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真夜中の読書会おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAのバタやんこと川端です。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室では、水曜日の夜にホッとできて明日が楽しみになる、をテーマにおすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
第146夜を迎えました。今夜のお便りをご紹介します。
あおいゆきさんからいただきました。バタやんさん、こんばんは。
こんばんは。私は今、大学3年生でバタやんさんのツイッターもチェックしています。
おお、それはそれは、大学3年生ということは、人事部的には2号卒と呼ぶ代ってことですね。
2025年に卒業を迎えられる代でしょうか。
私の周りはみんなインターン、留学などいろいろ動いていて、私はまだやりたいこととかが特になく、夢なんかも漠然としていて焦り始めています。
この夏、これはぜひ読んでおけという本があれば教えてください、といただきました。ありがとうございます。
そっか、もう始まっているといえば始まってますもんね。
講談社もまさにインターンとはまたちょっと違うんですけど、オンラインお仕事体験みたいなのをね、今日もちょうどやってたところです。
さてこの夏というにはちょっとお便りを取り上げるのが遅くなってしまったんですが、就活準備時期にお勧めしたい、ぜひ読んでほしい本ということで、
今夜の勝手に貸し出しカードは石田加保さんの黄金日の縁という小説にしました。
青井由紀さんがもし自己肯定感が上がる本とか、面接でうまくしゃべれる本とか、そういった実用的にすぐ役立つ本を想定されていたとしたら、だいぶちょっと目的というか趣が違う本なんですが、
黄金日の縁はまさに就活をテーマにした小説なんですね。
どちらかというと人事部側、採用する側から描いた小説なので、就活生とか、あるいは転職を考えていらっしゃる方なんかにも、
ちょっとぜひ読んでみてほしいなと思って今日紹介してみました。 この本には就活マニュアル的なもののどこにも書いてなかった真実が書かれているんですよ。
どういった本なのか、なぜ青井由紀さんにおすすめしたいと思ったのか解説したいと思います。 さてまずは作家の石田加穂さんについてご紹介したいと思います。
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石田加穂さんは1991年生まれで若いですよね。 我が友スミスという本でアクター賞候補になっています。
我が友スミスは主人公の20代の会社員の女性がボディービルにハマっていくっていう話で、これがすごい面白かったんですよね。
なのでこの新作をきっと面白いだろうと思って買いました。 つい最近ねカーリングの藤沢さつきさんでしたっけ、
ボディービルの大会に出られて激変されていて話題になってましたよね。 前の方が良かったなんていうコメントの記事もネットで読みましたけれども、
その我が友スミスでもね、女性のビルダーは筋肉美、肉体美と同時に女性としての美しさも求められるんですよね。
ビキニでハイヒールで歩きますし、どんなビキニがいいかとか、ハイヒールで綺麗に歩く訓練をしたりとか、
主人公は強くなりたくて筋トレを始めたのに女らしさを求められるみたいな矛盾だったり、あんなに鍛えちゃ変だよねとか、女はあんなに鍛えたら変だなみたいな言われ方をしたりもするわけですよ。
筋肉美を競うと言っても結局綺麗かどうか、顔なんじゃないかという気もしたりもしますし、カーリングの藤沢さんが前の方が良かったとか言われちゃうのもまさにそういうところかなと思ったりして、
外野がとやかく言うことじゃないと思いますけれども、それでその新作黄金比の縁はどういう話かと言いますと、
二枚舌のルッキズムっていう点では我が友スミスと共通しているように思えます。
黄金比の縁の主人公は不本意に異動させられて人事部の採用担当になってしまった小野という女性なんですね。
彼女は顔の黄金比、黄金比的に整っているかどうかっていうことだけを採用基準に人を取るって決めていて、
会社にとって不利益な人を取る、3年以内に辞めちゃいそうな人を取ることで理不尽な異動を決めた会社に復讐してやるっていう話なんですよ。
復讐ってそんなことでできるのかなというのはちょっと読んでみていただければと思います。
就活っていうのは用紙は採用不採用に関係ありませんよっていうふりをしているってこともないか、実際には影響力は小さくないと思うんですよね。
販売員さんとか接客業とか一部、用紙を先行対象に含める業種もあるかもですけれども、
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一般的には人で見かけで判断しないっていうことになっているわけじゃないですか。
しかしやっぱり人は人の顔を見て喋っていて、喋る内容を聞きながら顔を見ているわけで、何かしら頭の中で小さな判断を下していると思うんですよね。
その辺の二枚舌ぶり、人が人を判断する本音を見事に書いている小説だと思いました。
そして先ほど言ったどこにも書かれなかった真実という点はですね、オノオという主人公が不本意に人事部に移動してきたっていうくだりにあるんですね。
多分多くの企業で人事部に行きたくて人事部に行く人ってそんなに多くないんじゃないかなと思って、出世コースの一つなんていう言われ方をしたり、そういう寄り道の一つ、経営層に近づく道の一つという意味ではあるかもしれないですけど、その仕事がやりたくて就活の時から目指す人って少ないじゃないですか。
学生の自分にビール会社に入りたいとか化粧品会社で働きたいって思ったら新商品を開発したりセールスプロモーションを考えたり、販売したりする仕事がしたいなって想像するのが想像がつく範囲という意味では一般的で、キリンビールの人事部に行きたいですっていう人は学生さんはあまりいないですよね。
