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2022-04-09 38:39

#055 岡田美術館と日本初の伊藤若冲展について(岡田美術館館長 小林忠)

岡田美術館館長 小林 忠さんをゲストにコレクションや伊藤若冲についてお聞きしました。

※注記

  • 番組内 12:20あたりで「孔雀鳳凰図」の発見が60年ぶり~とお伝えしておりますが、正しくは2015年に80余年ぶりの発見であること、訂正させていただきます。

https://sorosoro-art.vercel.app/ep/055 番組の感想は、#そろそろ美術の話を でお願いいたします。

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Guest Profile

小林 忠(こばやし・ただし)

  • 1941年、東京都生まれ。68年、東京大学大学院修士課程修了。東京国立博物館絵画室員、名古屋大学文学部助教授、東京国立博物館情報調査研究室長、学習院大学文学部教授・同名誉教授、千葉市美術館館長、国際浮世絵学会会長、「國華」主幹などを歴任。2013年から、岡田美術館館長。
  • 「浮世絵ギャラリー 北斎の美人」「浮世絵ギャラリー 歌麿の美人」「教えてコバチュウ先生! 浮世絵超入門」「教えてコバチュウ先生! 琳派超入門」「光琳、富士を描く! 幻の名作『富士三壺図屏風』のすべて」(いずれも小学館)などの著書がある。

