2024-11-06 20:40

#40 J-KISSとは

シード期からプレシリーズAのスタートアップで活用される資金調達手法「J-KISS(新株予約権)」について、その仕組みや特徴を解説します。スタートアップ経営者が知っておくべき注意点や、投資家との交渉ポイントまで、実務的な観点からお話しました。


▼トピック

・J-KISSの基本的な仕組み

・J-KISSが日本で普及した背景

・ディスカウントとポストキャップの仕組み

・資金調達の即時性はある一方で、経営者側のリスクも

・投資家との交渉ポイント(ディスカウント率やキャップの有無など)


▼番組概要

税理士・公認会計士であり、『NFTの会計税務』著者であるスタートアップ会計の畠山謙人が、起業家からの税務会計ファイナンスに関する素朴な疑問に答えることで、スタートアップ経営の土台づくりを支援する番組です。


▼番組へのお便り

ご感想やトークテーマのリクエストなどお待ちしております!⁠⁠https://forms.gle/tsJdnqJTcZcUYFUe8⁠⁠


▼パーソナリティ

・⁠⁠⁠⁠⁠畠山謙人⁠⁠⁠⁠⁠(税理士・公認会計士)

 ⁠⁠https://x.com/kandmybike⁠⁠

・⁠⁠⁠⁠⁠稲荷田和也⁠⁠⁠⁠⁠(StartPods)

 ⁠⁠https://x.com/oinariiisan⁠⁠

 ⁠⁠https://jobtales.co.jp/StartPods⁠⁠

サマリー

今回のエピソードでは、JX(進化互約権)について詳しく解説されています。JXは資金調達の新たな手法として注目されており、特にスタートアップにおける資本政策の効率性を高める要素が議論されています。J-KISSはスタートアップが資金調達を行うための仕組みであり、発行後のポストバリエーションが重要な要素となります。シリーズAへの進展に際して、株価の上昇が投資家にとっての期待値を高める影響についても議論されています。