ゆくゆくHR、ヒューマンリソースのプロとか人材開発畑のプロになって、そういう職種でいろんな企業を点々とするっていうタイプの人はいらっしゃると思うんですけど、そもそもはその企業にとっての主軸の部署、お金を生み出すような主軸の部署で活躍したいと想像して就活する人が多いんじゃないでしょうか。
でもほとんどの会社には人事というポジションがあって、そこにはどこかから来た人がいるわけですよね。その真実を書いた小説、本は意外と少ないんじゃないかなと思って面白いなと思いました。
主人公の小野さんは理系で開発職、プロセス部っていうこの本の中にはエンジニア職ですかね。株式会社Kエンジニアリングって会社なんですけど、その中の花形の部署にいたんですが、ある事件があって人事部の採用担当に移動させられちゃうんですね。
本人は左遷させられたみたいに思っているわけですが、最初は不適されてたんだけど、だんだん人事の小野さんが定着しちゃって、10年選手となり、会社のクソ細けい書ルールはおよそ頭に入ってるってくだりがあって、ちょっと私もよくわかるってなって笑っちゃったんですけど、10年もいたらクソ細けいルールもおよそ頭に入ってるでしょうね。
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小野さんは今すっかり主軸になっているわけなんですよ。
この小説を書いた動機について石田さんがあるインタビューで、採用という人が人を選ぶ不散臭さを書きたかったみたいなことをおっしゃっていて、なるほど確かにそうだなぁと思って、
社内の人間からすると、こんな奴があって人が採用担当になったり、人事部に行ったり、あるいは面接官になったりすることもあると思うんですよね。
だけど、面接を受ける側とか採用活動を通じて受ける側からしたら、審査番書を握る神みたいに見えるかもしれない。
本当はね、昨日まで全然違うことをやってた、やらかしてた人も、すごく愛者精神があるわけじゃない人も、なんでこんなとこにいるのかなって思いながら座っている人もいる可能性もあるっていう真実を書いちゃったっていうことが、この本は画期的だなと思いました。
さて今日はこの本から神フレーズをご紹介します。
私たちは幼い頃から、人を見た目で判断してはダメだと叩き込まれる。
そうした叩き込みの影響により、見た目という評価軸をあらかじめ脳に避けられたらしかった。
人を見た目で判断するというタブー。しかしそうじゃない人間がいるのか。
人を見た目で判断するのがダメなら、なぜ私たちはこうも表情にうるさいのか。
人を表情で判断することは大いに推奨されている。
とありまして、まあそうですよね。表情は結構子供の頃から言われますよね。
なんで笑わないんだとか、そんなブスとしてとかね。先生とかからも言われたりするかもですし。
ありのままの自分で選んでもらうっていうのも実際にはちょっと違っていて、容姿というも顔の作りそのものというよりかは
表情ぐらいは取り繕っていいんじゃないかとも思ったりしますしね。
だからそうやって表情をブスッとするなとか笑えとか言われるんでしょうけれども、小野さんが
人を自分が見た目で選ぶんだから自分も外見から入らなくちゃって、
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Kエンジニアの天見悠季を目指そうってするくだりがあるんですよ。
いい話だなぁと思って、見た目をね、あの美容室に行って整えたりして、それらしく振る舞うんですよね。
すごくわかる気がする、私がするのは面接って受ける側もする側もある種のコスプレプレーなんじゃないかなと思って、
今日はこういう自分になりきって演じてます、みたいなとこがないとやっていけないっていうか、短い時間ですしね。
私も今はその面接をする側になって立ち会うこともあるんですけど、今日は面接官として出る人事部長というコスプレを着てるみたいな気持ちですがね、いつも
天見悠季さんはちょっと自分から遠いけど、誰かなぁ、石田由里子さんとかでしょうか。
理想の上司といえば天見悠季か石田由里子か、大きなベクトルで言うとどっちかの覇行に入るでしょうか。
まぁあと板谷由加さんとかもありかなぁ、その3人の中のどれか、どれかなら当てはまるとしたら誰ですかね。
まぁそんな石田由里子さんと別に見た目は似てませんけども、ちょっとこうふわっと優しそうみたいな感じで今日は行こうかなとかね。
小野さんの言う通り、こんな人がいる会社、こんな人が人事部採用担当の会社っていいなって向こうから選ばれる立場でもあるから、
最大限身をつくろってあざとく好まれやすいコスプレをかぶる必要はあると思うんですよね、お互いに。
青井由紀さんになぜこの本をこのタイミングで紹介したかったのかと言いますと、
採用、人を選考するってこと自体がいかに理不尽でうさんくさいものなのかっていうのがまず一つ、私もそう思いましたし、
それから採用っていう限られた、面接とか限られた時間の限られたシーンにおいて、お互い求めるものはこれでしょっていうコスプレをかぶっていて、
それが望むものと外れてたら、それはそれでしょうがないなっていうね、そういう特殊なステージなんだなと思いますね。
とはいえ、ちょっと傷ついたり、自分を見失ったり、誰かと比べて落ち込んだり、しんどい時期ではあると思うので、
あまり思い詰めすぎず、ぜひ頑張ってください。
真夜中の読書会を聞いてくださっているなんて希少な方を心から応援しています。
リクエストありがとうございました。
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さて、今夜もお時間になってしまいました。
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それではまた来週水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。おやすみ。