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2025-01-22 19:20

年末年始に買った本、読んだ本。今年気になるテーマ【2024-2025】

2024年〜2025年の年末年始に買った本の中から読んだ本と読み途中の本をまとめてご紹介します。今年のまよどくの予告編的に聞いてください。

<紹介している本>

村山由佳さん『PRIZEープライズー』 

山口未桜さん『禁忌の子

本谷有希子さん『セルフィの死

古谷田奈月さん『フィールダー

パトリシア・コーンウェルさん、池田真紀子さん訳『憤怒

阿部暁子さん『カフネ

サマリー

2024年から2025年にかけての気になるテーマについて、年末年始に買った本や読んだ本を紹介しています。村山由加の『プライズ』や山口美雄の『金キノコ』など、さまざまな著作が取り上げられ、各作品の魅力やテーマが語られています。このエピソードでは、年末年始に読まれた本と、それに基づく気になるテーマについて議論が行われ、特に人間関係を描いた作品に焦点が当てられています。村山由加の『プライズ』や安倍昭子の『カフネ』など、名前をつけがたい関係性について考察がなされています。

年末年始の読書
真夜中の読書会、おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは。今夜は、私が今回の年末年始に買った本の中から読んだ本、そして読みかけの本についてお話ししたいと思います。
きっと、この後どこかで一冊ずつご紹介するかもしれないので、予告編的に聞いてください。
もし気になる作品があれば、先に読んだり、図書館に予約したりしてもらえたら嬉しいです。
昨年もちょうどこの企画をやりまして、ここで紹介した市尾道さんの【罪デミック】が直記書を取りましたね。
今回ご紹介する本も、今年何か別の形で話題になったりするかもしれません。
なんて不尊な前振りをしたのはですね。
全然そんな影響力とかないんですけど、そんな不尊な前振りをしたのはですね。
2冊目にご紹介するのが、村山由加さんの【プライズ】です。
これ、先日私のSNSでも紹介したときになってましたと、たくさんリアクションをいただきました。
発売される前から、私も気になっていて、面白そうと思ってアマゾンで予約してたのに、それをすっかり忘れて店頭でまた買ってしまって、
そしたらアマゾンから本が届いて2冊になってしまったというね、そんなことよくあることじゃないんですよ。
でもなんでそんな気持ちがせいて買ってしまったのかと言いますと、こんなあらすじです。
どうしても直木賞が欲しいっていう人気作家の阿毛開院の【苦悩と今の文学界の舞台裏】をセキュララに描いた衝撃作という触れ込みがありましてですね。
阿毛開院先生は本や大書も撮った映像化された作品もいっぱいある。
固定ファンもいらして、サイン会なんかやるとたくさん読者の方が来てくださる。
でも直木賞は撮れていない。候補作には上がるのに撮れていないっていうので、何がダメなのっていう中堅女性作家の【もがき苦悩そして苛立ち】を国名に描いた小説になっています。
やっとちゃんと読み終えたんですけどね。一言で感想を言うと苦しいです。苦しいですね。
途中でも一気読みとかできるタイプじゃなくて、ちょびちょび深呼吸をしながら読んだという感じです。
編集者の立場で読んでしまったっていうのもあるし、逆に開院先生の立場で読むということもできると思うんですね。
別にこういう業界で働いている関係している人でなくてもですね、この作品はすごく一生懸命仕事をしてきて身を削って今の実力、今の地位を築いてきた中年女性、中年女性という言い方が正しいかわからないですけども、
その立場で読んでも苦しいですね。そう言ってることは正しいんだけど、それが周りからするとおっかないとか面倒くさいなあっていうのにどんどんなってしまう。
その自覚もあるんだけど言わざるを得ないみたいな感じの苦しみもがきですかね。
もし自分が作家さんから担当する仕事相手の人がこんなことを言われたら死にたいなとか、私ならこの電話に何て返しただろうとか、
会員の立場だったらこういう状況になった私もこう言っちゃっただろうなとか、いちいち考えてライフが削られる小説でした。
これからぜひ元気な時に読みましょう。村山由加さんはご自身とこの会員先生を重ね合わせられて読まれることを想定してらしたと思いますし、
読んだ演習者たちとか書店員さんもそうかもしれません。そういった業界関係の人たちが会員はご自身が思っていることなのかなって思うでしょうし、
あるいは何々先生のことかな、これとかっていうふうに勝手に色んな重ね合わせ方をして読まれることを当然想定しながら書かれたと思うんですね。
そしてこの直木書・芥川書発表の1月というタイミングで刊行されていることも含めて、すごいすごいすごい小説だなぁと思って読みました。
さてもう一冊は、今日はですね5冊ほど紹介する予定です。
村山由加の「プライズ」
次の作品は山口美雄さんの金キノコです。
これも結構は去年刊行になった新しい作品ですけれども、東京草原社さんが主催する工房型の新人文学賞ですね。
綾川哲也賞、受賞作です。
推理小説の長編が対象の賞になってまして、昨年かなり話題になっていたので、今も書店さんに行くと平台とか話題の作品というところにどんと並んでいるんじゃないでしょうか。