Show Notes

スポーツ報知の美術部

岡田美術館について

コレクションについて

田村一村の話題

  • 田中一村
  • 「初公開 田中一村の絵画 -奄美を愛した孤高の画家-」和樂web 日本文化の入り口マガジン

伊藤若冲の話題

  • 広島浅野家
  • 雑誌:國華
  • 辻惟雄 奇想の系譜
  • 動植綵絵(どうしょくさいえ)[国宝]
  • ジョー・プライス
  • 若冲の企画展「若冲、こんな絵かきが日本にいた」京都国立博物館(2000年)
00:00
♪~
はい、アートテラートニーのそろそろ美術の話を
この番組は、私アートテラートニーがアートに関わる方をゲストにお迎えして
トークを繰り広げるポッドキャスト番組です
本日は岡田美術館館長の小林忠史さんをゲストにトークをしていきたいと思います
♪~
ということで小林さん、改めてよろしくお願いします
こちらこそよろしくお願いします
今日は小林さんの研究室で収録ということで
お茶まで入れていただいて
ありがとうございます
先ほどもチラッと始まる前に2人で喋ってましたけど
スポーツ法治という、僕がやってた法治美術部の時に取材で
初めましてでお会いして
その時は岡田美術館の館長室で
対談させてもらったんですよね
で、研究室もあるよってのを聞いてたんで
今度行きますって言って、ついに1年半越しに
ということができまして
ありがとうございます、本当に
いらしていただけて光栄でございます
いやいや、こんなことない
いやだって今回、記念すべき第30回の収録ということですので
もうスペシャルゲストとしてお呼びしてますので
むしろ光栄でございます
あの、この番組雑談する番組なんですけど、いいですか?雑談で
大好きです、雑談
雑談大好きなんですか?
そうですね
なんか結構いろんなこと喋ってても
やっぱり館長だからいいところしかつかれないから
雑談部分カットですもんね、基本
そうですね
今回は基本カットなしで
そうなんですか、怖いな
今、横に美術館の広報さんいらっしゃるんで
あまりに、これ終わった時にはストップ入ると思いますんで
はい、気にせずよろしくお願いします
さあ、ということで今さらっと言いましたが
まずは小林さんが館長を務める
岡田美術館について教えてくださいということで
岡田美術館はどんな美術館なんですか?
箱根、神奈川県の箱根は大変国際的にも評判の観光地で
かなり個性的な美術館がいくつもあるんですね
そこに総合的な日本東洋の主にクラシックな美術品を
正当的なオーソドックスにご覧に入れようという志で
その開館時に15年ぐらいかけて
美術館の開館を想定したミュージアムピースを集めるということで
収集を重ねたコレクション
日本と東洋ですね、中国、朝鮮半島
あるいは東北ペルシャの方まで含めた
過去の遺産となる文化財を
後世まで正しく伝えようと
そして現代の人の日本人
03:01
あるいは箱根ですから観光客としていらっしゃる外国の方にも
東洋あるいは日本の文化伝統に親しんでいただく
そしてそれを心の糧にして明日に伝えていく
そういう志を持った美術館なんですね
オープンは2013年10月ですけども今おっしゃっていたのは
収集は結構前からということなんですね
そうなんですね
なぜ私が館長に招かれたか
当時まだ学信大学の教授の研育でしたので
伺ったらもう当初から狙ってたんだと
ヘッドハンティングしようと
そしてよく準備室が開設したのが
2011年の大震災の直後からなんですね
この狭い研究室に7、8人の準備の人たちが
基本的に美術作品のデータをきちっと把握しようと
それで翌年の秋に1年半かけて準備して
外館の運びになったんですけど
それからもう10年過ぎて
ほぼ10年過ぎまして今年の秋には
9年経って10年目に突入するということですかね
2023年のことは
そんなまだまだ幼い美術館なんですけど
都市にある美術館は大変コンビニエントで
気軽に訪れて美術を楽しむ場所として大変いいんですけども
日常性というものと切り離すのはちょっと難しい
箱根の小枠谷とも言いますが
そこまで美術を楽しみに来るまでに
お茶室であればロジーみたいなですね
心の準備が美術館へ向かって
だんだんと親しい世界にする
そういう山の中の美術館ですけど
良さもあるんですね
日常とは切り離されたアートだけに
心が集中してできるということで
また箱根には1泊2泊なさって
お湯に浸かって心を和らげる観光客もいらっしゃるので
美術館には2日割引なんてのもあるんですけど
