00:00
想像性は確実さを手放す勇気を必要とする
エリヒ・フロム
いちです おはようございます
この podcast は僕が毎週お送りしているニュースレター
steam news の音声版です
steam news では科学・技術・工学・アート・数学に関する話題をお届けしています
steam news は steamboat の乗組員のご協力でお送りしています
冒頭でご紹介したのはドイツの社会心理学者エリヒ・フロムのsteam な言葉
彼は数々の名言残しているんですが
最も有名なのは愛とはアートであるという言葉でしょう
(音楽)
改めましていちです
このエピソードは2023年4月13日に収録しています
このエピソードは前回のエピソード126に続き
女優・映画プロデューサー・発明家ヘディ・ラマーの後編をお届けします
スペクトラム拡散技術の発明
現代の無線技術を支えるヘディたちの発明・スペクトラム拡散
どんな技術なんでしょうか
(ピッ音)
1942年ヘディは作曲家のジョージ・アンタエルと共同で特許を取得しました
この特許はスペクトラム拡散という無線通信の基礎技術です
前回のエピソード126ではこんな例え話で
スペクトラム拡散技術を説明させていただきました
今メッセージを伝えるのに黒字に黄色の文字で
例えばアルファベットでSTEAMと書いて送っていると考えてみてください
この黄色いSTEAMを相手にお届けするのに途中で悪さをするスパイがいたとして
その文字に黄色いペンキをかけちゃうんですね
前回のエピソードでは黄色い光というふうに例えをさせていただいたのですが
同じ意味です黄色いペンキをね
STEAMという文字の上にバラバラっとばらまいてしまって読めなくしてしまった
というふうなところを想像してみてください
この特許をヘディたちが考えたのは太平洋戦争中、第二次世界大戦中だったので
自然界のノイズというよりは敵からの妨害というものを想像していたようです
この黄色い文字に黄色いペンキをかけられちゃうと読めない困る
そこでヘディたちの発明どうしたかというと
黄色を赤と緑に分解して送るということでした
黄色のメッセージを赤い文字赤いSTEAMと緑の文字緑のSTEAMに分解するんでした
受け取った側は赤と緑を合成して黄色を見ることができます
途中で悪さをするスパイ
赤いメッセージきたぞ、緑のメッセージきたぞ
それぞれペンキをかけて妨害をします
赤いメッセージには赤いペンキ
緑のメッセージには緑のペンキをかけて妨害するのですが
この時かけるペンキというのは必ず一致するわけではありません
全く同じ模様でペンキが広がるわけではないので
例えば赤いSTEAMには後ろの方Mの文字のあたりにペンキがかかっちゃった
緑のSTEAMには例えばSのあたり前の方にペンキがかかっちゃったとしましょう
そうすると受け取った側は緑だけ見ても赤だけ見ても
メッセージが半分ずつしか残っていないのですが
この赤と緑を合成して黄色を作ってみる
赤と緑を足し算して黄色を作ってみると
これが花宝混色ですね
してみると黄色のSTEAMという文字が浮かび上がって
かけたペンキというのが意外と見えなくなるというか見えするんですけれども
無線通信における音階の重要性
黄色ではなくなるので容易に除去することができるというものです
ここら辺のグラフィカルなイメージというのは是非
メールでお送りしているニュースレター
毎週金曜日7時にお送りしているニュースレター
STEAMニュースの方で見ていただきたいのですが
ここではせっかく音声メディアなので
少し音声メディアならではの説明もしてみたいなと思います
今ですね
Steamというメッセージをモールス符号で送ろうとしていると想像してみてください
STEAMモールス符号ではこうなります
僕モールス符号を覚えたのが中学生の時で
それ以来のモールス音痴なので
今ねお送りしたのは少し機会でクオンタイズといって
タイミングを揃える措置をさせていただいてはいるんですが
下手くそでごめんなさい
このモールス符号をヘディたちのスペクトラム拡散を使うと
どうなるかというのを
これも実際のスペクトラム拡散ではないんですが
イメージとして想像してもらえたらなと思うのでご紹介をします
どうでしたでしょうか
映画「未知との遭遇」にインスパイアされた音階を使ってみました
こんな風に音階を散らすこと
これ本質的にスペクトラム拡散と同じ技術です
もう一度聞いてみましょう