私は年末年始にやっと読みました。
まずですね、すごくキャッチーな導入から始まります。
病院に緊急搬送されてきたデキ死体、それを受け取った救命士・緊急医の武田が主人公で、彼はその遺体を見て自分にそっくりということにびっくりします。
彼は誰なんだ、なんで死んだのかっていうつかみはバッチリですね。
その一びっくりだけで引っ張るには長いなって思ったんですけど、
これがですね、100ページ目ぐらいだったかなのところで、
なぜ2人がそっくりなのか双子なのかどうなんだろうっていう、その秘密の鍵を握って育った人が密室で自殺なのか多殺なのかわかんない感じで死んでしまうんですね。
というふうにしては2点3点していくお話になっていて、ぐんぐん引き込まれました。
医療かけるミステリーって私とても好みです。
あとその探偵さんとか刑事さんとか、事件を解決することを専門のなりわいにしてない人が、事件の背景とか推理を進めていくっていうタイプのミステリーがすごく好きなんですが、
とても難しいのはこの医療の部分が難しすぎるとついていけないし、専門性の部分が浅いとちゃっちく嘘っぽく感じてしまうし、
なんでこの人が刑事でもないのにこんなに必死になって事件を捜査してるんだろうっていうのが根拠がちょっと嘘っぽいと浅くなってしまうし、
さじ影が非常に難しいですよね。夢中になれるかどうかっていうのは自分の好みとフィットするかも含めて、新しい作家さんでは手に取るのが勇気がいるジャンルではありますけど、
この山口さんという方を見出して、次の作品も楽しみだなと思いました。
山口美雄の「金キノコ」
山口さんは現役の医師なんですね。医療的見解の部分とか緊急搬送された時、緊急措置を行う時の場面の描写がすごくスピード感があって、
専門的なところもありますけれども、決して好意的ボリにされない感じで非常に面白かったです。
今はかなり進んでいますけれども、不妊治療が描かれている時代はそこまで進んでいなかった中で、
どういう医療的な立場があったのかとかっていう社会面も含めて面白く読みました。
医療者の海外ドラマを見ているようなスピード感と、それぞれの人間関係も楽しみがあって引き付けられましたね。
出てくる人たちがルックスグッドなのもいいなと私は思いました。
描写を読む限りはですけれども、イケメンぞろい美人ぞろいというとルッキズマラートに今時引っかかってしまうかもしれないですけど、
出てくる人たちが外見的にも魅力的な人物像であることは私は好ましいと思いましたね。
映像化された時の想像も妄想も楽しいですし。
さてさて続いて3冊目は元谷幸子さんのセルフィーの死という小説です。
SNS、YouTube配信、自撮りなんかを切り口に、そういったものに中毒、中毒って言うとちょっとチープかな。
人生を支配された人の物語を元谷幸子さんは何度か描いていると思うんですけども、
これは集大成的な感じなのかな。シニカルの集大成。
もう面白くないわけがないって感じですね。
ショーの頭にカッコ4930とかって数字が振ってあって、このランダムな数字というか微妙にアップダウンする数字は何だろうと思ったんですけど、
フォロワー数ですねこれね。いやー震えますね。ゾワゾワ、コワコワってなりながら、まだ読みかけです大事にとってます。
そして4冊目は小矢田なつきさんのフィールダーです。
これはですね本当はベストブックに選んでもいいと思ったぐらい、去年末に読んだ中ではガツンとやられた小説でした。
でも2024年刊行じゃなかったんですね。2022年だったかな。もうちょっと前に刊行されていたので、なくなくベストブック入りを見送ったんです。
フィールダーはどんな小説かと言いますと、総合出版社に勤める主人公が、総合出版社というのは講談社も総合出版社ですけど、この本は集英社さんから出てますね。
集英社さんや講談社、小学館さんみたいに文芸もある、漫画もある、ライフスタイル誌、女性誌もあるし、ノンフィクションもあったり、週刊誌もあるというそんな出版社ですね。
そこで働く主人公の橘は、人文系のオピニオン小冊子を担当してまして、担当する著者の一人である児童福祉の専門家黒岩綾子が、女の子ジョジを触ったらしい性的な良くない噂があるという話を耳にするんですね。
ドッキリするテーマですよね。メディアの露出も多くて、人気のある黒岩先生を失いたくない、信じたい立花なんですけれども、総合出版社ならではというところで、彼の会社には週刊誌もあって、今の時代の格好のゴシップとスクープを狙う動機もいたりします。
それと同時に黒岩先生から立花の元に疑惑の経緯をつつった長い長いメールが届きます。うわぁ、こんなの来たら困ったなぁ、まいっちゃうなぁって思いながら読みましたけども。
さて黒岩先生の疑惑は真実なのか否かというのはちょっと置いといて、もちろんぜひ読んでいただけたらと思うんですけど、私がこの小説面白いな新しいなって思ったのは、
この立花がオンラインゲームにハマっているんです。
気分転換というよりはもう半ば、もう一つの仕事ぐらいに情熱を注いでいるのがリング、リンドグランドっていうゲーム、オンラインゲームでして、複数のプレイヤーでチームを組んでモンスターを倒すようなゲームらしいんですね。
これMMORPGというチャンネルなのかな?最近知ったんですけど私も。
年末年始に読んだ本