そもそも作品数もめちゃめちゃあります
5回だけで展示室がたくさんありますから
06:00
1日で見られないです
僕も何度も言ってます
途中で疲れると足湯もあるんですもんね
源泉
かけ流し
水で割らないんですもんね
100%の源泉
温度だけは冷まして
ちょうど適温にしてるんですけど
ベップ温泉の冷まし方と同じ
そうなんですか
竹に当てて
大分のやり方ですね
だから足を休めて見ることもできるけど
2日目も見れるんですね
2日目割りってのがあるんですね
5回あるんですが
最初の1,2回が日本東洋の焼き物で
3回、4回は日本東洋の絵画を中心にしている
お好きな方は焼き物だけを見て
3回以上はもうちょっと
もう疲れたからいい
そういう方もいらっしゃるんで
私はどちらかというと
小さな美術館で
点一点に集中して
見られる美術館が
個人的には好きなんですけど
欲張りの方には
常時450点という
作品の展示をしておりますので
私はブラブラ歩いていただくように
本当に見るに値するものを
個人個人の方々に
見るに値するものは
美術品の方が呼びかけてくれると
こっちをちゃんと見てくださいねと
そうしたら立ち止まって
それはお人によっても違うので
あんまり真面目に450点見ちゃうと
なるほど、疲れちゃいますもんね
途中で
1点1点止まって見るんじゃなくて
フラーっと行きながらあれは
ということですよね
立ち止まってゆっくり
細部まで見ていただくと
そしてまたブラブラと歩いていただくと
そういう見方が一番
おすすめなんですね
日本人真面目だから
真面目ですよ
しかもちゃんと最初のほうとか
頑張って見てるけど
途中からもう入ってきてないじゃないですか
明らかに頭に入ってないけど
解説文頭からスーッと抜けてるけど
最後まで見るみたいな
そうしない方がいいですね
呼ばれた作品に行くんです
そうですね
美術鑑賞の達人っていうのは
そういう見方をされるみたいですね
民芸の柳宗義さんなんかは
ブラブラ歩いて
そして美術賞、骨董賞のところで
気になるものがあったら
それをじっくり見て
収集するとかっていう方だったと聞いてますけど
私どもも美術展や美術館に
こう伺うと気になる作品ってありますよね
それは丁寧に見て
作家がどこまで表現に凝ってるか
その辺りも楽しみ方の一つで
09:00
ブラブラとじっくりと
なるほどなるほど
これでも心強いですね
今は館長だから
もう展覧会とか開催しないと思いますけど
昔されてたわけじゃないですか
誰かが見に来た時に
あいつブラブラ歩いてやがんなって思わないってことなんですね
気使っちゃうじゃないですか
僕なんかも特に取材で行くので
一点一点ちゃんと見てるフリをするんですよ
学芸員さんが横でスタンバってるから
あともう20分で見終わる展覧会だけど
20分で見ちゃう
学芸員さんに後説明する時に
ちょっと1時間じっくり見たフリをする時があるんですけど
別にそこはいいんですね
それもトニーさんの見方で
大変正しい見方だと思います
でもだから別に学芸員さん的にはそういうことなんですね
あの人が早足で見てるなぁでなくて
あそこ止まってくれてるなっていうのが嬉しいんですね
そうですね
そして一度立ち止まったら
そこにはじっくりいい時間と心を寄せてもらいたいですね
確かに
でもそれこそとはいえ
これから岡田美術館初めて行かれる方もいらっしゃると思うんですけど
この作品毎回常時出てるわけじゃないですけど
例えばコレクションこういうものがいくつかあって
これはぜひ見てほしい的な感情的にってなりますか?
私は絵画師の専門で
特に江戸時代や近代明治以降の古典につながっていくような
美術品、絵画作品を専門にしているものですから
とかく江戸時代ならば
リンパという総達公林
江戸に来て法一規一という
そのあたりの名品が揃っていると自負しているんですけど
それから京都のリンパ以外の学科で
丸山大彪とか愛彤弱中とかですね
そういう作品が必ず用意されている
弱中に関しては
弱中室なんていうのも小さな部屋ですけど用意してありまして
必ず2、3点ご覧いただけるように
今、花鳥風月という名画で見る日本の四季という
これ前編後編四季なもんですから
春夏編と秋冬編というのを
ちょうど季節ごとに
3月6日から始まって
7月10日までが春夏編
7月16日から12月18日が秋冬編
対応しているわけですね
箱根のかなり広大な敷地に建っている美術館なもんですから
庭には四季折々の花も楽しめるという
そういう中で
