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おはようございます、鶴岡慶子です。 この配信では花火や天気、言葉に関することなどをお話ししています。
司会やナレーションを通じて日々感じたことなどを語る声の日記です。 毎朝更新しています。
おととい3月5日から気象庁の天気予報で、新しいスーパーコンピュータシステムの運用が始まりました。 これによって、線上降水帯の予想の向上が期待されます。
天気予報は、まず観測ありきなんですね。 観測してデータをたくさん集めることで、いわゆる現在位置がわかります。
これからどこに向かうのかを考えるときに、現在位置がわからなければ何も始まらないと同じで、まずは現在の様子を正確に捉えることがとっても大事です。
その現在のデータを計算機に入れて、シミュレーションすることで予測を出していきます。
具体的には、地球の大気であるとか、海、山などを格子状に分割します。 格子状に分割すると、地球全体が細かいマス目で区切られるようになります。
その細かいマス目ごとに、気温や風、海の温度、湿度などを入れ込んでいくことで、今の地球の状態がわかってきます。
今のその地球の状態から時間変化を計算することで、将来の状態を予測していくっていうのが計算機の仕事です。
この計算に使うコンピュータープログラムを数値予報モデルと呼びます。 この数値予報モデルの計算結果は気象庁のサイトで無料で誰でも見ることができるようになっていて、
民間の気象会社や報道機関、外国の気象機関でも利用されています。 この予測結果を基に気象庁の予報官や気象予報士が天気予報をしています。
私も毎日見ています。 モデルには3つあって、全球モデル、メソモデル、極地モデル、この3つがあります。
全球モデルというのは地球全体のことで、格子間隔、いわゆるマス目は13キロ四方で計算されています。
私が気象予報士の受験生だった頃は、これが20キロ四方だったので精度が向上しているということになります。
2つ目のメソモデルは、日本とその近海を5キロ四方です。
3つ目の極地モデルは、さらに細かい2キロメートル四方です。
2キロメートル四方が1キロメートル四方にマス目を小さく計算しようとすると、2キロ四方は面積が2×2なので4になります。
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一方の1キロ四方だと、1×1で1です。
つまり、2キロ四方が4で、1キロ四方が1なので、2キロ四方の方が4倍大きい面積になります。
計算機に入れると、計算が4倍かかってしまいます。
計算が長くかかってしまうのは、次に発表する天気予報に間に合わなくなります。
いつまでもいつまでも計算してていいってことではないんですね。
だから間に合うようにするには、計算処理能力が高い計算機を使わなければならないということになります。
今回、新しいスーパーコンピュータシステムになったのは、計算処理能力が更新前のスーパーコンピュータのおよそ4倍に向上したので、
マス目は変わらないんですけど、より遠くの未来まで予測できるようになりました。
今回の更新ですごいのは、極地モデルです。
一番細かい2キロ四方の計算をしていた極地モデルなんですが、これまで10時間先だったものが、18時間先まで予報時間が伸びました。
10時間先っていうと、例えば寝るとき、夜10時、22時だとすると、朝8時までの予想だったってことなんですよ。
通勤通学の出発の時ぐらいまでしか見通せなかったんです。
それが18時間に伸びるっていうことは、夜10時、22時の時点で次の日の夕方4時までになりますので、寝るときに次の日の日中の様子をだいたいつかむことができるっていうことなんですよ。
これはすごい技術の向上だと思います。
なお、この極地モデルは18時間先ですが、全球モデルは11日、メソモデルは3日程度先までの予測結果をはじき出しています。
さらに今回のシステム、新しいシステムの一部は、気象庁から民間の気象会社に共有される情報が増えるっていうことなので、天気予測の精度が各社ぐっと上がってくるんじゃないかなと思います。
資料がこうやって充実してきますと、ますますそれだけに頼ってしまいがちにはなると思うんですが、人の感覚が最後は本当に大事になってくると思います。
コンピューターはこうはじき出しているけど、地元の私たちが生活する中で、この時ってもうちょっと気温が上がるんじゃないかなとか、こういう時って雨が降りやすいよなとか、
そういう肌感覚っていうか、第5感を本当にフルに活用しながら、そこは大事にしながら、私も情報をお伝えしていきますし、そういうふうに生活をしていくといいんじゃないかなと思います。
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ではまた明日もお会いしましょう。
鶴岡慶子でした。