なんだか少し可愛らしい音になってしまいましたね
僕が中学生の時にこんな風にモールス符号に音階がつけられたら
もうちょっと楽しく覚えたかもしれません
お伝えしたかったのは無線通信というのは
この音階の例えでいうと
特定の音階に耳を澄ましていること
これを無線を受信するということに対応するわけですね
例えば最初のモールス符号これは銅の音を使っていたのですが
これ受信側も銅の音に耳を澄ましているということが前提になっています
送り出す方も銅の音を送るし
受け取る方も銅の音を聞いている
そうするとどの音階を使っているかというのが
敵方にバレてしまうと邪魔もできるし
もちろん防止もできるということなんですね
銅の音を聞いていれば相手が何をしゃべっているかを知ることができるし
逆に銅の音を邪魔してあげれば
ヘディ・ラマーの発明と逮捕
受け取り側はノイズにまみれてしまって聞こえなくなってしまう
ヘディたちの発明は銅だけじゃなくて
通信中に次々音階を変えていきましょうということなんですね
当時銅なら銅だけ
ミならミだけソならソだけというふうな
お互いにどの音程を使って通信するかと決めた上で
通信をすることが一般的だったのですが
ヘディたちの発明は
これは別名周波数ホッピングというふうに呼ぶのですが
リアルタイムに音階を変えていくというものなんですね
もちろん送信側受信側でどのタイミングで
音階が切り替わるかというのは知っていないといけないわけなのですが
これによって妨害に強い
ノイズに強い通信方式というものを作ったわけです
現在ではですねこの音階の例えで言うと
符号ごとに音階を変えるだけではなくて
和音に相当するようなものを使う場合もあります
例えば今ですとね今の例えだと
単音でモールス符号を送ったのですが
ドミソとかドファラとか
そんなね和音を使ってモールス符号を送ることで
どこかの音階がブロックされても
残りの音階で相手に伝えることができるといったこと
これも含めてスペクトラム拡散法という技術になります
少し強引な例えだったかもしれません
もしリスナーの方でこういった
無線通信無線工学の専門の方いらっしゃればですね
ぜひお叱りを頂戴したいと思いますので
連絡先メールアドレスを概要欄に書いておりますので
よかったらご一報いただければと思います
さてここからは前回のエピソードで
お伝えしきれなかった
その後のヘディ・ラマーについて
お話をしていければと思います
発明家としても映画女優としても
一流の仕事を残したヘディなのですが
晩年は苦労したようです
1966年彼女が50を少し越えた辺りで
ヘディの辞典
エクスタシーと私
エクスタシー&ミというね本が出版されます
本書はヘディ・ラマー名義ですが
実際には2人のゴーストライター
レオ・ギルドとサイ・ライスによって書かれました
ニューヨークタイムズ誌で4週にわたって
ベストセラー1位を記録したと言いますから
ヘディの人気は衰えていなかった
というよりはスキャンダラスな内容だったために
注目を浴びたのかもしれません
ヘディは後にゴーストライターが
勝手に書いたという風に述べています
本書出版のおよそ1年前
実際には10ヶ月ほど前だったようなのですが
ヘディはロサンジェルスで逮捕されています
容疑は万引きで不起訴になっています
ヘディ・ラマーの晩年と家族関係
本書の序章2は次のように記されています
最近のある夜
私は一人で家で座り込んだ
百貨店での出来事による警察署での扱いや
映画でザザガボールに変えられたことなどを
いっぱい考えて苦しんでいる
私は自分が3000万ドルぐらいのお金を稼いで
そして使い果たしたことを思い出したが
その日にはシュワブス薬局で
サンドイッチを買えるお金すらなかった
1991年
ヘディが76歳か77歳の時ですが
再び万引きの容疑で逮捕されています
この時は便秘薬と目薬合わせて28ドル48セント分
当時のレートでおよそ3000円相当で
容疑を認める代わりに不起訴を受け入れています
1997年
コーレル社のCADソフトウェア
コーレルドローのパッケージに
自分の肖像が使われたとして
ヘディは同社を相手取って訴訟を起こしています
こちらは翌年に和解しています
和解条件は非公開だったので
ヘディはおそらく何がしかの保証金を受け取ったのではないか
というふうに想像できるわけですね
ヘディの息子の一人アンソニーによると
この頃ヘディは薬物中毒であったとも言われています
ただこちらは複数のソースで確認が取れたわけではなく