例えばボタンと霧の花に
白く弱と紅が止まっている
弱中の初期の名作がありまして
12:00
これなどは今の大変見どころといいますか
多くの方に親しんでいただけるだろうと思うものでありますね
これは例えば数年前に初公開された時には
何年ぶりの公開と
そうですね
60年ぶりでしたでしょうかね
大変
もともと広島の浅野家という
大名家のコレクションだったもんですから
一般の方の目に触れることはほとんどなくて
国家という美術雑誌に
最初15年にモノクロームで大型の図版ですけど
出て以来用として姿を表さなかったもの
ことはカラーで見ていないということですね
そうですね
一般的にはですね
もちろん今でいう文化庁
昔の文部省の役人たちは
この作品を文化財として認めるために
ご覧になっているんですけど
それ以来一般的には
どなたも見ていないんですね
最初に見た時の第一印象とかどうでしたか
これは私も
ジャクチューは若い時から見ているものですから
ジャクチューの代表作に
今、区内町の三ノ丸肖像館にある
同色彩絵ですか
同色彩絵
その中にほとんど同じ構図の絵が2幅あるんですね
それとどう違うのかと思うと
これは準備作だ、修作だ
完成作を作る前段階の作品だということで
ある意味ではフレッシュなんですよね
そういう良さを
完成作とは別な良さを認めることができる
作家の方々は
一点を完成するには何回もトライアルをするんですね
そういうものを見抜いていただく
そういうものとして
岡田美術館のコレクションの中に加わってもらった
それと江戸時代では浮世絵も
私は庶民の手なもんですから
リンパとか浮世絵は江戸時代の町人が楽しんだものですよね
中でも宇多摩郎とか北斎とか
そういう肉質がお得意とした人たちの作品を特にめでているんですが
その中で北斎の今回全期に春夏ですので
夏の朝という美人画がありまして
これは両家の若奥さんが
亭主が起きる前に
身だし並みを整えているという
15:01
浮世絵にしては大変健全な
なるほど、どっちかというと夜の絵とかも
清々しい、爽やかな浮世絵
そういう作品などもありましたり
あるいは宇多摩郎の
これまた昭和戦後の早い時期から
世の中に消えてしまって
どこに行っちゃったんだろうと思われた
深川の駅という大変大きな絵があるんですが
これ横何メーターぐらいになるんでしたっけ
横がこれは縦が1.5、横が2.5ぐらいですかね
これはでかいですね
そこに二十数名の深川の料理屋で
芸者さんとかお客さんが
大勢絵が引っ込まれているんですけど
宇多摩郎さんは、芸者さんを呼ぶようなお客さんは
男性ですわね
ところが全て女性にしていて
男性が描かれてないんですね、お店の中に
その浮世絵師というのは
昔の方は着物の柄、ファッションを
大変浮世絵の中でも楽しんだわけですね
その二十数人がもうみんな衣装が違う
そういうことを描き分けることのできるのが浮世絵師
腕の見せ所なんですね
よく顔一緒じゃないとか言うじゃないですか
浮世絵に描かれているときはそこじゃないんですね
もちろん美しい姿、顔やポーズも大事ですけど
それにまとっている着物を
今の方々もそうだと思いますけど
美しい女性や男性の身にまとっている
衣装だとか化粧の仕方とか髪の良い方とか
そういう良きモデルさんを見るような
ファッション雑誌を女性が見ている感覚に近いってことですね
それは深川の雪なもんですから
秋冬編の後期の方に
これはあれですよね、しかも三部作のうちの一つで
2つはアメリカにあるんですよね
2つはアメリカに流出してしまって
幸いにこの作品だけは雪だけは残っていたんですね
雪月花ですね、品川の月ですと
月と吉原の花と
そしてこれだけは見つかっていなかったやつが見つかったってことですね
聞いた話だとあれですよね
これが発表というか見つかりましたって言って
NHKかなんかで放送されて
岡田美術館にめちゃめちゃ人が来たから
これは大変ですね
小枠谷のあそこに渋滞ができたっていう伝説を聞きましたよ
パンダを見るみたいにですね
18:02
10分おきに並んでいただいた
8人10人でしたが
その方に
動いてもらって
10分経ったら次に新しい方に
そんなにだったんですか?
すごかったですね
僕はオープニングで見させてもらったんで
関係者プレスで
一般はそんな感じだったんです
大変だ
ああいう時代が来るといいですね
もう一回いく
今回それがまた出るんですよね
何とか岡田美術館さんに行くと
当然貴重なものなので