JXの基本理解
スタートアップ税務AtoZ、スタートアップフレンドリーな税理士・公認会計士の畠山さんへ、
税務会計に関する素朴な疑問、企業が目線で今気になる話題を投げかけることで、企業前後のファイナンスの土台作りを支援する番組です。
MCは、スタートポッツプロデューサーの稲荷田が務めます。畠山さんよろしくお願いします。
会計士・税理士の畠山です。よろしくお願いします。
収録しながら、やっぱりこの冒頭のコールもそろそろ変えなきゃいけないなって、ずっと思ってます。
税務会計を最近覚えて、資本政策とか、結構そういう話も増えてきているので。
タイトル募集中って感じですかね。
そうですね、タイトルもどうにかしたいなと思っています。いいアイデアがある方はぜひ教えてください。
お願いします。
前回のテーマが、創業者の株式の売却というところで、すごく意外だったのは、意外と助長しても、社長ってずっと現金ないんじゃないかみたいな。
そうですね、最終そうですね、それに気づくみたいな。
そんなことないよっていうのをぜひ教えてくれる方がいたら、教えてほしいなって思っています。
というところで、前回株式の売却でしたが、今回最近ですね、しばらく資本政策に関わるような株式の話とかもだいぶ出てきたんですけれども、
今日は改めてJXについて教えていただきたいなと思っております。
これまでだいぶストックオプションの話だったり、売却の話だったり、色々してきたんですけど、
意外とこの資本政策の基礎の部分のあるJXだとか、普通株優先株式だとか、
そういう話ってすっ飛ばしてきたなと。
この番組自体が、もともとはそこが気づくんじゃなかったって話は当然あるんですけれども、
ただ最近はそういった値段も増えていく中で、畑山さんの元にも資本政策系の相談も増えてきているところなので、
やはりここはニーズがあるんじゃないかという話。
さっきあえてカッコつけて、基礎の部分なんてことは言ったものの、意外と怪しいなっていうのをひしひしと感じておりまして、
ここは改めて教えてほしいなと思って、テーマ選定をさせていただきました。
ありがとうございます。私もJX、JXって言っときながら、よく分かっていない部分あったなというのが気づきであったんで、
今日分かったことをシェアできればいいなと思っています。
ありがとうございます。畑山さんも、もともとのご知見も含めて、実はちゃんとご準備だなともされながら挑んでいただいたというところで、
お互い学びながらこの番組を進めていけたらなと思っております。
JXの特徴とメリット
というわけで、まずJXとは何ぞやというところから教えていただけますでしょうか。
JXは進化互約権なんですよね。既存のというか、皆さんが進化互約権とかストックオプションと言っているものと同じものなんですけれども、
利用の仕方が違う、特徴が異なるものなんですけれども、進化互約権だというところがまず一つ重要な点になっていて、
さらに言うとこのJXは付与されるタイミングで払い込む必要がある優勝の進化互約権という点ですね。
優勝ではあるが株式はそのままもらうわけではないということですね。
そうですね。進化互約権とかストックオプションは無償型のものと優勝型のものがあるんですけれども、
JXは必ず優勝型ということがあるので、付与されたタイミングで払い込みが必要になるという点の特徴があるということと、
その通常のストックオプションは株式を手にできるかどうかがわからないわけですね。条件が達成されないと権利行使して株式を購入する権利が使えませんと。
条件を達成されたときに決められた株式数を決められた価格で買えるというのが通常のストックオプションです。
JXの方は株式に転換されるときにどれだけの株式が手に入るかどうかがわかってなくて、ただし加減が保証されている進化互約権です。
という意味からすると、スタートアップ側にとってはJXは進化互約権と比較すると必要なお金をすぐ調達できるというメリットがあるんですけれども、
株式をどれだけ渡すことになるかということがある種コントロール不可な部分があって、スタートアップ企業家側に不利なものという表現はできますね、ストックオプションと対比すると。
逆に言えば、投資家からしてもわからないけれども、まずはお金を払い込まなきゃいけないし、何なら次のファイナンスが成功しないと株式持てないことになるので、その中、同学校の感覚値もあるっちゃありますね。
お互いリスクを取ってるみたいなものがJXで、JXが好まれる日本で流行ることになった理由背景みたいなところは、やっぱり使い勝手がいいというところで一気に広がったかなと思っていて、
使い勝手がいい理由っていうのはどんなところですか?
このスキームが用いられるフェーズはSEEDからプレシリーズAぐらいまでかなと思っていて、これから予定されているシリーズAに向かって進んでいくんだけれども、先に2000万円とか3000万円欲しいな、だけど進化部発行したくないなと考えるときに使う手法になってますね。
あとよく聞くのはあれですよね、その時価総額、値付けがまだできないとか、今するよりももっと後の方が絶対大きくなるから、今はつけたくないから株式算定、評価額の算定が不要なJXみたいなのも聞いたことあるかなって気がします。
エンジェル投資家っていうようなジャンルの方々はJXに参画されることもあると思うんですけれども、結構株をそのまま買っちゃうことは多いと思うんですよね。200万円とか300万円出資して株式もらう。
このエンジェル投資という場合は、企業家さんから直接買い取ることもあると思うんですけど、進化部発行が多いかなと思ってますね、普通株式の。こういうことをするときには時価総額を決めて進化部発行をして、
フェーズはSEED期とかプレシリーズAであたりであって、まだプロダクトができてるかできてないか、できてたとしてもPMFしたと感じられる前なので、リスクを取って進化部発行に応じてお金を出されているような個人の方々がエンジェル投資家さんという生態系にいらっしゃるような方々なわけですね。