マッシブリマルチプレイヤーオンラインロールプレインゲームっていうインターネットを介して同時接続で数千人とか数百人とかプレイヤーが同時に参加できるオンラインゲームのことですね。
ハマっている方もいらっしゃるんじゃないでしょうか?予読リスナーさんの中にもね、私の周り会社の人でも結構いますから。
何々っていうイベントがあって、やんなきゃって言うと変ですけど、今日は出なきゃいけないから、みたいな人。
オンライン上で誰かとパーティーを組んでミッションをクリアしたり、イベントに参加したり、敵を倒していくわけなんで。
貢献しなきゃ、みたいな気持ちがより強くなりそうですよね。一人でやるよりは。ただプレイをするだけじゃなくてチャットで会話をしたりするSNS的なコミュニティ的な要素が強いですね。
その中で橘はヒーラーという仲間を癒す技を持ったキャラクターになってまして、それぞれに勇者とか得意技があるんだと思うんですけど、キャラクターとして。
ヒーラーっていう役割を担っている橘は、使命感とか貢献する快感、誰かを助ける快感みたいなのがヒーラーっていう役割にはあって、
それが実生活で起こっていることとリンクしていってっていうところが非常によくできている、引き込まれる小説でした。
ただしいってどういうことなんだろう。かわいがるっていうのありますよね。かわいがるっていうことの境界線はどこにあるのか。
人を助ける、救いたいっていう気持ちのある種の傲慢さとか、そんなことをカーッと頭が脳が熱くなるような感じの、ずっと考えさせられる上編小説でした。
最後はパトリシア・コンウェルさんの剣士館シリーズの最新刊フンヌが出てまして、これを買って、まだ読んでないです。
パトリシア・コンウェルさんのスカーペッタ剣士館シリーズは夢中になって読まれた楽しみにされている方も多いんじゃないでしょうか。
最新刊はいつも12月に出るんですよね。今回はスピンアウトとかじゃなくて、もう本当に王道のスカーペッタの活躍解剖が見られるということで楽しみにして買いました。
テロリストによる大統領暗殺計画が絡んでいるとか、本当に王道路線で機体を裏切らないんじゃないかと。
これ文庫で上下巻ですので、これは今年の出張とか旅行とか旅のお供に大事にとっておこうと思っています。
そんなご作品をご紹介しました。
気になるテーマ
今年もたくさんの心揺さぶられる作品を皆さんとこの場を借りてご共有できたら嬉しいです。
さて今日はですね、神フレーズはちょっとお休みをして、神フレーズはぜひ本編で一冊ずつ紹介するときに紹介したいなと思いますので、
今年の気になるテーマについてお話しして終わりたいと思います。
今年の気になるテーマは、恋人でも夫婦でも親友でもない、名前をつけがたい、でもお互いに強烈に影響を与える関係を描いたような作品でしょうか。
うまく説明できているかな。
村山由加さんのプライズ、今回紹介したプライズとか小八田さんのフィールダーに出てくるような作家著者と編集者の関係はまさにそういう感じですかね。
マネージャーとアイドルなんかもあるかもしれません。
仕事上のパートナーというだけじゃなくて、それよりはもうちょっと踏み込んでいる精神的な影響力が強い深い。
一歩転がると愛憎になって憎しみあってしまうかもしれない危うさがありそうな関係を描いたものだったり、
仕事上のパートナーじゃないパターンで言うと、例えば交通事故の加害者のフィアンセと被害者の妹とか、
そういう作品があるというわけじゃなくて、何かその立場は違うけど同じ痛みを分かち合っている。
そんなことがなければ出会わなかった2人の関係性が描かれているようなものとか、
例えば義理の妹とか、弟の奥さん義理の妹って言いますけど、不思議な関係性ですよね。
本当の妹とは全然違うし、実際の年齢がひっくり返っているケースもあると思うんですよ。
でも義理の妹という関係で、何か同じものを共有している心のつながりを感じるんですよね。
弟という同じ男を介して、その人の良いところも悪いところも知っているっていう同性同士の心のつながりみたいなのがある不思議な関係性ですよね。
安倍昭子さんのカフネは亡くなった弟の姉とその弟の元カノっていう関係性だったかな。
まさにそんな感じの描いた作品を読みたいなというか、今気になっています。
恋人でも夫婦でもないし家族でもない、親友というのもちょっと違うかな。
名前をつけがたいが、でもお互いに頼ったり支えたり、逆に踏み込みすぎてぶつかってしまったり、期待しすぎて勝手に失望したり、そんな関係性を描いた作品に今とっても興味があります。
皆さんも何か気になるテーマ、最近見たやつでちょっと共通してるなって思うこととかあったら教えてください。
さてそろそろお時間になってしまいました。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室ではおすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介しております。
リクエストや番組のご感想はインスタグラムバタヨムからお寄せください。
お届けしたのは講談社のバタヤンこと河童理恵でした。
また来週水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。
おやすみ。
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