複製が精密に作られた複製画が展示されている時もあるんですけど
今回はその本物が
本当に見分けのつかないぐらいの複製画を
花と月もアメリカの美術館に許可をいただいて作りまして
それを本物を
3つ並べての
深川の域だけなんですが
その点なんかもありましたね
雪月花が揃う時
アメリカでは揃ったんですよね
フリア美術館に品川の月がありまして
フリアさんの遺言がこの美術館から外へ出してはいけない
コレクション音ですね
そんなことで大変協力的な館長さんだったんですけど
どうしてもその遺言を解除できないから
我慢してくれと
うちで3つ揃えますから
こちら借りるのは借りるけど
貸すのはちょっとできないよってことなんですよね
そういうのも岡田美術館の名物としてあります
それから近代の日本画家の作品が
横山大漢
静雅春宗
早見御朱
小林御手
そうそうたる方々の作品が揃っておりますし
神方では竹内聖宝さんとか
その弟子さんの植村翔園さんとか
ご覧いただいた来館者の方々が
こんな良いものを
綺麗な状態で見られるのは
複製なんじゃないのかとか
逆に疑われてる
綺麗すぎてですね
困った話です
ちょっと汚しといたほうが良かった
本当に一点の汚れもない作品が
皆さんのご鑑賞をお待ちしておりますので
遊びがてらぜひ
よろしくいただけたらと思います
一泊しつつです
しかも田中一村もありますしね
昭和の若者の木橋山家田中一村
天宮島で
本当に人知れず
大変美しい絵画を次々と描いていた人ですね
田中一村にも私ご縁があって
最初にNHKで
日曜美術館という番組で
天美で不法の術を遂げてしまった
21:03
休止しなさったんですけど
その作家を紹介するのに
誰も専門家がいないと
小林さん ジャック・チューの天然絵画家って
ちょっと似てるんじゃないかと思うから
そうなのに
全然江戸の人だし 正門の人だし
ほとんど知らないんだけど
でも出てくれると
その当時 畳一条敷ぐらいの大きな絵を
くるくる巻いてですね
軽い教具を裏打ちしただけの作品を
研究室まで持ってきてくれて
大学のですね
それを机の上に広げて
見ただけなんです
いい加減なことをしゃべったんだと思うんだ
その時にはすごい感動はなかったんですか?
でもすごいなと思いません?
ありました
ジャック・チューもそうですけど
他の人の真似は全くないんですね
非常に写実に徹して
しかもそれが写実に終わってなくて
装飾的な画面にデザインされてる
それは本当に得意な
独自な絵の世界を切り開いた人なんですね
それは私もまだ40代の初めぐらいで
若い
胸がたぎることが多かった
若い頃でしたから
すぐあんまりその人の生涯なども知らずに
その絵の世界のことだけを
しゃべった記憶がありますね
これ今他のあれですよね
岡田美術館にも今ここにありますけど
白花と赤松菱という絵が
天宮島に私も2,3度行ったんですが
島中に咲いているダチュラっていう花なんですけど
そこに白い花のところに
赤い川石の仲間ですね
それが白と赤で大変コントラストが効いている
面白いのはですね
伊曽さんというのは栃木に生まれて
東京そして千葉天宮島
どこにも安住できなかった
ちょっとこう変わった方で
ダチュラって毒がある植物なんですね
赤松菱というのは南の鳥で
本土にも夏が来るんですけど
南から渡ってくる毒のあるもの
よそもの
そういう自分になぞられて
重ねているようなところがあるんじゃないかと思うんです
24:01
人となり知ってみるとより味わい深いですね
面白いです
自分を他者として見つめていて
そこで自然の中の人と会えない
人とじゃなく他の自然と会えない毒を持った花と
よそものとしての鳥と
そういうの他にも彼の作品の中にあるんですね
食わず芋って食べられない芋とか
ちょっと自分は世の中に受け入れられてないっていう
そういう疎外観って
画家のあるいはアーティストの表現のもとになることよくありますが
そういう人で甘みのごっほのような人です
そういう感じなんですね
この作品も春夏編に出るということですね
今出ております
見ていただきたいなと思います
今ちょっとチラッと話が出たんですが
伊藤寂中の話が出まして
伊藤寂中のもう第一人者ですもんね
いやいやそんなことも
でも今でこそ寂中ブームが起きてますけど
小林さんが東京国立博物館時代で
最初の展覧会で寂中なんてみんな知らなかったっていう
僕はちょっと信じられないんですけど
そうですよね
私がまんで30歳の頃
まだ上野の東京国立博物館に入ったばかりで
