ギターブランドの市場占有率
このポッドキャストでは、スモールビジネスやその周辺のカルチャーの話題をお届けしていきます。
再生ありがとうございます。
ウェブディレクションと音源制作を手がける、シララ株式会社伊藤博雪に代わってボイスボックスズンダモンがお届けします。
初回となる今回は、皆さんも大好きかどうかはわからないんですけれども、
少なくとも僕は大好きなエレキギター。
このブランドビジネスについてちょっとした話題をお届けしたいと思います。
まず、エレキギターの市場の外境として、ブランドの市場占有率、つまり売上シェアについて調べてみました。
1位がフェンダーというブランドで、2位がギブソン、3位がポールリードスミス。
ブランド自体どれも聞いたことがない方も多分いらっしゃるんじゃないかと思って申し訳ないんですけれども、
いろんなデータを当たったところ、エレキギターを作っているブランドシェアのトップ3はこれで間違いないでしょうし、
僕も長年触れてきて感覚としてあっているだろうなと思います。
もう一度お伝えしますと、1位はフェンダー、2位はギブソン、3位はポールリードスミスです。
そして我らが日本のブランドが実は4位にランクインしていまして、4位はアイバニーズ。
会社名で言うとほしの楽器さんという会社が作っているブランドなんですけれども、品質が良くて、やっぱりお世辞抜きで日本が誇るギターブランドだなと思います。
今度はそのシェアの内訳なんですけれども、GITNAXという海外のマーケティングサービスによれば、
フェンダーは30%、ギブソンは18%、ポールリードスミスは9%だそうです。
つまり、フェンダーは3割、ギブソンは2割、これで市場の半分を占めてしまっていて、そこにポールリードスミスが1割乗っかってくる感じですね。
フェンダーは3割、ギブソンは2割、ポールリードスミスは1割という感じで、結構覚えやすいですよね。
ちなみにアイバニーズはポールリードスミスに迫る8%のシェアだそうです。
各ブランドの価格帯のレンジ
実際の商品なんですけれども、商品の価格帯のレンジが最も広いのが、やっぱりフェンダーですね。
2万円くらいのエントリーモデルもありますし、それ以上の8万円から10万円台、あるいは20万円台くらいがボリュームゾーンになっていて、
さらにそれ以上上のクラス、50万円とか100万円とかの高級ギター、いわゆるフェンダーはカスタムショップと掲げている。熟練の職人による手作り品も揃えている。本当に上から下まで全部揃えているという感じですね。
2位のギブソンなんですけれども、フェンダーと比べればもう少し価格帯のレンジとしては狭くて、もちろん数万円で買える安いギターも展開はしているんですけれども、
だいたい15万円から30万円弱くらいのところに山がある感じです。
3位のポールリードスミスはこれまたはっきりしていまして、二極化させているんですね。基本的に50万円クラスの高級ギターを作っていて、あるいはもっと上の100万円とかのギターを作っていて、
あとから10万円クラスの学生さんでも手が出せるというコンセプトのスチューデントモデルを売り出したという経緯になります。それぞれのポジションがあって、やっぱりちょっと面白いですよね。
話がちょっと逸れてしまうかもしれないんですけれども、こうやって比較してみるとフェンダーのフルラインナップで揃えているという状況は、自動車メーカーでいうところのトヨタとかフォルクスワーゲンとちょっと近いなという感じもしなくはないなと思ってみていました。
そもそもの成り立ちが、二位のギブソンというのが割と職人堅気なギターの作り方をしていたことに対して、フェンダーは工業製品としてエレキギターを作るというスタンスで参入しているという違いがあります。
例えばですね、ギターの首の部分、ネックと呼ばれる部分の接着が、ギブソンは接着剤でがっちりと固めるという手法をとっていることに対して、当然それは凝固に時間がかかるんですよね。
それに対してフェンダーはボルトとプレートでガガガッと一瞬で付けてしまう。
これが奥深いところなんですけれども、じゃあフェンダーの方が何か悪いか、音が悪いかというと全くそんなことはなくて、それぞれの良さがあるというのがやっぱり楽器の面白いところだなといつも思います。
