2023-04-03 08:50

マンガ① 原作になかった「燃え尽きたジョー」

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今や5000億円市場といわれる日本のマンガ・マーケット。出版物全体に占める比率は30%をはるかに越え、“大のおとな”が電車の中でマンガを読みふけるのも、日常の風景となった。各国語に翻訳されて輸出もされている。マンガは、戦後日本が独自に生み出した最大の文化なのかもしれない。
 昭和45年3月24日、東京・音羽の講談社講堂で前代未聞の葬式が行われた。僧侶が読経し、約700人の参列者が手を合わせた遺影の主、力石徹は、講談社『週刊少年マガジン』の「あしたのジョー」で主人公のボクサー、矢吹丈のライバルだった。

■『歴史の真相』教科書検定「侵略→進出」は大誤報だった(リンク)

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戦後史開封
漫画一
原作になかった燃え尽きた城
今や5000億円の市場といわれる日本の漫画マーケット
出版物全体に占める比率は30%をはるかに超え
大の大人が電車の中で漫画を読みふけるのも日常の風景となった。
各国語に翻訳されて輸出もされている。
漫画は、戦後日本が独自に生み出した最大の文化なのかもしれない。
昭和45年3月24日
東京・大戸場の高段車・高堂で前代未聞の葬儀が行われた。
僧侶が独協し、約700人の参列者が手を合わせた家営の主。
力石徹は、高段車・少年週刊マガジンの明日の城で主人公のボクサー・矢吹城のライバルだった。
力石が城との激闘の末、慶応月直後に死亡したのは同年2月15日発売後でだった。
2階級下のバンダム級への過酷な減量で衰弱しきっていたことに加え、
試合中のダウンで後頭部をロープにつけたのが死因だった。
掲載後発売直後から仲間うちで葬儀をやりたいという電話や超伝・高伝まで届いた。
当時の少年マガジンの編集長はこう振り返る。
その架空の葬式からわずか1週間後の3月31日、赤群派のメンバーたちが日光機ヨド号を乗っ取った。
犯人グループは、我々は明日の城であるという声明を残して北朝鮮に向かう。
城や力石のひたむきな生き様は、小学生から全共闘世代の学生たちまで圧倒的な支持を得た。
少年マガジン発売部数を飛躍的に増やしたばかりでなく、漫画の読者層も大きく広げたとされる。
従来の漫画の世界を大きく超えていたと言える。
ところで、その力石を死なせるかどうか、実のところ関係者は悩んでいた。
柴徹也はこう振り返る。
梶原一希さんが力石の壮絶な原料の様子を書き込んだ原作をよこす。
それに答え、もっとすごく書いてあろうとするうち、顔に思想が現れてきた。
で、梶原さんにこんな状態で城と戦ったら死にますね、と話したんですよ。
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当時の副編集長によると、力石の死を言い出したのは梶原だった。
半年ほど前に、名誉の死という方向を考えているがどうか、と提案された。
しかし、精算なことが嫌いな梶原さんは反対だった。
最終的な打ち合わせのため、梶原、柴、編集者の4人が梶原行き付きの会員制クラブに集まった。
市場ではすでに城対力石戦のゴングが鳴っていた。
活腹のいい梶原らが殺す、殺さない、と議論を交わすのを周囲の客はきょっとして見つめていたという。
市場によると、原作には城と力石の身長の比較もなかったため、
名前と骨割った顔との表現から城より大きく、大人ぽく書いた。
このサイズの違いが後に力石を原料区へ追い込み、死の伏線となる。
怪我の巧妙でしたね。ただのライバルだったら深みのない作品になっていたと思う。
力石を死なせたことによる苦悩で城の顔はどんどん大人びていく。
さらに力石と戦ったバンダム級にこだわって原料を行うことで、連載当初とはまるで違う風貌に変わっていった。
原料で腹が減っているだろうな、などと思い入れしながら、目の下にクマを入れたり、無性皮毛をかいたりした。
計算したわけではない。何かそう書かせるものがある、と感じたことはありますよ。
漫画史上に輝く傑作は梶原と千葉の個性のぶつかり合いが生んだ。
すでに巨人の星で原作者の地位を確立した梶原は、得意のボクシング者で自作を用意。
千葉も、前作ハリスの風でボクシングのエピソードを書くためにジムを主催。
その魅力を知って以来、自作はボクシング者で、と編集者に話していた。
ところが、編集者によると千葉は当初、黄金コンビへの誘いを辞退した。
編集者と梶原の打ち合わせで、主人公はニヒルなタイプと決まっていた。
千葉が得意とする天真爛漫な主人公像とは対局。
正反対の人間を主人公には描けないと断る千葉に、
編集者は、原作よりこうした方がいいと思えば自分なりに創作するという条件で王権を得た。
力石の死とともに語り草となったラストシーン。
補正、面倒さとの世界タイトル戦を描いた。
燃え尽きた。真っ白の灰に。
と言い残したジョーがコーナーで眠るように微笑む場面は、その条件から千葉の創作だった。
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千葉によると、原作のラストはパンチドランカーになったらしいジョーが、
かつてのライバルで敗人となったカーロス・リベラと並んでひなたぼっこしている雰囲気だった。
これは違う。
千葉はアシスタントや編集者と約20通りのラストを考えた。
作品を読み返した編集者が、看物屋の娘とジョーのデートシーンを見つけ出す。
ジョーは、眩しいほどに真っ赤に燃え上がるんだ。
そして、後には真っ白な灰だけが残る。
ジョーは、眩しいほどに真っ赤に燃え上がるんだ。
そして、後には真っ白な灰だけが残る。
と、ボクシングを愛する理由を話していた。
ジョーは燃え尽きるべきだった。
それでもラストシーンは、読者の間で様々な憶測を呼んだ。
ジョーは死んだ。いや、生きている。
千葉は、僕の気持ちとしては死んでいる。
千葉は、僕の気持ちとしては死んでいる。
ただ、負けて死ぬのは子供には辛い最後ですからね。
そこで、子供には生きている、と思えるように。
大人には死んだ、とわかるようにした、という。
最終回掲載後発売の直後、千葉の家に来客があった。
京都から来た、という模復姿の18歳くらいの少女は、
王子妻に飾られたジョーの肖像の前で泣きぬれた。
ほとんど口も聞けないような状態でね。
知らない人が見たら、僕が泣かせたみたい。
今、ジョーを描いてくれと言われても、
あの減量に疲れた凄みのある目は描けない。
優しい目になってしまう。
だからジョーは、昔のイメージで残しておきたい。
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