若造にはそんな大きなお金の展覧会をさせてくれないんですよね
100万円でやれって
100万円でポスターからカタログからすべて
で私の先輩に辻信という方がいらっしゃって
奇想の学科の本を書かれた方
その奇想の学科の中で大きな存在として寂中を扱ってられる
そこにアメリカ人の寂中好きでジョー・プライスさんという方がいて
辻さんとプライスさんがちょうど知り合って間もない頃で
で私が東京国立博物館に入ったことは
戦前は低質博物館ですよね
で、久内町とは親しいはずだから
久内町から同職さえ変えられると
それでやれと
防備を中華料理やった
忘れられない六本木の中華料理
辻さんは別に東博ではないですよね
都内の文化財研究所っていうところにいらっしゃったんで
別に会社の上司とか先輩とかじゃなくってことですね
そうなんです
それでプライスさんと辻さんと私で
4人で会食をして防備をして
27:02
プライスさんがもう十数点いいものを持ってたんですね
でそれを全部タダで貸してあげる
輸送費も保険もみんな私が持ってあげてる
アメリカから輸送するということですよね
それは大変なご行為なんで
大丈夫なんですかって
それで辻さんも久内町のお役人自住職に声をかけてくれて
いろんな情報もくださって
なんと一線部しか作れなかったんですね
このカタログが
ズロックですか当時の
今貴重なズロック
当時のズロック
100万円の予算の中でこれも作れっていうことですから
ズロックも予算の中に入ってるんですか
とんでもないですね
いやきっと売れないだろうから
小林に役所で片身の狭い思いをするのはかわいそうだから
300部買ってあげるって
これはプライスさんが
プライスさんが
すごいですよね
そのご行為で会期が終わる直前に全部売れた
ところが私はそんなに手元に持ってないから
プライスさんにだいぶ頂きました
逆にいっぱい買ってくれてよかったですね
結果としてみたいな
これが一応初の弱中点なんです
昭和46年
この時は一般のお客さんがどういう反応だったんですか
私は学芸部の美術科の絵画室という
当時の職勢だったんですけど
その絵画室の一番若い学芸員
電話がかかってくると
弱中特別転換
若置きって何なんですか
二水じゃなくて三水に
若置き
てかもう読めないんですね
弱中なんて
王居だとか丹雄だとか分かりましたよ
奥妻とか宇多丸だって
若置きって
博物館がやるどういう展覧会なんですか
という問い合わせが複数入るくらい
今みたいにホームページもないですからね
見てくださいとも言えないから
ただ学会ではさすがに関心を持ってくれて
シンポジウムなんかも
これは辻先輩がもう役員になっていたので
博物館の行動でやってくれたんですけど
一般には本当に
700部しか売れないんですけど
ギリギリ売れたとはいえ
じゃあこの一回目の昭和46年の時の展覧会は
別にそんなに弱中ブーマは起きなかったですね
一部好きな人はいたかもしれないけど
30:00
一般ではってことですか
少し動き始めた
辻野望さんの奇想の経風とか
わりと昭和46年というと
70年安保の後ですよね
いわば保守と革新が
特に後の世界は
奇想とか遺憾とかですね
保守本流よりも
こういうものにだんだん関心が
なるほど、そういう時代背景は
それまでやっぱり華濃派とか室町とかの
山水画とかのが
摂取とかがもう主流
江戸の絵画なんて
絵画なんてっていうのが時代があったんですか
絵画でも品のいい丸山大輔さんとか
そういうのは
その池の大賀とか
吉田信徳さんとか
でもこういう伊藤尺昭とか
蕎賀昭白とか
ちょっとサイケデリックな色だったり
グロテスクな感じの
勘弁して
ところがそういうものに
白首が寄せられてくる
先駆けだったんですね
大過ぎたんです
このいわゆる弱中部分はどこで
ターニングポイントになるんですか
これは東京で京都の
異端な奇想の画家をやられたから
京都の下は面白くないわけですよね
先にやられたっていう
その後
加納博之さんって大変また
ちょっとやんちゃな
美術師化がですね
京都国立博物館で
2000年にやったんですね
これは大変なグーム
これはどちらかというと
京都の人にも受けたってことですか
ちょっと若い人に受けたんですね
そろそろインターネットで
弱中って面白い展覧会やってるから
見た方がいいぞって
それで
口コミで
燃えちゃったんですね
その時はぶっちゃけ
小林さんは
チクショーって感じですか
いえいえ
この温厚な小林は
その
逆に拍手
ようやく時代が来たなみたいな
ジョー・プライスさんもいっぱい
