでもつかないだろうというような形になっています。
で、じゃあそんな中でクリズムにはどういう要求がされているのか。 クリズムの方はミニマムノーマルエクストラ、
ミニマムサクセス、まあサクセスってついてないんですけど、 ミニマムノーマルエクストラっていう3段階でこちらも分かれてますね。
で、ただこれこの3つのレベルだけじゃなくて、
検証しなきゃいけないポイントが1、2、3、4、 4つこれ分かれてます。
つまりスリムは月面に着陸すること、そして運用できることがクリア条件だったんだけど、
クリズムに関してはそもそもクリアしなきゃいけない基準も大きい区分だけで4つあって、 その中に細かいのがたくさんあって、なおかつエクストラまで用意されている
トピックだったりそうじゃないのもあったり、かなり複雑化されてるんですね。 ここがもしかしたらメディアとかいろんな人が取り上げにくいポイントなのかもしれません。
じゃあどんなことが科学的に求められているのか。 科学目標を大きく4つ立てられています。
一つは宇宙の構造、宇宙の構造形成と
銀河団の進化。 つまり宇宙がどうやって組み立てられたのか、特に銀河、中心にブラックホールがあって、その周りに星が集まっている銀河、
それがさらに集まっている銀河団と呼ばれるもの。 これの中のガスの構造が一体どうなっているのかをしっかり検証していきましょう。
というところです。 ミニマムサクセスのところで言うと、
今回って瞳って呼ばれるプロジェクトの後継プロジェクトなので、瞳でできた観測をまずしっかりと
複数の点帯で展開していくっていうところをミニマムサクセスとしています。
これはもう前回のミッションでクリアしてるんだから、してくれないと困るよっていうラインですね。
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で、ノーマルサクセスにあたるのは複数の銀河団について、コア以外の領域も含めて、
銀河団のガスっていうのを高い精度で検出する。 そこから運動エネルギーとかそういった計算までしっかりとしていく。
これがノーマルサクセスとなっています。 この銀河団を研究するそのラインで言うと、これエクストラサクセス用意されてません。
つまりノーマル…ごめんなさい、ノーマルじゃないな。ミニマムノミナルエクストラだ。
ノミナルだった。すいません、ノーマルってずっと言ってましたね。 ノミナルサクセスっていうのは。まあだから3段階だから基準はだいたい一緒だと思ってください。
っていうのがエクストラ用意されてないパターンもあるんですね。 あとは宇宙の物質循環の歴史。
これ何を見るかっていうと、X線天文学の得意な分野の一つっていうのが超新星爆発の研究なんですよ。
超新星爆発が起こって、その爆発が起こった時に、なんだろう、その爆発物の残骸みたいな。
爆発起こるとものすごく輝くけど、その後はその爆風がどんどん宇宙空間に広がっていく様子っていうのが実は観測できるんですね。
しかもこれはX線で見ることによって、その高温の細かいガスの構造まで見えるというところで、それって結局
超新星爆発って、星が生まれて成長していって死ぬ時に起こす大爆発。
で、その爆発によって広がっていった物質が他の天体とかに組み込まれて、
で、また新しい星の中で進化が進んでっていう物質が循環していくんですよね、宇宙空間の中で。
なんか人間のなんかこう、生まれ変わりみたいな話で言うと、輪廻転生みたいなところに近い話になってくると。
別にあのスピリチュアルの話がしたいわけじゃないんですけど、まあそういう使われたものが次の世代に受け継がれていくような、
継承みたいな、そんなところに近い循環を見ていこう。これもミニマムサクセスとノミナルサクセスのみで構成されています。
超新星残骸っていうところの体をしっかり観測して、一つ以上の天体で高精度の観測を行う。
っていうのがミニマムに入っていて。で、ノミナルっていうところに、さらにこういう元素をちゃんと性能上は見えるはずなんだから、ちゃんと見えるように観測しましょうね。
っていうのがノミナルに入っている。そんな感じです。
で、そして次。次が、これ時間なくなっちゃったな。宇宙のエネルギーの輸送と循環。
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というところで、これはブラックホールだったりとか、その辺りを観測していくところ。これもミニマムとかノミナルとかっていうような、いわゆる2段階でのレベルの設定が行われています。
これによって簡単に言うと、宇宙空間のガスの移動だったりとか、どういうところでどういう光が出ているのかっていうエネルギーを測定するとか、
そんなところがミニマムサクセスとノミナルサクセスという2段階で構成されていると。
で、最後4つ目。科学目標の最後4つ目は、超高分解のX線分光による新しいサイエンス。そういうこれ、名前になっています。
で、これ簡単に言うと何かっていうと、今回、クリズムに搭載されている観測装置で、一番重要で世界中から期待を寄せられているのが、マイクロカロリーメーターと呼ばれる装置です。
マイクロカロリーメーター、これはもうこれまでの宇宙開発の中で、X線の観測の中で、見ることのできなかったものすごいレベルの細かいエネルギーの情報を得ることができるんですね。
これが、もう世界最先端。これができるようになると、見える宇宙の世界がガラッと変わっていく。そういう期待がされているのが、このマイクロカロリーメーターであり、超高分解のX線分光って呼ばれるところに対応していく部分です。
で、これは逆にミニマムサクセスっていうのが用意されていなくて、ノミナルサクセス。ノミナルサクセスでまずちゃんとその運用ができていて、なおかつ公募観測っていうところも募集できている状態。これがノミナルサクセスになる。
そして、こいつだけエクストラサクセスっていうレベルも用意されています。エクストラサクセスでは天体の観測っていうのをしっかりデータとして残して、これからのX先天文学、高エネルギー宇宙物理学っていうところの発展を支えるようなデータを取得していっている状態。
そして、アインシュタインが提唱していた相対性理論とかが見られるような、いわゆる相対論的な天体、ブラックホールだったり、そういったものの重力による影響っていうのもしっかりとマイクロカロリーメーターと呼ばれるもので観測できるようにしておくというような、そういうラインでエクストラサクセスが定義されていると。
これざっくり見ると、やっぱりエクストラサクセスって超えるのなかなか難しそうだなっていうところがあるし、逆に言うとちゃんと運用していれば、そして観測計画がしっかりとうまくいけば、ノミナルサクセスっていうところはある程度クリアできるポイントなのかなと思っているので、これからどうやって展開されていくかっていうのは、クリズムの方は注目していきたいなと思っています。
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でも、これ多分だいたい、公式でどんどん発表されてくる内容の研究してる人だったら、頑張れば声かけられるはずなので、皆さんからのリクエストあったらそういう方たちに出てもらって、宇宙話どんどん盛り上げてもらおうかなと。
で、クリズムを僕の方からも盛り上げていけたら面白いかなと思っておりますので、ぜひ期待しておいてください。
そんな感じで、今回はクリズムのサクセスクライテリア、成功基準についてお話しさせていただきました。
ちょっとね、細かく難しい話ばーってした感じもするので、何回か聞いてもらって楽しんでもらえたらいいんじゃないかなと思ってます。
ということで、今回は以上ですね。
今日1月31日は、ジャパンポッドキャストアワードのリスナーズチョイスの申し込みの締め切り日となってます。
ぜひ宇宙話めちゃめちゃ聞いてるよっていう人いたら、そういうポッドキャストアワードのリスナーズチョイス、ちょっとだけでもいいので送っていただけたらと思います。
ここで僕、賞を取れるかどうかっていうところが結構、2024年の動き関わってくるんじゃないかなと思ってるんで、ぜひ皆さん楽しみにしておいてください。よろしくお願いします。
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それではまた明日お会いしましょう。さよなら。