JXに応じようという人たちは、エンジェル投資家さんの個人もいらっしゃるんですけれども、結構スタートアップに投資をするようなVCさんたちが入ってくることが多いかなと思ってまして、
この方々は、シリーズAぐらいある程度確証できるような、そのスタートアップの商品がある程度売れるというトラクションと言われるような、数値が見えるような確証を得たタイミングで本当は入っていきたいんだけれども、
またそれが検証段階だから、シリーズAにはいけないんだけれども、スタートアップはそれを検証を進めるために2000万円とか3000万円とか必要で、どうしたらいいんだという時にこのJXというものが開発されて、企業家さんもVCさんたちもこれいいねという感じで一気に広まったかなというスキームになっている感じですかね。
これが広がってきた背景かなと思います。
投資家と企業家の視点
これがあることによって、よりスピーディーにシリーズができるようになった。
でもそれが一番大きいのかな。
株価を決めたり、シリーズAというA種種類株式を発行しようと思うと、普通株式にはついていないような特別の条件をどれだけつけようかみたいな各方面で調整が必要になるので、それがしなくていいという点でスピーディーという点もありますし、
企業家側はまだ自分のプロダクトがどうなるかというところがわからない中で時価総額を決めてしまうとやりにくいというようなことはある一方で、お金をもらえないと検証をこれ以上進めることができないからお金が欲しいみたいなところですよね。
そういうニーズを解決してきたのがJXかなと思いますね。
先ほどその企業家側にはもしかしたら不利になる部分もあるかもしれないというお話もありましたけれども、そこに対しての具体的な注意点とかポイントみたいなものがあったら教えていただけますか。
JXの特徴としては、まず調達したいお金のほぼ全部を権利を発行するタイミングで調達して、次回のラウンドで株式発行に至るような時には株式に変えましょうと。
権利から大体優先株式に転換しましょうと。
転換する際は追加の払い込みはほとんど不要で、1円だけ振り込んでねみたいな設計が多いものになっています。
そして転換される時の株式数が加減だけ保証されていて、あとは上限はいくらでもなり得るというところになるんですけれども、
こういうJXの段階でお金を出してくるVCさんたちは、シリーズAで入ってくるVCさんたちにとっては、先にシリーズAまでいけるかどうかわからないスタートアップにリスクを張ってお金を出しているということなので、
割安で株式を変えるようなメリットがあった方がいいよねということで、JXは割安購入権みたいな要素が設定されています。
これは次回ラウンドでフォローで、追加で出資をする際に、そのラウンドで初めて入ってくる投資家よりかはディスカウントがきますよね。
そうです。その割安購入権というような部分で、2つの要素が設定されていて、1つはディスカウントというような機能がついているというのと、
もう1つはキャップと言われているポストキャップと言われるような要素と横文字が2つ出てくることになります。
出ましたね。ディスカウントとポストキャップ、よく聞くなって思いつつ、よくわからないけどなぁなぁにしてたやつです。
これはどっちかが両方発動させて、有利な方の価格で決まるというようなイメージを考えたらいいかなと思ってまして、
有利は、というのは投資家にとってですかね。
投資家にとって有利ですね。例えば、そのスタートアップが次回シリーズAの調達をしたときに、1株あたり5万円の時価総額がつきました。
といったときに、シリーズAで入ってくる方々は割引かれるような価格の条件はついていないので、1株5万円で入ってこられるんですけれども、
JXを持っている人たちはディスカウントというのがついていれば、例えば2割引きで買えますと。
なので、すでに入れていらっしゃったお金に対して、1株あたり2割引きだと0.8掛けして4万円ですね。
4万円に換算して、新株発行される株式を渡しますという部分がディスカウントになっていますと。
もう一つがキャップという部分は、この調達の額以降は上限を敷きますみたいな、上限のバーみたいなところが敷かれているわけですね。
何の上限ですか?
株価が、1株あたりの株価が、例えば2万円というキャップを設定されているわけです。
これがキャップなので、キャップが敷かれているので、1株あたり2万円以上にならないということですね。
ディスカウントとキャップの両方の上限がついていたとして、どっちの方が得になるかなんですけれども、
株価が上がっていけば、それだけ割引率をかけたディスカウントの価格というのは、それに応じて出てくるんですけれども、
キャップで敷かれている価格が1株あたり2万円という上限があれば、どれだけ上がろうが2万円という価格で買えますと。
ものすごい話ですね。
さっきの話でいけば、仮に1株5万円だったときも、ディスカウントで10%だとしたら4万円になっちゃいましたけれども、
ポストキャップが仮に2万円だったら、5万円相当の株式を2万円で買えるということなんですね。
そうですね。なので、半年以下で買える権利を得た状態の権利を、リスクのあるタイミングで購入していると。
なるほど。じゃあこれはシードVCからしたらかなりいい話ですし、
逆にキキオカからしたら想像以上に放出してしまう、規剥化してしまう可能性もあるということなんですね。
そうですね。規剥化リスクがあるわけですね。
このポストキャップ、ディスカウントもそうですけれども、
次回のラウンドでどれだけの調達になるかなというところは、計算した上で設定するわけですね。
J-KISSの基本
次回の調達をある程度見据えておいた上で、もしそれよりも高い株価で調達することになれば、
先に入っていたJKISさんたちは、より有利な権利で、より多い株式数を手にすることができますと。
なのでJKISの発行の方が先なので、次回のラウンドよりもですね。
なのでその時の見込みと、実際に調達する時の状況とは変わってきちゃうかなと。
そうですよね。なかなかJKIS初めて発行するタイミングで、シリーズAで自家総額いくらだと思ってみたいな、言えないですよね。
