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音声業界の海外市場が見えてくる番組、PODCAST AMBASSADOR。この番組では、自称オーディオジャーナリストであるあらいりなが、音声を通じて、音声業界の気になるニュースや注目の動きをお伝えします。
音声配信者やポッドキャスターが知っておきたい情報、音声配信が気になっている企業に役立つ視点を、業界目線とリスナー目線でお届けしていきます。
今週から文字と音声を考えるシリーズをお届けしています。今週月曜日に配信した最初のエピソードでは、今後新聞社やメディアで伸びていきそうな耳から聞く特集という音声コンテンツの作り方を取り上げました。
今回は、その先行事例として取り上げたThe New York Timesの耳から聞く特集、Nice White Parents、この番組を取り上げたいと思います。本編は3月末に放送したエピソードの再放送になります。今回、文字と音声を考えるシリーズで振り返る、2020年最も注目された番組、Nice White Parentsのレビューをお聞きください。
本編の書き起こしをご覧になりたい方は、概要欄にリンクを貼っておりますので、そちらからご覧ください。
さて、今回は前回のエピソードに続いて、ニューヨークタイムズがポッドキャスト制作会社シリアルプロダクションを買収した後にリリースされた初の共同制作番組、Nice White Parentsをご紹介したいと思います。
こちらは前5話で完結しているシリーズもので、1つのエピソードはそれぞれ1時間弱です。
このNice White Parentsという番組、タイトルを日本語に訳すと、素敵な白人の親たちという意味になるわけなんですが、このタイトル、皮肉でつけられているんですね。
さて、どのような内容の番組かというと、ニューヨークのブロック林地区に実在する公立学校とその教育システムを取り上げた内容です。
ニューヨークというのは、人種による教育格差というのがアメリカでも一番ひどい地区なんだそうです。
裕福な地区に住んでいる子どもたちは、そこに位置しているいい学校に通えるのに対し、貧困地区に住んでいる子どもたちは、その貧困地区にある問題の多い学校に通わざるを得ないということなんです。
このポッドキャストでは、ニューヨークに実在する公立学校とその教育システムに人種や権力がどんな影響を及ぼしているのか、そこに迫ったノンフィクションの番組となっています。
教育を受ける権利は、貧富の差に関わらず平等にあるべきという大前提がありつつも、実は権力を持っている、ここでは白人の親たちがその影響力を使って良かれと思って実施した学校への取り組みなども、実は他の人種の家族が次第にそれにかき回されていく様子が浮き彫りにされています。
また、学校側も学校経営という点では、その権力を持っている家族からの金銭的な支援などが必要という事情もあって、本来サポートが必要な貧困地区の学校にはなかなか資金が行きにくく、結局裕福な学校にだけが充実していくというような悪循環も見えてくる内容です。
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この番組、実は本編リリース前から非常に話題になっていたんですね。
というのも、このNice White Parentsというタイトル、3分ほどの予告編が配信された時から賛否両論な意見で振り返っていたそうです。
実は、白人をターゲットにするなんてどういうことかというようなこともあったんだと思います。
そこで、この番組の注目ポイントとしては、このアメリカの根深い人種問題に真正面から挑んだ内容ということですね。
これ、買収したシリアルプロダクションだからこそなせる技だと思います。
前回のエピソードでも紹介をしたんですが、シリアルプロダクションというのは、調査報道系のポッドキャストのプロ中のプロでもあります。
昨年は、BLM運動などをはじめとして、人種差別に対する活動というのがアメリカ国内でも多くあったわけなんですが、
それと同時に、例えばアフリカ系アメリカ人のパーソナリティが配信するポッドキャストというのも、非常にスポットライトを浴びることが多かったという印象を持っています。
特に、このBLM運動を取り上げたり、過去の人種問題を取り上げて、アフリカ系アメリカ人の視点や立場で伝える番組というのが次々と出てきたんですね。
そこで、シリアルプロダクションという調査報道系のプロも、長年にわたって問題となっている人種による教育格差という角度から問題提起をする番組を、
しかもニューヨークタイムズから配信したとあって、非常に注目をされた番組となりました。
それこそ、昨年タイムズ氏が発表した注目すべき2020年のポッドキャスト第1位にもランキングをされています。
そして、これに関連して3月中旬には、ニューヨークのクオモチ州知事も被告となって、ニューヨークの教育システムを活動家たちが訴えた訴訟もニュースとなりました。
改めて、この番組に注目がまた集まるのではないかなと思っています。
さて、今回の番組いかがでしたでしょうか。文字と音声を考えるシリーズ。
実際にアメリカニューヨークタイムズである意味物議を醸した、この耳から聞く特集というスタイルの音声コンテンツをご紹介しました。
ニューヨークタイムズはですね、アメリカの大手新聞社の中でも非常に音声事業に力を入れている一社です。
これからもですね、このような上質なジャーナリズムとアーカイブを利用した新しい形の音声コンテンツ作り、
それからこれを活用したメディアの在り方という視点でも注目をしていきたい一社です。
来週も引き続き文字と音声を考えるシリーズをお送りしていきたいと思います。
今回のエピソードの感想は書き起こし配信をしているノートのコメント欄やツイッターにてお待ちしております。
そして今回の放送が役に立った、面白かったという方は、ぜひApple PodcastやSpotifyからのフォローやレビューも嬉しいです。
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どうぞよろしくお願いいたします。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
ポッドキャストアンバサダーのあらいりながお送りしました。
それでは次回のエピソードで。