話がそれたんですけれども、そんな市場占有率なんですけれども、こういったギター業界を取り巻く環境というのは、ここ十数年ほど過酷だったそうです。
実際にギブソンは2018年に経営破綻して、今再建中なんですよね。
この過酷だった要因というのは二つあると思いまして、一つ目は音楽シーンの変化というのが挙げられます。
これはもう本当に定説になっていると思うんですけれども、ロックバンドというのがやっぱり減りましたよね。
70年代、80年代と比べてロックバンドが減って、やっぱりR&Bやヒップホップ、ダンスミュージックが対等してきて、当然ギターヒーローが減ったということは、誰もそれに憧れてギターを始める人はいないという状況です。
それでもう一つ目は木材の枯渇というのが挙げられると思います。
フェンダープレイとマーケティング手法
やっぱり森林伐採によってかなり昔使われていた木材が今は使えなくなってきていて、省薬で入手が不可能な状況になっているので、各メーカーは過去のストックを使ってその希少な材を使うしかないという状態なので、良い材を使ったものがあり得ないほどの価格高騰をしてしまう場合がある。
そんなわけで成長自体が鈍化していたところに、さらに追い打ちをかけるように新型コロナウイルスによるパンデミックが起きたわけですよね。
コンサート活動が世の中からコロナ禍の時代は消滅してしまったわけなんですけれども、そうするとギターの演奏に接する機会もなくて、誰もギターを買おうとも思わなくなるという、これはギター業界にとってはめちゃめちゃピンチなのかと思いきや。
ここで王者フェンダーなんですが、めちゃめちゃ業績が好調だそうです。
コロナのステイホームの時間に結局ギターを始める人が増えたと、これは誰も予想できなかったユーザー行動ですよね。
フォーブスによれば2015年の段階で4億ドルだった売上が、パンデミックの間に年30%台で成長したそうです。
さらにビジネスインサイダーとか日経ビジネスを参照したんですけれども、2019年にフェンダーは6億ドル、2020年に7億ドル、つまり900億円とか1000億円の売上の世界になってきていて、2021年はそこからさらに35%伸びてて10億ドルの売上ということです。
なので1300億とか1400億ぐらいの売上になっていると、特にこれを後押ししているのがフェンダーの素晴らしいマーケティング手法だそうで、2015年にアンディ・ムーニーさんと今の社長に変わったんですけれども、この方が生粋のマーケターで、もともとナイキやディズニー関連でブランドマーケティングを手掛けておられている方。
さらにですね、ちょっとこれかっこいいなと思うんですけど、もともとスタジオミュージシャンだそうなんですね。なんかもうラノベの主人公とか異世界転生者かなと思うほどの経歴なんですけど、かっこいいですよね。
その凄腕の社長に変わった2015年頃のデータらしいんですけれども、フェンダーは恐ろしいデータを一つ得ているんですね。それは何かというと、ギターを買った人の90%が1年以内にギターを辞めてしまうと、逆にそこを突破した10%の人は生涯にわたって10本から12本のギターを買うという、いわゆるライフタイムバリューが高いユーザーになると、
ただ9割の人が辞めちゃって、しかも安いエントリーモデルを買って終わっちゃうと、やっぱりちょっと商売にならないですよね。
ただこのデータというのは肌感としてめちゃめちゃわかるんですけれども、僕もギターを始めたいという方に相談されて、最初に何を買ったらいいかとか、どう進めたらいいよというのを一生懸命にアドバイスさせていただいたり、ご提案をさせていただくことは結構あるんですけれども、長く続いている方は1割くらいかなという感じがします。
僕のご提案があまり良くない可能性もあるので何とも言えないんですけれども、フェンダーとしては1年以内にギターを辞めないようにすればいいよねということで、オンラインの学習システムを提供し始めたんですね。
これによって1年以上継続しやすくなると、このフェンダープレイというシステムなんですけれども、やっぱり良くできていて、購入するとギターのボディ部分に漏れなくQRコードが貼ってあって、そこから入れるようになっているんですね。