アンソニーの証言だけなので
正確なところはわかりません
英語版ウィキペディアにもこの記述は載せられていません
一方ですね
英語版ウィキペディアではもう一人の息子
ジェームズとヘディの関係については
詳しく書かれています
ジェームズが12歳
英語版ウィキペディアでは12歳の時
というふうに書かれているのですが
別のソースでは11歳になっていました
とにかくその頃ですね
ヘディとジェームズは別れてしまっています
英語版ウィキペディアの記述によると
それ以降50年以上
ヘディとジェームズは顔を合わせることはなかった
ジェームズとの再会の可能性
というふうにね
書かれているのですが
少し気になって僕も調べてみました
ジェームズは2022年ですから
去年亡くなっていたのですが
そのジェームズの友達が
ジェームズへ向けて
ツイートのメッセージを
ウェブに書いていたんですね
そこを読んでみると意外な事実がわかりました
もちろん人違いの可能性もあるのですが
ジェームズがついていた職業
そしてジェームズに送られた言葉に出てくる
人物像からして
おそらく真実ではないかなと思うので
紹介をさせていただきます
ヘディ・ランマーの家族関係と死去
2022年ジェームズが亡くなった時に
送られたメッセージの中で
ジェームズはある日
ジェームズはですね
アメリカのカジノで
警備員をしていたのですが
ある日年老いた女性が
ジェームズを訪ねに来たと
その時にですね
その目撃した人物が
ひょっとして彼女は
ヘディ・ランマーじゃないの?って気づいた
そうなんですね
その目撃した人物は
イタリア出身で
オーストリアと接しているところであったことから
オーストリア出身の女優さんのことを
興味を持って見ていた
映画ファンでもあったので
ヘディ・ランマーのことは当然知っていた
それでひょっとして
身内っていう風に聞いてみたら
ジェームズは自分の免許証を見せて
僕の本名は
ジェームズ・ローダ・ランマーだよ
っていう風に答えたということをね
ジェームズへのツイートメッセージで書いていたんですね
もしこの話が本当だとすると
ヘディは本当に
最盤年息子に会いに行っていたということになります
それがどんな関係だったのかはわからないのですが
ひょっとしたら
少しは希望が持てる関係だったのかもしれないな
と思ってご紹介をさせていただきました
ヘディは2000年1月19日
自宅のあるフロリダ州で亡くなっています
85歳でした
ヘディ・ランマー関連のドラマや映画の紹介
今こうして無線を使って
皆様にニュースレターを届けできているのは
ヘディの遺産によるものです
ドラマ化によってヘディに再びスポットライトが当たるのは
むしろ当然のことかもしれません
またオーストリア、ドイツ、スイスでは
ヘディの誕生日である11月9日を
発明家の日に制定しています
どうでしょう
これを機にヘディ・ランマー主演の映画
Amazon Primeとかでね
見てみるのはいかがでしょうか
ヘディ・ランマーという名義であったり
ヘディ・ラマールという名義であったり
両方が書かれているかもしれないのですが
どちらも同じ人物です
僕もですね
この週末はヘディ・ランマー主演
サムソンとデリラーを
Amazon Primeでね
視聴しようかなと思っています
またですね
前回のエピソードでご紹介した
ガルガドット主演の
ヘディ・ランマーの反省を描いたドラマ
Apple TVで制作されるようなのですが
こちらも公開されたら
すぐにね
見ようと思っています
楽しみですね
大学教員の日常のコーナー
さて大学教員の日常のコーナーでございます
今勝手に作ってみました
僕はですね
昨年度から大学の学生委員長と
役割を拝命しています
どんな大学でも似たような
仕事があると思うのですが
一言で言うと
学生の就学支援が仕事です
大学でね
学内の役割で
大きいのが
一番大きいの入試ですかね
入試の仕事
それから教務というね
時間割を考えたりであるとか
単位の足りない学生をピックアップして
なんか保守を受けさせたりとか
そういう教務の仕事
そしてもう一つが
その学生委員であったり
学生支援委員だったりとか
大学によって名前が
少しずつ違うとは思うのですが
就学支援をするというね
部署があります
これ何をやるかというと
例えば大学に出てこなくなった
学生であるとか
単位が全然足りない学生であるとか
ちょっと問題学生ですね
これをなんとか卒業させるというね
ものであったりとか