そうですね。その頃のスタートアップの成長度合いとか、外部環境の市場の状況に応じて左右されるところになると思うので、
なのでスタートアップがどれだけの株式数を放出することになってしまうかというコントロールが難しいという点でデメリットはあるんだけれども、
シリーズAに行くまでに自社のプロダクトの検証をし続けていく必要があって、
大体はお金が枯渇して足りないということになってしまうので、調達しないとそのプロジェクトもストップになってしまうので、
どんな手を使ってでも調達しますよね、スタートアップだと。
さっきは投資家お得ですねみたいな話もしましたけど、それ相応のリスクを取っているだけであって、
むしろこのタイミングで大きなキャッシュをもらえるというか、手に入れることができる企業家側が有利というか、もうお互い様だよねということですね。
そうですね。あとはそのキャップの決め方というところで、音声上なのでどこまで伝えられるかという難しい面があるかなと思うんですけれども、
このキャップを考える際に決めることが3つあるというふうに言われてまして、
1つはその時に調達した依額を決めるという要素ですね。
2つ目は投資家さんに最低限保証、この株式数は渡したいなと思う最小の株式数を決めると。
その時のポストバリエーションを決めればキャップが検討できるというふうに言われています。
ポストキャップを算出する事例では、例えば1000株を最低限渡したいと思う時に2000万円必要だというふうに考えますと、
2000万円調達することに対して1000株を発行するので、1株2万円になるわけですね。
2万円の株式を株価というのは付くんですけれども、既存の発行済株式数が9000株あったとすれば、
新株発行で今回1000株発行することになるので、1万株発行することになりまして、ポストバリエーションが2億円というふうに付きますね。
2万円かける1万株分。
そうですね。この時に決めるその株価2万円というのが、先ほど出してきた事例のこの2万円に繋がるんですけれども、
こういうふうに決めると2万円というポストキャップが決められるわけですね。
J期数を発行しようと考える人が、それを発行した後のポストバリエーションが2億円と考えて、既存の発行済株式数が9000株で、
今回最低限1000株を渡したいと思っていた場合はポストキャップが2万円になると。
あとはシリーズAを迎えた時に株価が高くなればなるほど、J期数に参画した人は割安で購入できるようになると。
それはJ期数を発行したこの段階よりも、やっぱり株価が上がっているからってことだと思うんですよね。
なのでVCさんたちからすれば、まだ検証段階でシリーズAに行けるかどうかわからないスタートアップなんだけれども、
今想定できる株価よりも上がると思っていればJ期数に投資する価値が、期待値が高いというふうに考えられるかなと思うんですよね。
こういう手法をうまく使っていかないとスタートアップは何千万というお金は調達できないと思うので、
あまり発行済み株式数がどれだけシェア渡すかどうかが読めないというデメリットはあるものの、それを恐れていてもお金が足りなくて融資もできるわけでもないので、
やっぱりそこはリスクとってJ期数は使うもんだというふうにやっていかないとシリーズAまで繋がっていけないかなと思うので、
これがベストという場合は使っていく方しかないかなと思いますし、
企業家さんの方もJ期数というスキームの仕組みを理解した上で、VCさんたちと交渉できるように準備されるみたいなところも必要かなと思いますね。
資本政策の重要性
そうですね。その交渉のシーンで言えば、このディスカウントを何割にするのかみたいな話だったり、
ポストキャップがいくらなのか、何しろキャップなしみたいな表記も見たことある気もするので、
あると思いますね。
キャップがなければおそらくディスカウントもないってことはありえないので、ディスカウントだけついて企業家有利になるわけですね。
割安で渡さないといけなくなるリスクが減るので、どちらかというと企業家側が持ちかける交渉かもしれないですね。
自分たちはより魅力的だから出したいでしょうみたいな感じでやっていくんですかね。
なるほど。じゃあここのディスカウントの値段とキャップの有無とか金額みたいなのは、
多分実際にはそこの算定は結局入らなきゃいけないし、各社によって全然違うので、
ちょっと今扱いづらいですが、
そうですね。
大学では外部の方に相談しながら。
そうですね。やっぱり資本政策って関係してきますよね。
そのとき必要な調達額、資金繰りの事情で調達額は出てきますし、
放出していいと考える株式数は資本政策に関係して決まってくると思うんですよね。
この2つの要素が決まればポストバリエーションというのは決まってしまうんだけれども、
資本政策のタイムラインを見たときに、
この株価が実際、次回のラウンドで目標にしている株価とどのくらいの差分があるかとか、
それを考えて、ポストキャップはあるしそこで決まっちゃうので、
あとディスカウントをどのくらいつけるかとか、
キャップは計算したけどキャップを取り除いた交渉は可能なのかどうかとか、
資本政策というような領域の中で検討していくというようなイメージになるかなと思いますね。
めっちゃ変数があって、分岐がありすぎて大変だなって改めて思いました。
そうですね。
分かりました。
じゃあJXの会はここまでということで、
トークテーマのリクエストだったり、畑山さんへのご相談はお便りフォームを用意しておりますので、
こちらか畑山さんのXメッセンジャーまでお気軽にお寄せいただければと思います。
そして役に立ったよという方は、ぜひ番組のフォローだったり、
拡散にもご協力いただければ幸いですし、ご感想もぜひいただけると喜びます。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
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