その頃もさらに
弱中コレクションが豊かになってましたから
越子さんって日本人が奥様でらっしゃって
越子&ジョー・プライスっていうのが
やたら出てくんですよ
しかも奥さんも先出すんですね
ヘリバースの感じの
カードが
キャプションの中に
越子・中黒・ジョー・プライス
なんでこの越子が
33:02
耳に
会場で耳にしましたよ
いっぱいあるの
この人
お客さんからも
誰だこの人
誰だこれ
越子・ジョー・プライス
いっぱいの方ですから
我々の世界ではもう有名でしたけど
しかも中黒だったんですね
アンドじゃないんですね
一人かと思ってるかもしれないですね
越子・ジョー・プライスという
越子・ジョー・プライス
ミドルネームジョーみたいになってますもんね
でも小春46年から2000年
この間に弱中の動きは
30年ぐらいありましたね
その間にひたひたと
いわば美術界の左派たちがですね
学信派が
市民権を得てきた
これ今主流になったじゃないですか
言ってしまえば
そうするとまた揺り戻しで
逆に政党派が今度また
今後もしかしたら日本美術界としては
どういう動きになってきそうだなと思う
そうですね
例えば浮世絵の世界でも
昔は六大浮世絵師などと言われてるんですが
最近はもう国よしとかよしとしとか
ちょっと変わった人や
昭和のレトロな
新版画とかで出てくる
ハズイとか
そういう風にちょっと変わって
みんなが褒めてる優等生じゃない
自分が見つけたいという気持ちが
一般の方に
それは大変いいことだと思うんですけどね
ただ私は
浮世絵だったら鈴木春信という
西経を始めた人を
卒業論文にした
だから春信を戻したいな
なるほど一周戻って
でも今あれですもんね
エモいって言葉があって
1980年代ブームみたいな感じで
若い人が昔のものが一周回って
かっこいいとか心情を揺さぶるとかあるんで
春信はエモいかもしれないです
そう考えると
小室節体なんかがまた蘇ってますよね
それから株式会社の上品な美しい女性像から
おっしゃるような
あの揺り戻しが来るかもしれませんね
今鈴木春信
浮世絵好きな人は知ってるかもしれないけど
今一般の人がピンときてないけども
ジャクチューって読めなかった人がいたのが
30年後にはジャクチュー読めるようになったように
30年後には春信が普通になったかもしれないですね
そうあってほしいと
老人小林は思うんですけど
でも春信はちなみに岡田美術館さんにはあるんですか?
ないですね
本当ですか?
リクエストはほとんどないんですけど
版画のコレクションはあんまりないんですね
じゃあもしこれを聞いている美術賞の方
春信いいのあるよって時には
ご一報いただければ
感情が行きますので
36:01
ぜひ聞いていただきたいなと思います
よろしくお願い致します
探していただければと思います
あっという間ですけれども
改めてちょっと告知と言いますか
館長として
告知を最後よろしくお願い致します
ようやく箱根にも人が戻るようになりまして
今岡田美術館では
花鳥風月 名画で見る日本の四季
これは本当に学芸員が
こんなに見せちゃっていいの?
訪ねたいぐらいの名作ぞろいでございまして
私が前回美術館スライドトークということをしに行きまして
前もって会場で一巡したら
クラクラしましたね
あんまりの名品ぞろいで
これブラブラじゃダメかもしれない
どうぞ春夏編は7月10日まで
秋冬展は7月16日から12月18日まで年内
秋から冬にかけての後編もございます
もったいないぐらいな名品ぞろいですので
来年以降大丈夫かな?
出しすぎちゃう
閉店制度みたいな感じですもんね
来年以降続きますのでぜひお迎えしたいと思います
綺麗な作品ですけど全部本物ですよということで
ぜひ足を運んでいただきたいと思います
会場によっては館長のスライドトークもあるそうですので
ホームページをチェックしていただけたらと思います
ありがとうございます
次回は小林さんのご経歴を交えつつ
美術についての話を続けていきたいと思います
ご視聴ありがとうございました
チャンネル登録よろしくお願いします
次回は小林さんのお経歴を交えつつ
美術についての話を続けていきたいと思います
チャンネル登録よろしくお願いします
次回は小林さんのお経歴を交えつつ
美術についての話を続けていきたいと思います
チャンネル登録よろしくお願いします
38:39

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