近年ではですね
文科省の指導というのが大きいのですが
就学困難な学生に対して
合理的配慮をできるだけね
授業担当している先生方にしてもらうというね
依頼をするお願いをするという
活動もしています
で、僕学生委員長
学部の学生委員長をさせてもらっているのですが
新学期始まりまして
全学のいろんな学部が集まる会議があるんですね
そこでですね
もうあの全学的に
この学生にはこういう配慮をお願いしますと
リストを渡されて
一人一人確認をしていくのですが
その中では
例えばですね
この学生は90分間授業に集中できません
ということもね
言われるわけです
なので授業担当の先生は
その90分間集中力を維持できるように
あるいは他の90分
集中力が維持できなくても
学習できるような配慮をお願いします
というふうにね
伝えていくわけなんですが
その会議がですね
90分以上あるわけですよ
で僕の方が集中力が切れてきて
ごめんなさい
途中であの意識を失ってしまいました
でよく考えたら
90分集中しろっていうのは
無理じゃないですか
皆様どうですか
大学の授業90分って長すぎませんか
東京大学みたいにね
105分ですかね
さらに長い大学もあるようなのですが
いや90分しかも
あの授業している教員は
1回90分ですが
授業の長さと集中力
受講している学生は
1日それが4本とか5本とか
あるわけですよ
90分も集中できない方が
普通だと思うんですがね
どうでしょうかね
で僕自身はその
90分の授業させていただく時には
授業させていただくって
なんかあの変な日本語ですか
あの僕大阪人なので
何々させてもらうというのを
ついつい言っちゃうんですが
90分の授業をねする時に
集中力が維持できないのも
当然だと思います
テッドを設計した
リチャード・ソウル・ワーマンは
どんな名スピーチでも
18分を超えることはない
ということをね
見つけているわけなのですが
人間の集中力って
まあ18分
まあもっと頑張っても
まあ20分30分が
限界ではないかなと思うんですね
もっと短いという人もいます
なのでまあ90分の授業
90分通しでしゃべるというのは
無理だと思うので
聞く方がですね
しゃべる方はなんか
90分気持ちよくしゃべる先生
いらっしゃいますけども
僕はあの25分が限界なので
どうしてるかというとですね
僕はあの授業の間に
テッドの動画を挟んでいます
そうすると
まあそこで気分転換できる
学生もいるだろうし
両方に集中できないという人は
テッド動画のアドレスを
授業の中で示して行ったり
まあウェブに掲載しておくので
動画は動画で後で見る
ということもできる
まあその動画の間は
ちょっと寝ててもいいよ
というようなね
使い方もできるので
もしね90分講義を持たれていて
学生が集中しない
というふうに悩まれている先生
いらっしゃったら
テッド動画を挟むことをね
おすすめしたいなと思います
逆にね学生さんで
まあこのsteam.fm聞いてくださっていて
90分は集中できないな
っていうのね
それ特に僕不思議なことではないと思うんですよ
90分集中できるってね
すごく特殊なこと
特殊って言うと言い過ぎかもしれないけれども
まあ普通はできないことだとね
僕個人は思っています
エピソードの終わり
とかなんとかしゃべっていると
あっという間にお別れの時間が来てしまいました
今日も最後まで聞いてくださって
ありがとうございました
いちでした
♪ To get to ride the one journey I'm already there ♪
♪ I'm magnetized, it's pulling me, I got to a prayer ♪
♪ My fire burns across the endless sky ♪
♪ I raise my hands and feel the world is mine ♪
♪ Take me down to where my stars are shining ♪
♪ All around me like halogen ♪
♪ One million diamonds over the horizon ♪
♪ Every moment I believe in the light of love ♪
♪ In the light of love ♪
♪ Fit in my skin, like vintage jeans ♪