最初はもちろん無料なんですが、月10ドルのサブスクリプションでどのぐらいの人が使うのかなと思って調べてみたら、朝日新聞の記事によりますと、すでに世界で25万人が有料会員になっているそうです。つまり月250万ドルで月3億円ぐらいの売り上げになるというので、インパクトがありますよね。
コロナ禍におけるアコースティックギター需要
さらに色々調べていくと、コロナ禍においてギターはアコースティックギターから始める人がどうやら多いようで、アコースティックギターってわかりますかね。いわゆるフォークギターで、ボディの真ん中に丸い穴が開いているタイプのギターですよね。
ちょうどフェンダーは低価格タイに特化してアコースティックギターを用意していたので、売れやすかったのかもしれないなと思って私は見ていました。
ミーのギブソンもアコースティックギターは低価格帯のものを用意しているんですけれども、その低価格タイのものに関しては、いわゆる廉価版のブランドのエピフォンという名前で展開しているんですね。ギブソンという名前で展開してはないんですよ。
フェンダーも実は安いギターに関してはスクワイヤーという買いブランド、廉価版のブランドを展開はしているんですけれども、アコースティックギターに関してはスクワイヤーという名前を使わずにフェンダーブランドとして売っていると、こういうところも匠かもしれないなと思いました。
今からギターを始めるという方はスクワイヤーは知らないけど、フェンダーなら知っているよっていう可能性も高いわけで、さらにいかにも廉価版を買わされているという気にはならない。もしこれもフェンダーがマーケティング上の計算をしているということでしたら、やっぱり上手だなというふうにユーザー目線で思いました。
今回ですね、いきなり売上1000億円クラスの世界的企業のことを話し出してしまったわけなんですけれども、これをスモールビジネスにどう生かすか、例えばうちの会社のような小さなところでも生かせる教訓ってなんだろうなって考えたら結構はっきりしています。
これはフェンダーはもの、ではなくてこと、を売ったんだなと。ユーザーはギターという物体を買うんじゃなくて、ギターを弾いて習得していく楽器を習得していく経験を買っていると、これを先ほどのオンライン学習システムによって得ている状態になると、そういった経験を売るっていうところがやっぱりスモールビジネスにも共通する基本的な考え方で、
なおかつ勉強になる普遍的なポイントだなと思いました。あとはですね、ここからは余談なんですけれども、例えば日本にいる個人の事業主さんとか小さい会社のビジネスオーナーさんでも、切り込みやすいような話としてはこういうことがあり得るかもしれません。ギターの初心者が増えるわけですよね。
ただ必ず行き詰まると、先ほどのオンライン学習システムのフェンダープレイは実は現段階ではまだ日本語対応していないので、多くの日本人はそれによって継続することが無理なんですよね。となると、やっぱり対面とかズームレッスンでマンツーマンで教えてくれるギターの先生と出会いたいというニーズが生まれると思います。
ここにまだ入り込む余地はあるのかなと。
例えばポータルサイトを構築したいという意味なんですが、今のところですね、地域名とギター教室とかで探しても、大体ヤマハのような大きな教室とか、あるいはそれぞれですね、プロのギタリストさんがギター講師として自分のサイトで集客されているような感じなんですけれども。
ポータルサイトにあたるものもすでにいくつか先行して存在はしているんですが、今のところですね、どうも割と自動生成されたようなコンテンツが中心で掲載されていて、正直なところちょっと情報の精悍というか、信憑性がどうなのかなというサイトしか見つからなかったんですね。
掲載されているギター講師さんとか、あるいはレビューを投稿している方も、これはダミーなのかな、実在するのかなみたいな感じのポータルサイトが多かったので、なのでここに関してどなたかが手をかけてしっかりしたものを作っていけば、重要はあるかもしれませんよね。
どこまでそれがビジネスになるのかはわからないんですけれども、まだちょっと未整備な領域だなということで、トピックとしてあげさせていただきました。
というわけで、今日はギターブランドぶっちぎり1位のスゴ技についてご説明しました。
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